渋滞税を導入したストックホルム
すでにそれが実証されているスウェーデンのストックホルムの例を見てみよう。ストックホルムでは、都市部に入ってくる車両に対して、渋滞税による課金制度を実施。しかも、時間によって150円から300円程度の3段階の料金設定を行い、午前7時30分から午前8時29分、午後4時から午後5時29分のラッシュアワー時には最大の料金を設定。また同じ自動車が何度も通行しても課金額は上限を超えないといった設定も行えるようにした。
この課金および車両の識別のために、18ヵ所にコントロールポイントを設置。レーザーを自動車が遮ると、自動車に搭載されているトランスポンダーに信号を送信し、時間や課金を記録。同時にカメラが前後のナンバープレートを撮影し、これらの情報をもとに税金が徴収され、支払いは口座振替か、銀行決済、ネット決済などで行うことになる。
この仕組みを導入した結果、都市部の交通渋滞は約25%緩和され、CO2排出量が40%削減されたほか、公共交通機関の通行速度が上昇し、時刻表を再編することになったという。
渋滞の緩和がもたらした副次的な効果とは?
ここで重要なのは、交通渋滞の解消やCO2排出量の減少といった期待される効果だけに留まらなかったことだ。
公共交通機関の一日あたりの利用者数は6%増にあたる4万人が増加。市内の小売店の売上高が同様に6%も増加したという点が見逃せないのだ。交通渋滞の解消が、新たな収益減を生み出すという結果に結びついているのだ。もちろんビジネスの効率化にも直結しているに違いない。
こうした無駄の排除、効率化によって、新たなビジネスを創出することが、Smarter Planetにつながるのだ。
現在、日本では、京都大学と共同で、数100万台規模の交通シミュレーションシステムを開発。この成果を交通渋滞の解決に生かすだけでなく、避難誘導シミュレーション、排出量取引シミュレータ、オークションシミュレータなどにも応用していくという。
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