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「鉄」から高活性・高耐久性の触媒を開発=阪大

2023年10月03日 06時51分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学の研究チームは、鉄を用いて高活性・高耐久性の液相水素化用触媒を開発することに初めて成功した。開発した鉄触媒は工業的に重要なニトリルからアミンへの液相水素化反応において高い触媒活性を示し、反応後の触媒は繰り返し再使用できる。

大阪大学の研究チームは、鉄を用いて高活性・高耐久性の液相水素化用触媒を開発することに初めて成功した。開発した鉄触媒は工業的に重要なニトリルからアミンへの液相水素化反応において高い触媒活性を示し、反応後の触媒は繰り返し再使用できる。 今回、研究チームは、鉄とリンで構成されるリン化鉄をナノ化したリン化鉄ナノ粒子(Fe2P NC)を独自技術で合成。同ナノ粒子が200℃以下の低温領域で、化学工業において重要なニトリルの水素化反応に高活性・耐久性を示す触媒として機能することを見い出した。従来のリン化していない鉄ナノ粒子触媒(Fe NP/TiO2)は、ニトリルの水素化反応にほとんど活性を示さない。 さらに、Fe2P NCを酸化チタン(TiO2)と複合化すると、Fe2P NC の水素化能が著しく向上することを発見。得られたFe2P NC/TiO2触媒は、温和な条件において様々な種類のニトリルを水素化し、ポリマー原料や医薬中間体として重要な様々なアミン類の選択的な合成できることがわかった。反応後の触媒は遠心分離で反応溶液から簡便に分離でき、高活性を維持したまま再使用できる。 鉄は、地殻中に豊富に存在し、安価で低毒性であることから触媒として魅力的だが、高活性な鉄触媒の開発は遅れていた。今回の成果は、枯渇や毒性による使用制限が懸念される稀少金属を用いない持続可能な化学反応プロセスの構築に貢献することが期待される。研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)のオンライン版に2023年9月28日付けで掲載された

(中條)

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