日本ヒューレット・パッカード(株)(日本HP)は21日、都内で記者会見を開催した。会見には米HPのCEO、Lewis.E.Platt(ルー・プラット)氏が出席し、2000年の上半期に予定されている米ヒューレット・パッカード社(米HP)の分社化(詳細記事)について説明した。
米HP社CEO、Lewis.E.Platt氏 |
同氏は米HPの歴史を“HPストーリー”と呼び、分社化によってこのストーリーは新たな章へ突入すると語った。
12~18カ月で2社に分割
米HPは今後12~18カ月かけて分割作業に取り組む。同社は現在、エンタープライズコンピューティング、パーソナルシステム、電子計測器など、8部門からなる。これを、コンピューターやプリンターなどを扱うコンピュータ&イメージング系会社と、計測器や医用電子機器などを扱うメジャメント(measurement)系会社の2社に分割し、日本HPについても、米本社と同時期に分社化を実行する。HPの社名はコンピュータ&イメージング系会社に引き継がれる。メジャメント系新会社のCEOには米HP副社長のEdward W. Barnholt(エドワード・バーンホルト)氏の就任が内定している。なお、プラット氏は、コンピューティング&イメージング系新会社のCEOに就任する意向がないことを明らかにした。後任は現在、プラット氏を含む複数の経営陣によって人選中だという。
分割後にCEOを退く
プラット氏と記者団の質疑応答は以下の通り。--新会社のCEOにプラット氏が就任しないのはなぜか。
「アメリカにおいては60歳前後が定年の時期だ。自分は現在58歳。分割作業は今後1年以上かかる。これを終わらせたときには引退の時期になっている。分割が実現したときに新たな人にバトンタッチするのが、もっともいいタイミングだと判断した」
--18日(現地時間)に、米コンパックコンピュータ社CEO、Eckhard Pfeiffer(エッカード・ファイファー)氏が解任に近い形で退任した(詳細記事)ことについて。
「コンパックとHPは経営状況がまったく異なると認識している。HPは堅調な成長を続けている。また、分割後にCEOを退くが、会長として残る可能性はあるし、新たなCEOの人選にも参加している。自分がCEOの座を解任されることはないと信じている(笑)」
ユーザー利益とサービス向上を図る
--意思決定の迅速化、株価の上昇が見こめることは理解できる。分割によるこれ以外のメリットは何か。「株価上昇を狙っているわけではない。ユーザーの利益向上と、サービス提供のスピードアップを念頭においた分割だ。メリットとしては、特定の分野にフォーカスを絞ってビジネスリソースを集中することで競争力、利益率の向上が期待できる」
--HPの企業文化にかなう人が後任になるのか。また、現在12万3000人いる従業員の削減は予定していないのか。
「HP文化のコンセプト“HP Way”は、個人への尊重やイノベーションなど、5つのコアからなる。これはHPの今後の経営の基盤となるので、これを理解し、尊重してくれる人を選ぶつもりだ。しかし、守るだけでなく、新たな改革を大胆に実行できる人を選びたい。人員削減については、強制するつもりはない。後任の意思に任せるが、現時点で削減の必要は感じていない」
--3社に分割という噂もあったし、さらに分割する必要があるとの意見もあるが。
「いくつかの案があった。3分割を1つのアイデアとして検討したことは事実。慎重な議論の結果、2社分割がもっとも適していると判断した。1番悩んだのはプリンターやコピー機の部門をコンピューティングへ含ませるかどうかだ。しかし、これらの部門を融合させることでさらに大きなビジネスチャンスを生み出せると考えた」
--米国内ではPCの最低価格が現在400ドル(約4万7600円)。この価格はさらに下がると予想しているか。また、さらに低価格なレベルで価格競争になった場合、現在と同等の利益をあげることは可能か。
「PCの価格は場合によっては相当下がる可能性もあると予想している。しかし200ドル(約2万3800円)以上の水準であれば、HPは利益をあげられると考えている」