音へのこだわり、細部まで
SH905iでは、音を楽しむためにハードにも工夫がほどこされている。例えば、「タッチクルーザー」という、静電パッド式の一切音を立てないインターフェースだ。
イヤホンをして音を聴いているときには、できるだけ余計な振動や音を立てたくないモノだ。
iPodはクリックホイールを操作するとカチカチと音が鳴る。タッチホイールながらダイヤルを操作している感覚が伝わってきて、インターフェースとして心地良い一方で、音が鳴らなければ操作感として不十分であるため、やはりクリッカーはオンで使っていた。
しかしiPod touchを使い始めて、それは間違いであったと気づく。iPod touchでは操作していてもスクロールや選択の際に音が出ない。音楽に集中しつつもiPodを操作したい場合、操作音が出ないtouchの方が正解だと思ったのだ。
タッチクルーザーを搭載するSH905iからも、そうした操作音すら許さないという音へのこだわりが感じられる。
そのタッチクルーザーはちょうどノートパソコンのマウスの役割を果たしている。左右へのスクロール操作を快適にこなすほか、中央をダブルタップすると決定キーの役割にもなる。
このインターフェイスをワンセグ視聴中に使う機会がないじゃないか、と思うかも知れない。が、SH905iでは、ワンセグを観ながらメールを読み書きしたり、iモードのサイトを見たりする「マルチウインドウ」を備えている。このマルチウィンドウがまた快適なのだ。
「テレビを観ながら、ケータイを触る」が1台で完結できる。そのときに音を立てないインターフェースが生きてくるわけだ。
今までケータイで音を聴いていた人は、この端末の魅力がよく分かるのではないだろうか。そして今まで音をケータイで聴いていなかった人にも、納得のクオリティーを実現していると言える。いずれにしても、一度「耳」にしてみるべき逸品であることは間違いない。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。自身のブログはTAROSITE.NET。
*次回は12月6日掲載予定
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