Lower ESR Solid Capacitor Design
ESRとはEquivalent Series Resistanceの略で日本語では等価直列抵抗という。このESRとは電極、電解液、誘電体等の損失抵抗の総和であり、この値が高いほどスイッチング電源に使用した際の電圧変動が大きくなる。当然ながらマザーボードで使われるコンデンサは電圧変動を抑えるために使われるため、この変動が小さいに越したことはなく、低ESRのコンデンサが従来より使われている。
しかし一般的なアルミ電解コンデンサは、内部に電解溶液が入っているのだが温度によってコンデンサ特性が変わるという特性を持つほか、一定の温度以上になると急激に劣化が進むという弱点を抱えていた。それを解決したのがアルミ固体コンデンサだ。
アルミ固体コンデンサは電解液の代わりに機能性高分子という電解質を使うことにより、電解溶液の弱点である温度による劣化を抑え、なおかつ小型で高容量、しかもアルミ電解コンデンサよりも低ESRのコンデンサを作ることが可能になった。
さらにUltra Durable 3で採用されているアルミ固体コンデンサは、品質の高い日本製で5万時間という耐久性があるという。ちなみに一般的なアルミ電解コンデンサは長寿命タイプでも5000~7000時間程度のため、Ultra Durable 3のコンデンサは“超”寿命といえよう。
2オンスPCB(Ultra Durable 3 オリジナル)
2オンスPCBとは1平方フィートあたり2オンスの銅を使っているという意味だ。冒頭で述べた、70μmの銅箔を意味している。ついでにPCBとは基板のことだ。
PCBにおいてGND層は高周波を扱うマザーボードでは非常に重要な役割を果たしている。一つは電源としての役割、つまりGNDラインだが、電磁波のシールド(ノイズの低減)効果も重要な役割となっている。そしてもう一つ役割がある。それはマザーボード全体のヒートシンク的な役割だ。熱くなるCPUやチップセットなど様々な熱源を抱えるマザーボードだが、その熱の一部はGND層に伝わる。そしてマザーボードの大きさとほぼ同サイズの薄い銅箔がGND層としてマザーボード内部で一面に広がっており、この銅箔を通してマザーボード全体に熱を運び、放熱しているというわけだ。
では、基板のGND層の厚みが倍になるとどうなるのか。
引き出される答えは2つ。1つはノイズのシールド効果がさらに高まる。これは単純に厚みが増した分だけ、遮蔽効果が上がるためだ。と同時に抵抗値(インピーダンス)が減り、より大きな電流を流せるようになる。そして銅の厚みが増えるということは、それだけ熱伝導率もあがり、よりマザーボード全体を冷却する効率も上がるというわけだ。なお熱伝導率が上がるということは、熱いCPUをブチ回すほどマザーボード全体の温度が上がることを意味し、そのCPUがアイドル状態に戻った時、今度は温度の下降スピードが速いということになる。高効率のCPUクーラーを触ったときに「熱い」のと同じと思ってくれればいい。
しかし厚みが増えたといってもマイクロメートルの世界だ。ミリメートルに換算すれば、70μm=0.07mmしかない。たったこれだけで果たして効果はあるのだろうか?
というわけで、それを確認すべくいろいろテストをしてみた。QuickBoost機能(後述)を使ってCore 2ファミリーで一番安価なCPU「Celeron Dual-Core E1200」を1.6GHz→2.8GHzにオーバークロックし、CPU電圧などを上げてマザーボードに対するストレスを大きくすることで故意に熱くなるようした環境を作ってみた。この環境で、最新のUltra Durable 3搭載マザー「GA-EP45-UD3R」と、先代のUltra Durable 2搭載マザー「GA-EP45-DS3R」でどのくらい差が現れるのかを見てみよう。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel「Celeron Dual-Core E1200」@OC(FSB 350MHz×8倍=2.80GHz/1.424V) |
マザーボード | GIGABYTE「GA-EP45-UD3R」(Ultra Durable 3) GIGABYTE「GA-EP45-DS3R」(Ultra Durable 2) |
メモリー | Corsair「TWIN2X2048-8500C5D」(DDR2-1066MHz 1GB×2/2.096V) |
ビデオカード | GIGABYTE「GV-R485MC-1GH」(Radeon HD4850/GDDR3 1GB) |
HDD | HGST「HDP725050GLA360」(500GB SerialATA) |
電源 | Corsair「CMPSU-750TXJP」(750W) |
ケース | ANTEC「SKELETON」 |
OS | Microsoft「Windows Vista Ultimate SP1」 |
(次ページへ続く)