【レポート】Oracle OpenWorld 2007
「Fusion Applicationsは2008年中にリリースする」――米オラクルの担当上級副社長が明言
2007年11月14日 19時44分更新
米オラクルは、かねてからスケジュールの遅れが懸念されていた「Fusion Applications」のデモ画面を公開し、2008年中にリリースすることを発表した。
デモ画面を初公開、「ユーザーは新たな選択肢を手に入れる」と強調
11月13日、米オラクルはOracle OpenWorld 2007の会場にて、SOAを基盤としたアプリケーションソフトウェア「Oracle Fusion Applications」のデモ画面を初めて公開した。Fusion Applicationsはオラクル傘下の各種アプリケーションの優れた機能を取り入れ、統一の言語体系で構築した新しいアプリケーション製品群。
アプリケーション開発担当シニア・バイスプレジデントのエド・アボ氏は「予定通り2008年にリリースする方針は変わらない」と述べ、「Fusion Applicationsのリリース時期が遅れるのでは」といった噂を一蹴した。
買収・統合によって企業拡大を続けるオラクルは、様々なアーキテクチャが混在することによって生じた問題点を解消するため、「すべてのアプリケーションをFusion Applicationsに一本化する」という戦略を発表していた。しかし、既存のOracle E-Business SuiteやPeopleSoft、Siebel、JD Edwardsなどを統合する戦略は、既存ユーザーにリプレイスを強制することにもつながり、反発を招いていた。そのため、昨年「Applications Unlimited」という戦略も発表。「今後も個々の既存アプリケーションのアップグレードを行う」と既存ユーザー向けの施策も行なうこととなり、2つの戦略が平行して進められることになった(関連記事)。
「Fusion Applicationsがリリースされることで、顧客に対して新たな選択肢を提示することができる。ユーザーが望むタイミングで、既存のアプリケーションかFusion Applicationsを選択するということになる」(アボ氏)。
今回のOracle openworld 2007のアボ氏の講演中、初めてFusion Applicationsのデモ画面を公開した。デモで発表されたFusion ApplicationsはE-Business SuiteやPeopleSoftの人事機能の“いいとこ取り”を行なった人事アプリケーション。ユーザーインターフェイスはFusion Applications用に一新されている。
一方、オラクルはアプリケーション同士のビジネスプロセスを統合するためのプラットフォームとして「Application Integration Architecture」(AIA)を推進している(関連記事)。オラクルのアプリケーション同士を繋ぐAIAと各種アプリケーションの機能を統合したFusion Applicationsは混同されやすく、「AIAはFusion Applicationsリリースまでの過渡的なものか?」と会場から質問が出た。
それに対し、アボ氏は「AIAは単に自社内のアプリケーションを繋ぐだけでなく、レガシーや他企業のアプリケーションとの統合も可能にする。AIAはこれからもオラクルにとって重要な戦略として位置づけており、Fusion Applicationsが登場したからといってAIAが無くなるというわけではない」と述べた。