日本ヒューレット・パッカードは、2月18日、グリーンITへの取り組みに関する記者説明会を開いた。2008年のIT業界のキーワードとして注目度を増す「グリーンIT」。HPの取り組みとは?
電力削減の目標を前倒しで達成、25%削減に上積みへ
「グリーンIT」への注目が集まっている。グリーンITとは、電力エネルギー利用の効率化や資源の再利用によって、ITの環境負荷軽減を目指す取り組みを指す。背景には、京都議定書に盛り込まれた二酸化炭素(CO2)の削減、CSR(企業の社会的責任)に対する関心の高まりなどが挙げられる。
ヒューレット・パッカード(HP)は、そのグリーンITに対して、ITを利用するユーザーとしてはもちろん、IT製品の開発・製造にあたるベンダーとしても取り組みに力を入れる。
たとえばリサイクルでは、PCに換算するとおおよそ3億台に相当する50万トンのIT機器を2007年にリサイクル。1992年には環境配慮設計プログラムを制定し、製品そのものの環境対応を充実させた。
エネルギー消費量の削減にも取り組んでいる。2010年までに、HP全体の電力消費量を2005年から25%削減することを目標に設定。日本HPエンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括執行役員の松本芳武氏によると、「当初の目標は20%だったが、2007年時点で19.2%の削減を達成したため、目標値を上積みした」という。たとえば、グローバルで85カ所以上あったデータセンタを6カ所に集約・統合した結果、従来の60%の電力削減を実現している。
こうした取り組みはHP本体だけにとどまらない。世界300社からなるサプライチェーンに対しても、自社同様の環境配慮基準を求めているのだという。
「最高の省電力マシン」ブレードサーバを推進
IT製品を供給するベンダーとしての立場からHPが力を入れるのは、電源効率がよいブレードサーバの利用促進だ。
「ブレードサーバは最高の省電力マシン。1Uサーバ16台に比べて16枚のブレードは30%程度の省電力化に繋がる」とAdaptive Infrastructureビジネス本部マネージャーの高原明彦氏は強調する。省電力・低発熱・軽量化といったメリットを武器に、ブレードサーバを売り込んでいく考えだ。
また、水冷ラックや空調最適化など、データセンター向け製品についてもより効率的な製品群をそろえていくほか、省電力プロセッサの積極的な採用や設計の見直しなどによって、クライアントPCやプリンタにいたるまで、グリーンITへの対応を打ち出していく。
こうした取り組みから、高原氏は「HPは世界でもっとも幅広いグリーンITソリューションを持つ企業だ」と胸を張る。今年1月には、日本HP社内に「グリーンITイニシアチブ」と呼ばれる全社横断的なプロジェクトを立ち上げ、100名弱からなるメンバーが啓発活動にあたっている。グローバルでの取り組みに歩調を合わせ、日本HPでもグリーンITを強く推進していくという。