Fortniteの世界観でマルチプレイ可能なメタバース
UEFNは同社が昨年正式公開した、Unreal Engine 5をFortnite用に使えるようにした簡易的なゲームエンジン環境です。昨年から開発が進められていることが明らかにされていたのですが、GDCに合わせてベータ公開が開始されました。
講演に使われた技術デモ映像を見てみると、シネマティックシーンから始まるAAAタイトルのシューティングゲームに見えますが、「実はこれFortniteです」という形で示されました。UEFNの編集画面に戻したり、そこから、そのままFortniteのゲームに移行できます。敵を配置したり、地形を編集したりも可能。専用の簡易コードも用意されていて、かなり本格的なゲームを作ることもできるようになっています。
ムービーパート専用の編集ツールも今後追加予定という話なので、ゲームの中でシネマティックシーンを演出して入れるということができるようになります。やろうとすれば映画のようなものも作れてしまいます。非常に強力なのが、Fortniteをベースにしているために、最初からマルチプレイを前提にして使える点です。
要するに、Fortniteの世界観で即マルチプレイ可能なメタバースが作れるわけです。ユーザーが作ったマップは「島」と呼ばれます。それぞれ12桁のコード番号が割り振られ、マップ選択画面で番号を入力するだけでプレイ可能になります。
これがとてつもなく強力なのは、Fortniteで過去に使われてきたアセット類がすべて使えて、適当に配置をするだけで、ワールド内にリアルタイムに即反映されること。他のプレーヤーにすぐ影響をおよぼすことができるわけですね。
デモの中では、PC上で位置を変更したアセットが、PlayStation 5からワールドにアクセスしているユーザーの世界に即反映されている姿が説明されていました。
Unreal Engine 5のライティングを非常に豪華できる照明システムLumenも使えるので、グラフィックにもこだわることができます。
Epic Games傘下の3Dスキャンした3Dデータを提供しているMegascansの3Dアセットのライブラリーもそのまま取り込んで使えるようになっていて、Unreal Engine 5の簡易版とは言え、相当な機能がはじめからそろっている状態です。あまりにも環境が豪華すぎて、「うぎゃー!」という感じですね(笑)。
プレイ可能なデモとして示されていた「フォレスト・ガーディアン」というマップは、日本風の鳥居のある場所を進むと奥に龍が待ち構えており、襲ってくるオオカミを剣で倒して、アイテムを獲得する──という長さとしては10分程度のものでしたが、シングルプレイのゲームプレイを体験できるようになっていました。
Fortniteはもともと、ゲーム内で自分の島を作れる「クリエティブモード」という仕組みを持っていたのですが、エディター上で制作できるようになったことで、開発がより簡易に作れるようになりました。
この連載の記事
-
第66回
AI
有名人そっくり、増え続けるAI音声 “声の権利”どう守る -
第65回
AI
画像生成AIに照明革命 日本と世界で同時に“神ツール”登場 -
第64回
AI
自分好みのAIチャット相手を簡単に作れる「Dify」が面白い -
第63回
AI
まるで“いけない話ができるChatGPT” ローカルAI「Command R+」の爆発的な可能性 -
第62回
AI
動画生成AI、映像制作の“民主化”目指して研究進む -
第61回
AI
画像生成AI“児童ポルノ”学習問題、日本では表現規制の議論にも -
第60回
AI
3Dアニメーション技術の革新が止まらない -
第59回
AI
政府、生成AI推進に向けて議論を加速 -
第58回
AI
画像生成AIで同じキャラクターが簡単に作れるようになってきた -
第57回
AI
日本発のリアルタイム画像生成AIサービスが熱い 大手にとっては“イノベーションのジレンマ”に -
第56回
AI
画像生成AIの著作権問題、文化庁議論で争点はっきり - この連載の一覧へ