スピーシーズ(株)は30日、同社が2006年4月に発表した2足歩行ロボットキット“MI・RAI-RT”(ミライ・アールティー)シリーズ『SPC-101』(関連記事)に、ウェブカメラ機能や音声認識ソフトなどを追加した上位モデルキット『SPC-101C』の受注と販売を9月1日に開始すると発表した。価格は33万6000円。同日、東京・原宿のKDDIデザイニングスタジオで記者発表会が行なわれ、同社代表取締役の春日知昭(かすがともあき)氏が、今後の同社におけるロボットビジネスモデルを語った。
SPC-101は、無線LANでインターネット上の専用サーバーにアクセスして、ロボットの動作プログラムや発声プログラムをダウンロードすることで、様々なモーションを再生できるロボット。同社では、SPC-101の発表と併せて、インターネットを通じてこのモーションをコンテンツとして提供していた。
上位モデルとなるSPC-101Cは、SPC-101の頭部に27万画素CMOSセンサーを採用するウェブカメラを新たに内蔵した。併せて、SPC-101Cを制御するアプリケーションソフトの開発環境として、Soket(TCP/IP)ベースのAPI“OpenRoads”を同社ウェブサイト上で無償で提供開始した。このOpenRoadsで開発したパソコン向けの制御ソフト『101-VCE』をキットに同梱している。なお、101-VCEのソースコードも開示されている。
101-VCEは、ウェブカメラで受像した映像を、無線LAN経由でパソコンにストリーミング受信して確認できるほか、人間の顔や動体物を検知する機能を搭載する。これに加え、101-VCEに音声認識機能などを追加するソースコードが同社ウェブサイト上に公開されており、これらの機能を必要に応じてユーザーが組み込み、応用した制御プログラムを独自に構築できる。
これら制御環境の充実やロボットのウェブカメラ搭載などにより、従来のSPC-101は特定の動きを動作させてユーザーが楽しむといった用途に限られていたが、SPC-101Cは101-VCEと連携することで、インターネットを利用した遠隔地の監視システムや、半自律ロボットとしての応用が可能になっている。
SPC-101Cの主な仕様はSPC-101と同等で、身長33cm、体重1.5kg。関節は22ヵ所で、手と胸にはLEDを105個搭載している。
ロボットの派遣事業を開始
記者発表会で春日氏はまず、「IT側とロボット開発側は交流が浅い印象がある。最先端のロボットを開発したという話を聞いて訪ねてみると、開発したのはハードのみでソフトは未開発。結局まだ動かない、というパターンが多かった」と切り出した。
また、ロボットに抱く一般的なイメージについて、「専用機能に特化したハードで構成する、作業性を重視したものが多い。いわゆる格闘ロボット、お掃除ロボットといったもの」と前置きした。
その上で、スピーシーズのロボットについて、「目的に応じて動作をプログラム可能な柔軟なロボット。SPC-101Cの発表に併せて、アプリケーションの開発プラットフォームを、パソコン向けに無償で提供開始する。コンシューマー向けには、価格が30万円オーバーと高い設定になるが、今回は企業やソフトウェアエンジニア向けとして販売する。コンシューマー向けには10万円を切らなければならないと考えており、ぜひ実現させたい」と述べた。
加えて、今後の同社のロボットビジネスについて、「これまでは、開発・販売をビジネスモデルとしてきたが、今後は“ロボットタレント派遣事業”も展開する。商品デモや会場案内などの業務を行なうロボットを、要望に応じてプログラムし、派遣していく」と意気込みを語った。