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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第63回

水、火、木、空という、古く新しいコンテンツ echo camp series 2015レポート

2015年04月10日 09時00分更新

文● 前田知洋

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人間と自然と最新テクノロジーの融合

 今回のプログラムのハイライトのひとつは「UAV(無人機)」による撮影。MAPconciergeの古橋大地氏による3D精密地図を製作するためのフライトですが、航路をプログラムされたUAVが頭上を往復するたびに参加者から歓声が上がります。神山町の人からは「空を見上げて騒ぐ、UFOと交信する怪しい集団」に見えたことでしょう(笑)。

 IT記事などでUAVやドローンの存在を知っていても、実際の飛行プロセスや撮影を目の当たりにすると感動します。「知ってる」という情報や知識と、体験との間にある大きなギャップがあることをあらためて実感する衝撃とでもいうのでしょうか。

UAVにより撮影された精密3D地図 © MAPconcierge, CC BY4.0

キャプション:UAVによる撮影された参加者(一部拡大)。3cmピクセルほどの解像度 © MAPconcierge, CC BY4.0

21世紀の禅?

 「知っている」と「体現する」ギャップを埋めるノウハウは、古くから人々に探求されていました。筆者は武道を趣味にしていますが、武道では「技を知っている」だけでは役に立たず、繰り返し稽古をする。もちろん、一人では稽古できませんし、同じ相手ばかりだと馴れ合いになるので、外国から修行に来た体の大きなアメリカ人ともロシア人とも投げ合います。稽古が終われば、道場を掃除をして、お酒を飲んだり語り合う。

 武道の魅力は「戦う」という技術を宗教観を除いた禅などの「思想」と組み合わせたところにあります。もし、現代社会のビジネスが「戦い」であると仮定するなら、パートナーを社会や世界、未来と共存するための「思想」こそが大切になるはず。Appleなど、ある意味「思想」を持った企業が強いのは、そんなせいだと多くの専門家は分析しています。ジョブズ氏が禅を愛し、影響をうけていたことは有名な話。

 echo camp seriesを神山町に温かく迎えてくれた、グリーンバレーの大南信也氏は、プログラムのなかで「見えないところが大切」「言葉にできない部分が大事」と語ります。そんなところも、まさに禅とそっくり。

 そんな「見えないところ」「言葉にできない部分」を育むecho camp series。筆者の説明がいたらなかったとしたら、長文の言い訳でもありますのでご容赦いただければ幸いです(笑)。

「見えないところが大切」「言葉にできない部分が大事」と語る大南信也氏(NPOグリンバレー)写真:大月信彦

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「なかマジ - Nakamagi 2.0 -」、「Magical Marketing - ソシアルスキル養成講座 -」を配信中。

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