IPsec やExchangeに対応
iPhoneは、音楽や動画といったマルチメディアの機能にどうしても注目が集まっており、パーソナルユースのイメージが強い。しかしiPhoneは、OutlookやExchangeとの連携、VPNへの対応など、ビジネスで利用するために必要な機能を満たしたスマートフォンでもある。
まずスケジュールとアドレス帳については、Outlookと同期(シンクロ)が行なえる。iPhoneでは、PCに取り込んだ音楽データをシンクロするのに、アップルが無償公開する音楽プレーヤーソフト「iTunes」を使う。このiTunesの設定を変えることで、Outlookの「予定表」と「連絡先」とのシンクロが同時に実行されるようになる。メール機能はPOP3/IMAP、SMTPに対応しており、ISPや企業のメールサーバーを使って直接メールを送受信できる。メールサーバーとの通信をSSLで暗号化する機能も搭載する。
加えてiPhoneは、マイクロソフトのExchange Serverとモバイルデバイスの接続を行なう「Exchange ActiveSync」にも対応する。この機能を使うと、Exchange Serverが持つメールと予定表、連絡先がiPhoneに自動送信(プッシュ)され、iPhoneでの変更も自動的にExchange Serverに反映される。こちらも通信内容はSSLで暗号化されるため、インターネット経由での利用も安全だ。メールアカウントの設定メニューに「Microsoft Exchange」があらかじめ用意されており、設定も容易だ。
ほかに、社内システムとの連携で重要になるVPNでは、L2TP overIPsecとPPTP、IPsec(Cisco IPsec)の3つの方式が利用できる。SSLに対応していない社内メールサーバーへのアクセスやグループウェアの利用などに効力を発揮するだろう。
オンラインサービスとの併用も
Exchange Serverの導入はできないが、Outlookとのシンクロをネットワーク経由で行ないたい。そうしたユーザーにお勧めなのが、アップルのオンラインサービス「MobileMe」だ(年額9600円)。MobileMeでは、「me.com」ドメインのメールやオンラインストレージのサービスに加え、メールとスケジュール、アドレス帳のシンクロ機能を持っている。これを使うと、OutlookとiPhone 間のシンクロ、複数のPC 上のOutlook 同士のシンクロなどが可能になる。
また、iPhoneで注目したいのが、専用アプリケーションだ。これは「AppStore」というiPhoneからアクセスする専用サイトで提供するもので、セールスフォース・ドットコムやオラクル、IBM、SAPなどが、業務アプリケーションを提供している。本体が内蔵する機能が不足でも、新しい機能をオンラインサービスやアプリケーションで追加 できる。この拡張性の高さもiPhoneの大きな魅力である。
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