BIOSTAR MICROTECH(以下、BIOSTAR)といえば、どちらかと言えば安価なマザーボードを得意とするメーカーという印象を持っている方も多いだろう。しかし同社はPentium(Socket5)世代の頃から日本でも販売されており、当時あまたに存在したマザーボードメーカーが消え行くなか、現在でも生き残っている老舗メーカーなのだ。当時はミドルレンジクラスのマザーボードを得意としていた同社だが、現在はグラフィックス内蔵チップセットを搭載するmicroATXマザーボードをいち早くリリースするメーカーとして知られている。
もちろんmicroATXばかりではない。オーバークロッカー向けのマザーボード「TPower」シリーズは、CPUの世界記録を競う「オーバークロック ワールドレコード データベース」(http://www.ripping.org/)でも上位ランカーに使用されているなど、実績も着実に積み上げている。現在は首位を明け渡してしまったが、一時期「Phenom X3 8450」にて3093.02 MHzの世界記録達成するなど、その実力は世界のオーバークロッカーが認めるメーカーとしてBIOSTARは活躍している。
そのTPowerシリーズに「Intel X58 Express」チップセットを搭載する「TPower X58」がラインナップに加わった。というわけでTPower X58のスペックを見ていこう。
メモリはDDR3 800~1333MHz、さらにオーバークロックにて1600、1866MHzまで対応する。搭載できる最大容量は24GB(4GB DIMM×6)と、Core i7の制限一杯まで積むことが可能だ。
PCI Expressは x16スロットを3つ備え、上から順にx16/x16/x4動作する。そしてATI CrossFireXおよびNVIDIA SLIの3-wayに対応するため、ハイエンドなグラフィックス環境の構築が可能だ。なおマニュアルによるとATI CrossFireX構成時はx8/x8/x4となるようだが、3-way SLI構成時のレーン数については不明だ。
特徴はこれだけではない。TPower X58のCPU電源回路は12フェーズで、TDPの高いCore i7を余裕でドライブしてくれる。さらにメモリコントローラ用にも2フェーズの回路を備えるほか、使われているコンデンサはすべて固体コンデンサとなっており、安定性と品質の高さも兼ね備えているのだ。
安定性の面では大型のチップセットヒートシンクとヒートパイプによる「High efficiency thermal solutionSpace-Pipe」を採用し、高い冷却性能を実現し、熱によるトラブルを極力廃する「TPower」シリーズの特徴を受け継いでいる。
またオーバークロッカーには便利な機能もいろいろ備えている点も注目したい。オーバークロック実験はケースに組み込ままないバラック状態、もしくはタワーケースに組み込んでも横倒しにてテストすることも多いと思われるが、そんな時に便利なのが、マザーボード上に装備された電源スイッチやリセットスイッチだ。TPower X58には両方とも装備されているほか、起動時の障害を切り分けるのに便利なPOSTコードを表示する7セグメントLEDも備え、オーバークロック時に何が障害になっているのか、判定しやすくなっている。
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