アイオメガ(株)は10日、バックアップ/アーカイブ向け大容量リムーバブルストレージ“RRD(Removable Rigid Disk)”と、ポータブルタイプの次世代デジタルエンターテイメント機器向けのリムーバブルストレージ技術“DCT(Digital Capture Technology)”を発表した。RRDはカートリッジタイプで、発売時の容量が35GB(圧縮時70GB)を予定しており、サーバー/デスクトップパソコン向け製品の出荷予定は2004年初頭。DCTは重量が9gの硬貨サイズで容量が1.5GB。2004年第2四半期に市場投入できるように開発を進めているという。
RRDカートリッジ。比較のために左奥に置かれているのは750MBの“Zip”カートリッジ | RRDドライブのイメージ(ノートパソコン用) | |
RRDシステム |
“RRD”は、専用のRRDカートリッジとRRDドライブを利用するシステム。RRDカートリッジには、2.5インチの磁気ディスクと静音タイプの流体ベアリングモーターが組み込まれており、密封されているのが最大の特徴。従来のディスクメディアのようにメディアを回転させるためのスピンドルホールはない。RRDドライブは、ハーフハイトの3.5インチドライブベイに収まる形状をしており、リード/ライトヘッドとその駆動装置が組み込まれている。磁気テープを利用するストレージに比べて、書き換え回数が100万回以上(磁気テープは数1000回程度)でランダムアクセスも可能、HDD並みの書き込み検証が行なえるなど、高速性と高耐久性が特徴という。最大データ転送速度は毎秒22MB、有効データ転送速度は毎秒44MB(2:1データ圧縮時)で、DDSテープの約7倍に達する。また、RDDを利用したストレージシステムは、一般的なバックアップ&リストアーソフトで利用できるようになっており、ホストコンピューター上では通常のドライブとして認識されるほか、RDDからのブートにも対応可能という。現在、OEM候補の企業により評価中で、同社では、スタンドアロンのRRDドライブとオートローダーについて、出荷開始時には従来のテープストレージドライブ(TRAVAN40、DDS、DAT 72、AIT-1、DLT VS80など)より大幅に低価格に設定されるとしている。
DCTのカートリッジ | DCT対応の内蔵型ドライブ(ATA対応) | |
DCT |
“DCT”は、ビデオカメラやポータブルビデオプレーヤー、タブレットパソコンなどのポータブル機器をターゲットにしたリムーバブルストレージ技術。記録メディアには、硬貨(50セントコイン)とほぼ同じサイズで重量が9gのステンレス製カートリッジ(DCTカートリッジ)に収められた磁気ディスクを利用する。同社の磁気抵抗(MR)ドライブヘッド技術、シチズン時計(株)や米テキサス・インスツルメンツ社の技術のほか、富士写真フイルム(株)の磁気メディア用コーティング技術“NANO CUBIC(NANO layer coating technology with NANO dispersed NANO particle)”などが採用されており、同社では、現行のディスクの約10倍(平方インチあたり6Gbit)まで記録密度を上げられるとしている。