昨年11月の「GeForce 8800GT」の発表以来、グラフィックボード関係に新たな動きが見えてきた。PCI Express 2.0対応やプロセスルールのシュリンクによる低発熱化、そしてDirectX10.1対応(これはATI製品のみだけだが)と、技術的な新要素追加のラッシュともいえる。
しかし、ユーザ側から見た最近のトレンドといえば「スーパーミドルレンジクラスの台頭」だ。8800GT人気は技術云々よりもコストパフォーマンスの高さが引き金となっているが、NVIDIAはさらに高コストパフォーマンスな新ミドルレンジクラスのGPUを投入してきた。それが今回紹介する「GeForce 9600GT」だ。今回はアキバで発売済みの製品を早速捕獲できたので、ベンチを交えつつライバル製品との比較を試みたい。
内容は8600GTSのほぼ2倍!
まずは9600GTの簡単な仕様を確認してみよう。9600GTの開発コードは「G94」つまり、8800GTのG92と同じ、65nmプロセスで製造されたPCI Express 2.0対応のGPUということになる。スペックは以下の表の通りだ。
GeForce 9600GT |
GeForce 8800GT |
GeForce 8800GS |
GeForce 8600GTS |
|
---|---|---|---|---|
コアクロック | 650MHz | 600MHz | 600MHz | 675MHz |
メモリークロック | 1.8GHz | 1.8GHz | 1.8GHz | 2GHz |
搭載メモリー | 512MB GDDR3 | 256/512MB GDDR3 | 384MB GDDR3 | 256MB GDDR3 |
メモリーバス幅 | 256bit | 256bit | 192bit | 145bit |
シェーダー クロック |
1625MHz | 1500MHz | 1500MHz | 1450MHz |
ストリーム プロセッサー数 |
64 | 112 | 96 | 32 |
インタフェース | PCI Express 2.0 x16 |
PCI Express 2.0 x16 |
PCI Express 2.0 x16 |
PCI Express 1.1 x16 |
DirectX | 10 | 10 | 10 | 10 |
8600GTSはストリーミングプロセッサが32個と少ないため最新3Dゲームではもう非力な存在となってしまっているが、9600GTはそれを一挙に倍の64個に強化、さらにメモリーバス幅も倍の256bitにするなど、「2倍づくし」で固めてきた。これで価格は初物価格で2万5千円近辺。8800GTのバルクがたまーに2万円台後半で購入できることを考えるとちょっと割高だが、この価格帯にはライバル「Radeon HD 3850」がいる。9600GTは「Radeon HD 3850」に対するNVIDIAの反撃なのだ。
だがスペックアップの代償として基板サイズが大型化し、8800GTと同サイズになってしまった。GPUクーラーも同様の薄型の基板全体を覆うタイプになっている。8800GTの場合、このカバー自体が熱を持つのが最大のネックだが、9600GTはGPUのスペックダウンによってどの程度発熱が抑制されているかが見所になる。
SLIもテストせざるを得ない
さて、9600GTのベンチに入りたい。今回は8800GTと8600GTSという9600GTの上下モデルのほかに、Radeon HD 3850も交えて比較してみることにしたい。さらに、9600GTを2枚用意したSLI構成にした場合、いったいどれだけのスコア出るのかという点も見てみたいものだ。というわけで今回のテストマシンは、nForce 680i SLIマザーをベースにしたものだ。テスト環境は以下の通り。
テスト環境 |
---|
CPU:インテル「Core 2 Duo E6850」(3GHz) |
マザーボード:MSI「P6N Diamond」(nForce 680i SLI) |
メモリ:Transcend TX1066QLJ-2GK(DDR2 1066 1GBx2) |
HDD:Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA) |
OS:Windows Vista Ultimate |
フラフィックドライバ:ForceWare 169.25 / 174.16 |
9600GTのドライバは既にWQHL版174.xxがNVIDIA公式サイトからダウンロードできるが、現在のバージョンではGeForce 8シリーズを認識しない、別のドライバーになっている。検証で使用するForceWareが2種類なのはそのためだ。
※お詫びと訂正:GeForce 8800GTのストリームプロセッサ数の表記に誤りがありました。訂正して、お詫びいたします。
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