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業務を変えるkintoneユーザー事例 第158回

年2回しか使用しないアプリがもたらした効果

情シスと総務で作ったkintoneの制服申請システムからDXが進み始めたマルテー大塚

2022年10月03日 10時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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アプリ開発で工夫した3つのポイント

 アプリ開発にあたって、工夫したポイントが3つあるそう。1つ目が、申請がないデータの表示。事業所と制服のサイズ別でクロス集計をするのだが、普通に作ると申請がない事業所が歯抜けになってしまい、処理に一手間かかってしまうことがわかった。申請がない事業所も、集計の票には含めて表示させるため、「サイズ」の設定で、初期値として、空白ではなくハイフンを入れるようにしたのだ。これで、申請がない事業所も表示されるようになった。

初期値にハイフンを設定することで、クロス集計時の歯抜けを回避した

 2つ目がなんちゃってプロセス管理だ。申請があったら、上司が承認し、そして制服が納品された後には受領確認をしたい。しかし、申請者全員がkintoneのライセンスを持っているわけではないので、kintoneの基本機能のプロセス管理を使うことはできない。

 そこで、まず1つのアプリに対して、段階ごとに分けたビューとフォームを用意した。アプリにはその時のステータスが分かるようなフィールドも作り、メール通知で使う上長の名前とメールアドレスの情報も事前にセットしておく。

 ステータスの変更は、「フォームブリッジ」の機能を活用した。「フォームブリッジ」のフィールド設定で、隠しフィールドを1つ用意しておき、初期値として「申請待ち」という文字列を入れておく。申請処理が正常に進んだら、ステータスのフィールドに「承認待ち」という文字列を入れるような仕組みにしたのだ。

 実際の流れとしては、まず総務担当から申請者に向けて、申請用ビューのリンクを送信する。申請者はリンクを開き、自分のレコードを元にした申請フォームに入力する。回答すると、自動処理で申請完了メールが送信される。その際、男性と女性で申請アイテムが変わるので、状況別にメールを用意しているという。

 続いて、上長へ承認依頼メールが飛び、リンクをクリックすると承認用のビューが開く。承認用ビューでは、部下全員の申請をまとめて確認できる。申請内容を確認して、承認または差し戻しをするというフローとなっている。受領に関しても、ほぼ同じように、「kViewer」と「フォームブリッジ」を連携させて構築している。

 西山氏は「フォームブリッジ」に回答したあとの自動処理をごりごりに活用しており、なんと136個も設定しているそう。自ら「まさに鬼の所業」と呼んでいた。

「kViewer」と「フォームブリッジ」でプロセス管理を構築した

 3つ目が公開期間の指定。決められた期日を過ぎたら、申請ページにアクセスできないようにする必要がある。本来であれば、「kViewr」の公開期間を設定すればいいだけなのだが、「kViewer」と「フォームブリッジ」の設定画面は、情シスのみがアクセスできるようになっている。期間を変更する度に、総務担当が情シスに連絡して作業を依頼しているとお互いの負担になってしまう。

 そこで、アプリに指定したい申請期間の開始日と終了日を入れておき、そのフィールドを使って「kViewer」で絞り込みするようにした。これで、アプリで指定した期間のみ、公開されることになる。アプリ側で期間を変更できるので、総務担当は情シスに連絡することなく、個別対応ができるようになった。

レコードを「申請開始日≦今日≦申請終了日」で絞り込むようにした

 これで、実現したかった要望をすべて実装できた。もちろん、JavaScriptでのカスタマイズは行なっていない。kintoneのライセンスも、管理者である制服担当1名分の追加だけで済んだ。

制服申請アプリで大幅な時短以外に得られた成果

 制服の申請をkintone化したことで、大きな業務改善効果も得られた。紙をやり取りするフローがなくなり、年間およそ600枚の紙とその他もろもろを削減。作業時間が2人でおよそ100時間かかっていたところ、1人でおよそ8時間と、10分の1程度にまで削減できた。

 また、会社説明会アンケートや仕出し弁当の注文、緊急連絡先管理なども改善したいという声が現場から上がるようになったのも大きい。「会社としてDXがどんどん進んでいくように見えて、とてもうれしい効果でした」と西山氏。

制服申請にかかる時間を10分の1に削減できた

「今回、スムーズにkintone化できたのは、現場担当が積極的だったので、kintoneの基本的な部分からサポートをしながら進められたからです。kintone開発はひとり歩きをするのではなく、現場と一緒にゴールを目指すことが、業務改善の実現につながります。今後は、引き続き広報活動から業務改善のタネ探しを行ない、小さな単位で現場と向き合っていきます。ゆくゆくはkintoneとGaroonとの連携も視野に入れて、全社員がkintoneのライセンスを持てるくらい活用を推進し、チームワークあふれる会社を目指していきたいです」と西山氏は締めた。

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