ユーザーの行動を分析するビヘイビアー型
2つ目は、ユーザーの行動を分析して、そこから最適な広告を表示するビヘイビア型広告だ。
インターネットでは、記事の内容を分析してそれに合った広告を表示するコンテンツ連動型広告や、検索キーワードに合わせて広告を表示するリスティング型広告が定番になっている。しかし、これらの技術で表示される広告は、ウェブページの内容とは連動していても、ユーザーの趣向や現在いる場所とはまったく関係ない。
ビヘイビア型広告は、こうしたコンテンツ連動型やリスティング型の広告でフォローしきれていない、ユーザー側の情報にフォーカスした新しいインターネット広告になる。
例えば、同じ夏休みに関するウェブニュースでも、スポーツ関係のウェブページをよく見ている人が開くとゴルフ用品などの広告が現われるし、旅行代理店のウェブページをチェックしている人ではディスカウント航空券やホテルの広告が表示されるといった具合に、ユーザーによって表示内容が異なる。
2005年にAOL系のAdvertising.com社が行なった調査では、ビヘイビア型広告を見たユーザーはクリック後のアクションが伴いやすい(ジャンプした先のページでのユーザー登録などを行ないやすい)という結果が報告されている。米国では、すでにヤフーなどいくつかの企業が、この新しい広告を実験し始めた。
位置情報もユーザープロフィールになる
ユーザーがどのようなウェブページをみているかといった情報は、Yahoo!のように多彩なコンテンツを所有している企業でないと実現しにくいし、ユーザーからプライバシー侵害と見られる恐れもある。
しかし、もっと単純なレベルでのユーザー観察、例えばユーザーがアクセスに使っているIPアドレスからユーザーの居場所を特定し、その地域にあった広告を表示する、といったものであれば、かなり現実的だ。
1600を超えるECサイト(広告主)と39万のメディアパートナーをつなぐ日本最大級のアフィリエイトネットワークを持つ米バリューコマース社の創立者で、取締役のティモシー・ウィリアムズ氏は「今年後半には、ビヘイビアー型広告が日本にも少しづつ入ってくる」と予想する。
そしてこうしたユーザーの心理などの分析が重要なビヘイビアー型広告が出てくることによって、「インターネット広告におけるコンサルティングが、ますます重要になる」と言う。
まだ、ビヘイビアー型広告が始まっていない現在でも、インターネットを使った多様な広告展開で、最適な効果を出そうとする広告主が増えており、インターネット広告業界ではコンサルティングによる売り上げが大きく伸びていると同氏は語る。
(次ページに続く)
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