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ハイブリッド量子状態の電気的検出に成功、情報処理応用に期待

2023年11月14日 06時34分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、テラヘルツ電磁波と電子を半導体ナノ構造中に閉じ込めることにより、非常に強く相互作用させ、光と粒子の両方の性質を併せ持ったハイブリッドな量子状態を実現。「量子ポイントコンタクト」と呼ばれるナノ構造を導入することによって、単一の光共振器中のハイブリッドな量子状態を、電気信号として高感度に取り出す技術を確立した。電子が持つ量子情報を、テラヘルツ電磁波を介して遠方に運べるようになるとして、量子情報処理技術への応用に向けた重要な要素技術となることが期待される。

東京大学の研究チームは、テラヘルツ電磁波と電子を半導体ナノ構造中に閉じ込めることにより、非常に強く相互作用させ、光と粒子の両方の性質を併せ持ったハイブリッドな量子状態を実現。「量子ポイントコンタクト」と呼ばれるナノ構造を導入することによって、単一の光共振器中のハイブリッドな量子状態を、電気信号として高感度に取り出す技術を確立した。電子が持つ量子情報を、テラヘルツ電磁波を介して遠方に運べるようになるとして、量子情報処理技術への応用に向けた重要な要素技術となることが期待される。 研究チームは今回、「スプリットリング共振器」と呼ばれる、テラヘルツ帯域に共鳴周波数を持つオンチップの光共振器と、半導体ヘテロ構造(異種の半導体を接合した構造)中の電子を強く相互作用させることで、光と電子の両方の性質を持つハイブリッド結合状態を生成。さらに、単一オンチップのテラヘルツ光共振器とGaAs(ヒ化ガリウム)半導体中の2次元電子系との間の量子状態(超強結合状態)を、「量子ポイントコンタクト」と呼ばれる電気的な狭窄(きょうさく)構造の電気伝導を測定することによって電気的に読み出すことに成功した。 ハイブリッド量子状態を読み出す先行研究では、多数の光共振器を整列させ、その光透過率の平均値を測定する方法が主に用いられてきた。だが、量子情報処理技術などへの応用を見据えて、単一の光共振器の量子状態を読み出す技術の確立が強く望まれていた。今回の研究論文は、ナノレターズ(Nano Letters)に2023年11月1日付で掲載された

(中條)

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