2020年末に第3世代EPYCのMilanを発売
2022年までに第4世代EPYCのGenoaを投入
そのRadeon Instinctを一番使うであろう市場がサーバー向けである。こちらに関してはマーケットシェアなどの数字は公表されなかったが、OEMプラットフォーム数やAMDを採用したクラウドインフラの数などが示された。
ちなみに年次報告で部門別の売上(といっても、Enterprise, Embedded and Semi-Customで一括りなので、Enterpriseだけというのは不明だが)を見ると以下のとおりになる。
2017~2019年のAMD 部門別売上 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 売上 | 営業利益 | ||||
2017年 | 22億7600万ドル | 1億3200万ドル | ||||
2018年 | 23億5000万ドル | 1億6300万ドル | ||||
2019年 | 20億2200万ドル | 2億6300万ドル |
2019年に売上が減った理由は、PS4やXBox Oneがそろそろピークを越えて生産を絞る段階に来ており、その一方で次世代のPS5やXbox Series Xはまだ量産を開始していないからと思われる。
ただ2018年と2019年を比較すると、売上が3億ドル減っているのに営業利益が1億ドル増えているというあたりで、利幅の大きいEPYCがそれなりに売れているとは思われる。第2世代EPYCについては、NOKIAの5Gインフラ向けにも採用されたという話が紹介された。
さて、今後の話であるが、2020年末に第3世代EPYCであるMilanが発売予定とされる。Milanそのものは連載510回で少し触れたが、ローレンス・バークレー国立研究所に2020年から導入されるPerlmutterにまず採用が決まっており、おそらくまずはPerlmutterに先行出荷の形で導入され、次いで一般にも年末までに出荷されると思う。
このMilan、クラウドあるいはエンタープライズの市場においても、100%のカバレッジ(網羅率)を提供できるとAMDは「豪語」する。
なぜ「豪語」かといえば、これまで2Pサーバーであるがゆえに提供できなかった4P以上のスケールアップ構成まで視野に入れているという意味だからだ。
2Pのままで4P以上の性能を実現するという意味なのか、かつてのOpteronのように4P以上も可能な構成になるのかは不明だが、かなり挑戦的な説明であることは間違いない。
2020年にはMilanが投入されるが、その次の5nmプロセスを使う第4世代製品であるGenoaも2022年までには投入されることが明らかにされた。
このGenoaは、今年発表されたEl Capitanに採用されるのは間違いないとして、微妙なのがスパコンのFrontierである。
Frontierは2021年納入という微妙なタイミングで、採用されるのもカスタム版のEPYCとなっており、Milan CustomなのかGenoaの先行版なのかが判断しにくい。個人的にはGenoaの先行版ではないかという気はするが、確たる根拠は今のところ皆無である。
それはともかくとしてEl Capitanに関してはまだ説明が見当たらないので、最後に少し紹介しておきたい。
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