スウェーデンのエリクソン社、米アイ・ビー・エム社、米インテル社、フィンランドのノキア・モービルホン社、(株)東芝のBluetooth規格の共同提唱社5社は、“Bluetooth
1.0”の仕様をBluetoothの公式ウェブサイトで26日(現地時間)に公開した。Bluetoothは半径10m程度の近距離における、携帯電話や情報携帯端末などをターゲットとした無線データ通信技術で、'98年5月に5社によって発表されている。
Bluetoothは2.4GHz帯での電波を利用し、毎秒1Mbitでのデータ伝送が可能。ただし、エラーコレクションなどのデータを除いた実データ伝送速度は、音声(同期転送)の場合毎秒64kbit、データ(非同期転送)の場合最大で毎秒721kbitとなっている。データのコネクションは自動的に行なわれるため、Bluetooth機能を持った端末同士では、特に“接続する”という操作をしなくても、近くに置いただけで接続が完了する。なお、認証機能は用意されているので、見知らぬ他人の機器と勝手にネットワーク接続される恐れは無い。
Bluetoothは携帯電話などに組み込まれることを前提としているため、チップは小型で低消費電力のタイプを要求している。Bluetooth
1.0の規格化にあたっては、各国の電波管理状況が異なるため、世界中で同じ周波数帯が利用できないかもしれないという危惧もあったが、仕様書を見た限りにおいては、利用周波数が各国で微妙に異なるものの、重なり合う周波数帯があり、世界中でシームレスに接続できるようにするという目論見はひとまずうまくいっているようだ。
今回の仕様決定により、各社は実際の製品化に大きく踏み出すことになる。おそらく今年のクリスマスシーズンから来年にかけて、何らかの製品が発表されることが予想される。なお、余談だが、この“Bluetooth(ブルートゥース)”という聞きなれない名前は、10世紀にデンマークとスウェーデンを統治していた、ハロルド・ブラッタント・ブルートゥース2世にちなんだもの。かつての首都(現在のデンマーク領ユトランド)に残っているブルートゥース王の石碑に、ノートパソコンや携帯電話にあたるものにおけるシームレスな通信を考えていたという話が、ルーン文字によって記されているとのことだ。