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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第22回

Unreal Editor for Fortniteの衝撃:

メタバース化したFortniteがすごすぎる

2023年05月11日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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Fortniteで経済圏を発展させたいEpic Games

 Epic Gamesがなぜこうしたものを作ったかといえば、Fortniteを「永遠に発展し続けるゲーム」という形へと発展させていきたいからですね。その意味でFortniteが今後、メタバースとして発展し続けるかを占う重要な発表もありました。島を開発するユーザー生成コンテンツ(UGC)開発者への収益の分配を始めるというものです。

 これまでゲーム会社は、ModなどのUGCをゲームコンテンツの寿命を延ばす有力な手段として使ってきました。しかし多くの場合、UGC開発者は、開発したコンテンツで利益を生み出すことができませんでした。

 Robloxのようにゲーム内の仮想通貨を通じて制作者にも支払いをする仕組みを用意することで、メタバースエコノミーを成長させる仕組みを提供するケースも出てきています。これまでのFortniteにはそれがなかったんですね。

 Epic Gamesは今回、「クリエイターエコノミー2.0」と呼ぶフォートナイト内での次世代エコノミーと呼ばれる制度を整えるとしています。その最初の方策として、「エンゲージメント配当への早期アクセス」を開始しました。これはEpic Gamesが認める条件を満たす必要がありますが、公開している島へのユーザーの没頭度に応じて金銭をもらえるという仕組みです。

 Epic Gamesの発表によれば、フォートナイトのアイテムショップ、および関連する現金での購入で得た純収入の40%を、エンゲージメントに基づき配当総額に割り振ります。この配当総額から毎月、有資格の全ての島(個人クリエイターの島、バトルロイヤルのようなEpic自身の島を含む)の公開者に対してエンゲージメントを配当します。

 配当は、各島のプレイヤーの没頭度に基づき計算されるとしています。つまり、自分の島が人気であればあるほど、配当金が支払われるということになります。これは島の制作者の間では「Creative 2.0」と呼ばれるようになり、次作の島のトレイラーにそうした表示がされるようになっています。

 実際にはどれくらい配当金が支払われているのかといった正確な情報は明らかになっていませんが、Kiwi氏など有力なUGCゲーム開発者を今後も引きつけられるのかに注目が集まってきています。

The metaverse is NOT dead

 最近メタバースは元気がなくなっているように見えますが、Epic Gamesはむしろノリノリで攻めています。「メタバースは死んだ」と報道されることもありますが、Epic Gamesの動きを見ていると「メタバースは死んでないよ!」と言いたくなりますね。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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