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月着陸実証機「SLIM」、地球周回軌道を離れていよいよ月へ

2023年10月04日 06時44分更新

文● MIT Technology Review Japan

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、9月7日に「H-IIA」ロケット47号機で打ち上げた小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が地球周回フェーズを終了し、10月1日に月へ向かうための軌道変更を実施して月遷移フェーズへの移行を完了したと発表した。探査機の状態は正常であるという。JAXAの計画によると、スリムは打ち上げ後3~4カ月で月周回軌道に到着し、約1カ月にわたって月を周回した後、月面への着陸降下を実施する。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、9月7日に「H-IIA」ロケット47号機で打ち上げた小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が地球周回フェーズを終了し、10月1日に月へ向かうための軌道変更を実施して月遷移フェーズへの移行を完了したと発表した。探査機の状態は正常であるという。JAXAの計画によると、スリムは打ち上げ後3~4カ月で月周回軌道に到着し、約1カ月にわたって月を周回した後、月面への着陸降下を実施する。 スリムの月までの軌道は、(1)地球の周りを周回しながらタイミングを見計らい、遠地点(=地球とスリムが一番離れる点)を月軌道の距離まで押し上げる、(2)その後、月の近傍を通過する際に月の重力を利用して軌道変更する月スイングバイにより遠地点高度をさらに上げる、(3)スイングバイ後、太陽潮汐力を利用して月との会合ポイントへ到達する、という3ステップを予定している。 スリムは、ピンポイント着陸技術と、小型で軽量な探査機システムの実現を目標とし、将来の月惑星探査に貢献することを目指すJAXAのプロジェクト。前者については、「画像照合航法」と「自律的な航法誘導制御」により、従来の月着陸精度である数キロメートル~10数キロメートルに対して100メートルオーダーを目指す。後者に関しては、小型・軽量で高性能な化学推進システムや計算機や電源システムの軽量化で実現する。

(中條)

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