原価力の改善にはまだ余裕がある
2022年4月1日にオンラインで会見を行ったパナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOは、ここでいくつかの姿勢を打ち出した。
ひとつはパナソニックグループとしての中期的な経営指標を打ち出した点だ。
ここでは売上高や単年度の営業利益目標は打ち出さなかったものの、2022年度~2024年度までの累積営業キャッシュフローで2兆円、累積営業利益で1兆5000億円、2024年度のROE10%以上を目標に掲げた。
楠見グループCEOは、「これまでの3年間は、売上げや利益、営業利益率が中期計画の中心になり、それを達成することが目的化していた。新たな中期計画では、最初から、営業利益率などの目標は設定するつもりはなかった」としながら、「将来の社会へのお役立ちに向けて、十分な投資を行うためにはキャッシュ創出力が重要である。それを推し量る指標として、累計営業キャッシュフローの目標を設定した」とする。
累積営業利益目標の水準は、過去3年間と比べると1.5倍以上になる。
「いままでの実績に比べると、意欲的な目標に見えるかもしれない。だが、原価力にはまだ改善の余地がある。目線をここまであげて、改善につぐ改善をやっていくことになる」とする。
原価力改善の余地を象徴するのが、この2年間に渡る中国家電事業での実績だ。
パナソニックは、家電商品の原価を20%以上低減し、競争が激しい中国市場においても利益を出しながら、価格で戦っていける商品を生み出したという。
「この事例からも、グループとしてコスト力や収益力を高める余地があるという手触り感を得ている」と、楠見グループCEOは語る。
この連載の記事
-
第594回
ビジネス
自動車工業会は、今年もJapan Mobility Showを開催、前進は東京モーターショー -
第593回
ビジネス
赤字が続くJDI、頼みの綱は次世代有機EL「eLEAP」、ついに量産へ -
第592回
ビジネス
まずは現場を知ること、人事部門出身の社長が続くダイキン -
第591回
ビジネス
シャープが堺のディスプレーパネル生産を停止、2期連続の赤字受け -
第590回
ビジネス
生成AIに3000億円投資の日立、成長機会なのか? -
第589回
ビジネス
三菱電機が標ぼうする「サステナビリティ経営」、トレードオフからトレードオンへ -
第588回
ビジネス
富士通の子会社でDX専門のコンサルティングをするRidgelinez -
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? - この連載の一覧へ