復調する日本経済の根幹を担う金融業界。メガバンクの統廃合は落ち着いたものの、企業の基礎体力の強化という課題が残されている。そうした状況にある金融業界で今、求められているのがシステムエンジニアだ。人材紹介会社「JAC Japan」の大條恭代さんに、金融系システムエンジニアが求められている理由と転職のポイントを聞いた。
大條恭代さん
株式会社ジェイ エイ シー ジャパン
IT系スペシャリストチーム
EM系スペシャリストチーム
リーダー
この職業の天気予報!
金融系システムエンジニア
今 求められる人材とは?
- 最低3年のホスト/オープン系システム開発/運用経験者
- メインフレーム、オープン系のアプリケーション開発(設計/プログラム作成/検証)の実績
- 清潔感や朗らかさ、礼儀正さのある人
金融システムエンジニアの年収相場は?(25歳~35歳)
- 平均年収500~900万円
- 最高年収1,200万円
新システムの構築が急務な金融業界はシステムエンジニアを渇望している!
今年の1月以降、IT系の求人数は右肩上がりです。そんなIT系求人の1割以上を占めているのが、金融系システムエンジニアです。特に今年に入ってからは継続的に上昇傾向にあり、この勢いは来年も変わらないでしょう。金融系システムエンジニアの転職市場は、間違いなく「晴れ」と言えます。
その理由は、日本経済が活況であること以上に、金融業界のトレンドにあります。それは第1に、銀行や証券会社などの金融系企業が、不良債権の処理や大胆なリストラなどの企業再生をほぼ終え、新たな投資ができるようになり、新しい基幹システムを必要としはじめたこと。第2に、郵政民営化の影響で金融サービスの垣根がなくなり、銀行が損保の分野に、あるいは証券会社や生命保険会社が銀行の分野に進出していることなどで、各社が金融系の新システムを必要としていること。第3に、イーバンク銀行などのネットバンクや、楽天やYahoo!などが手がけるネット証券といった、これまでにない新たな金融モデルが出現したこと。これらが、金融系システムエンジニアの需要を高める要因です。流通系企業であるイオンも金融業を立ち上げており、今後も金融系システムエンジニアの求人は、活況が見込めると予測しています。
また、大型汎用機やオフコン(注1)によるレガシーシステム(注2)をこれまで運用・保守を行なってきたベテラン・エンジニアがそろって定年を迎える「2007年問題」も見逃せません。システム開発の主流は汎用機からオープン系へ移行しているため、若手エンジニアで汎用機やCOBOL(注3)の知識を持っている人は多くはありません。ほとんどの現場では技術や業務知識の継承ができていないので、企業は新たな金融系システムの再構築に迫られています。そのため、各企業が金融系システムエンジニアを求めているのです。今まさに、転職の絶好のタイミングと言えるでしょう。
注1:オフコン(office computer)
事務処理に特化したコンピュータ
注2:レガシーシステム(legacy system)
企業などにおいて新規開発導入する情報システムに対し、以前から使用している既存システムのことを言う
注3:COBOL
プログラミング言語の1つ。
CODASYL委員会によって制定された、事務処理計算用言語
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