エンジニアに馴染み深い英単語に、「disconnect」と「terminate」がある。どちらも「切断」という意味を表す言葉として認識している人が多いことだろう。
たとえば、Windows2000のエラーメッセージ630「ハードウェア障害のために、モデム(またはほかの接続デバイス)は切断されました」の原文は「The port was disconnected due to hardware failure」。同じくエラーメッセージ629「この接続はリモートコンピュータによって切断されました」の原文は「The data link was terminated by the remote machine」である。
それにしても、なぜアメリカのWindows2000開発エンジニアは、切断を表現するために2つの単語を用いているのだろうか。それを知るために、disconnectとterminateの意味を「リーダーズ英和辞典」(研究社)で調べてみると……。
- disconnect
- …の連絡[接続]を断つ、分離する、…の電源を切る
- terminate
- 終わらせる、…の最後を締めくくる、[限界、境界]をなす
何と、terminateのどこにも切断の意味など含まれていないではないか。そこで、改めてエラーメッセージ630を読み返すと、この文章が説明しているのはネットワークがdisconnect(切断)されたという状況であり、原因については「ハードウェア障害」という抽象的な説明しかなされていない。一方、エラーメッセージ629は、ネットワークへの接続がterminate(終了)した原因がリモートコンピュータからの要求であったことを説明している。つまり、同じ切断であってもdisconnectの場合は原因不明、terminateの場合は原因を特定しやすい状況にあるのだ。
さあ、disconnectとterminateの違いが分かったエンジニアが、次に取る行動とは何か──。terminateされた場合は、何らかの原因によってネットワークやアプリケーションの終了処理が行なわれたケースが多いので、落ち着いて推理すれば解決は近いだろう。一方、disconnectされたということは、単に「切断したよ」と告げられたに過ぎない。したがって、いつ終わるとも分からない「切り分け(原因の特定作業)」を行なう覚悟をしなければならない。
Illustration:Aiko Yamamoto
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