日本AMDは、同社のフラッグシップCPU、Athlon XPシリーズに、新たな最高速モデルとなる「Athlon XP-2600+」「同2400+」を発表した。すでにOEM向けには出荷ずみで、9月以降、大手PCメーカーから搭載製品が登場する予定だ。2600+の動作周波数は2.13GHz、2400+は2GHz。Pentium 4に続き、CPUとして2番目に2GHzの壁を破った。価格は2600+が297ドル、2400+が193ドルとなっている。なお、これに合わせて2200+以下のプロセッサについても一部価格改定が行われる模様だ。
CPUコアはすでに発売ずみのAthlon XP-2200+同様「Thoroughbred」コアが用いられ、ドレスデンのFab 30で、0.13μm銅プロセスで製造される。消費電力は2600+が62W(Typical)、68.3W(Max)、2400+については現時点では不明である。同社はこのCPUを「World Highest Performance CPU」としており、事実上Pentium 4-2.53GHzを上回る性能であることを示唆している。
ついに周波数を「飛ばし」た!
従来Athlon XPシリーズは、実クロックを66MHz上げるごとに、モデルナンバーを100ずつ上げてきた。ところが、しかし、今回この路線に一部乱れが生じている。
グラフ1 モデルナンバーとクロックの関係。2400+のところで周波数が大きく 上がっている。1グレード分スキップしたためだ |
つまり、2200+から2400+に上げるところで、従来なら133MHz(2段階)しかアップしなかった実クロックを、今回は200MHz(3段階)上げていることになる。これまでの手順であれば2500+を名乗るべきCPUを、2400+と名乗らせている。今回の2600+は、従来のAthlonの性能向上カーブから見れば2700+に相当する性能だ。
モデルナンバーは大きい方が高く売りやすいのに、なぜわざわざ100を引いているのか?
実は、Athlon XPのモデルナンバーは、実際のクロックの向上率より多く増えている。例えばAthlon XP-1333MHz(1500+)とAthlon XP-1666MHz(2000+)では、周波数は25%アップなのにモデルナンバーは30%上がっている。言い換えると、モデルナンバーから想像するより、実際の性能向上は少し低いということだ。
AMDはモデルナンバーを、あくまで性能の上下を示すための指標で、厳密な性能差を表しているわけではないとしている。実際、製品名の一部であるモデルナンバーを、例えば1586だの1673だのといった数字にはしにくいのもわかる。しかし、現実にはモデルナンバーは、Pentium 4の何MHzと同等の性能であるかを知るための手がかりとして理解されている。そのPentium 4は、1.5GHzから2GHzで実際にクロックが33%上がっている(=性能が33%上がっている)。そのため、1.5GHzと1500+では1500+が大きくリードしていたのに、2GHzと2000+では明らかに差が縮まっている。しかも、Pentium 4はNorthwoodで2次キャッシュを512KBに増やしたうえ、2.26GHz以降ではFSBを533MHzにアップさせ、同じクロックでも旧Pentium 4よりずっと高速になった。おかげで、2.2GHzと2200+では勝負は僅差であり、このうえ66MHzアップにつき100プラスを続けていくと、まもなく「名前は○○+なのに、Pentium 4-○○MHzより明らかに遅い」という事態が発生するのは火を見るより明らかであった。
筆者は以前PC Explorer誌でこの点を指摘し、解決策としては「クロックを1段階飛ばす」「FSBを333MHzにする」「キャッシュを増やす」の3つがあると述べた。このうち「飛ばし」に関しては、クロックとモデルナンバーの対応に大きながたつきが生じるため、難しいのではないかと予測したのだが、AMDは今回、2200の次を2400と、モデルナンバーを200上げることで、クロックが大きく上がっているのを比較的目立たなくしている。