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ダイヤモンドスピン量子ビット制御回路の極低温での動作に成功

2024年02月22日 06時31分更新

文● MIT Technology Review Japan

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富士通と、デルフト工科大学(Delft University of Technology)とオランダ応用科学研究機構(TNO)が設立したキュー・テック(QuTech)の共同研究チームは、ダイヤモンドスピン量子ビットを制御する電子回路を、極低温で動作させる技術を開発した。同技術により、量子コンピュータ構築における配線を単純化し、スケーラビリティとパフォーマンスの両立を達成できる可能性があるという。

富士通と、デルフト工科大学(Delft University of Technology)とオランダ応用科学研究機構(TNO)が設立したキュー・テック(QuTech)の共同研究チームは、ダイヤモンドスピン量子ビットを制御する電子回路を、極低温で動作させる技術を開発した。同技術により、量子コンピュータ構築における配線を単純化し、スケーラビリティとパフォーマンスの両立を達成できる可能性があるという。 ダイヤモンドの窒素空孔(NV)センターに関連付けられた電子および核スピンで構成するダイヤモンドスピン量子ビットは、量子状態の保存時間の長さなどの点から、将来の大規模量子コンピュータに実装する量子ビットの有力候補の一つとされている。 研究チームは今回、極低温(絶対温度約4度)下に置かれたダイヤモンドスピン量子ビットを駆動するのに必要な磁場印加回路とマイクロ波回路を、クライオCMOS回路技術を用いて設計。ダイヤモンドスピン量子ビットと同じ極低温の冷凍機内に入れた状態で動作させ、十分な強度の磁場、マイクロ波を発生させて、同量子ビットを駆動させることに成功した。 量子ビットを正確に動作させるためには極低温に保たなければならないが、その制御回路を極低温下で正確に動作させることは一般に困難であり、常温下に設置する必要がある。そのため、将来、量子ビットが数千、数百万と増大するに伴って、極低温環境と常温環境をつなぐ配線の数が増加し、信頼性や製造、サイズに影響を及ぼすことが課題となっている。

(中條)

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