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体内NOによる疾患誘導の仕組みを解明、阻害薬を開発=岡山大ら

2023年02月17日 06時33分更新

文● MIT Technology Review Japan

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岡山大学、米スクリプス研究所、東京薬科大学などの国際共同研究チームは、体内の一酸化窒素(NO)がDNAの脱メチル化を引き起こし、疾患関連遺伝子を誘導することを突き止めた。さらに、この現象を阻害する薬の開発に成功し、一酸化窒素による腫瘍形成が劇的に抑制されることを明らかにした。

岡山大学、米スクリプス研究所、東京薬科大学などの国際共同研究チームは、体内の一酸化窒素(NO)がDNAの脱メチル化を引き起こし、疾患関連遺伝子を誘導することを突き止めた。さらに、この現象を阻害する薬の開発に成功し、一酸化窒素による腫瘍形成が劇的に抑制されることを明らかにした。 生体内で作られるガス状分子である一酸化窒素は、血圧、記憶、殺菌など多彩な生理作用を持つことが知られている。研究チームは今回、一酸化窒素がDNAをメチル化する酵素に結合して、酵素活性を抑制することを発見。これにより、DNAの脱メチル化が起こり、多くの遺伝子が誘導されることを明らかにし、酸化還元による遺伝子発現の調節機構を実証した。加えて、「分子特異的酸化修飾阻害薬」という新たなカテゴリーに分類される薬の開発と、治療薬としての可能性を提示した。 遺伝子発現を制御するDNAのメチル化修飾は、環境やストレスによって変化し、様々な疾患発症に関与しているが、この修飾が体内でどのように制御されているかは分かっていなかった。今回の成果は、健康維持だけでなく、がん、中枢神経変性疾患、新型コロナウイルス感染症などの発症原因の解明に繋がることが期待される。 研究論文は、ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)に2023年2月4日付けで掲載された

(中條)

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