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CO2をほぼすべてCOに変換できる光触媒反応=筑波大

2023年10月25日 06時51分更新

文● MIT Technology Review Japan

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筑波大学の研究チームは、二酸化炭素(CO2)から高選択的に一酸化炭素(CO)を与える光触媒的還元反応を開発。気相中の初期CO2濃度を1.5%まで下げてもこの反応は高効率に進行し、加えたCO2をほぼすべてCOに変換できることを示した。

筑波大学の研究チームは、二酸化炭素(CO2)から高選択的に一酸化炭素(CO)を与える光触媒的還元反応を開発。気相中の初期CO2濃度を1.5%まで下げてもこの反応は高効率に進行し、加えたCO2をほぼすべてCOに変換できることを示した。 地球温暖化などの環境・エネルギー問題の解決に寄与する方法の一つとして、光エネルギーを利用してCO2を有用物質に変換する技術の開発が盛んに研究されている。研究チームは今回、ルテニウム(Ru)複核錯体を、自己光増感能を有する光触媒として利用。Ru複核錯体を含むジメチルアセトアミド/H2O混合溶媒に犠牲還元剤を加え、1気圧のCO2雰囲気下、中心波長450ナノメートル(nm、1nmは10-9メートル)の光を10時間照射した。 その結果、加えた犠牲還元剤と基質であるCO2がすべて消費され、COが99%以上の選択性で生成されていることを確認。450nmにおける量子収率(光化学反応を起こした原子または分子の個数と、吸収された光子の個数の比)は、最大19.7%と決定できた。また、気相中の初期CO2濃度を1.5%まで下げても、このRu複核錯体による光触媒的CO2還元反応は高効率に進行し、加えたCO2をほぼすべてCOに変換できることが示された。 同チームは今後、触媒活性をさらに高め、大気と同等のCO2濃度(およそ420ppm)でも、高効率にCO2還元反応が進行する反応系を創出するとしている。研究論文は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)に2023年10月13日付けで掲載された

(中條)

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