ソニーがサウンドバーの新製品「HT-A5000」「HT-A3000」を発表、軽く音質もチェック
文●ASCII
2022年08月23日 10時13分
ソニーは8月23日、サウンドバーの新製品「HT-A5000」「HT-A3000」を発表した。「HT-A9」や「HT-A7000」が採用し、好評の“360 Spatial Sound Mapping”対応機種を拡充した。サブウーファーを一体化した1本バータイプの製品で、ソニー独自の「X-Balanced Speaker Unit」を利用。高さを抑えた構成になっているのも特徴だ。
HT-A5000/A3000は、ともにWi-Fi接続(IEEE 802.11ac対応)が可能で、Chromecast、AirPlay、Spotify Connectなどに対応している。「Amazon Music」のほか、「Apple Music」のドルビーアトモス音源や「Sony ArtistConnection」「Deezer」「nugs.net」などの360 Reality Audio音源をスマホからキャストできる。また、ソニー純正の「Music Center」アプリからの操作やGoogleの音声アシスタント、Alexaにも対応する。
A7000のエッセンスを安価に提供
HT-A5000は5.1.2ch構成で、A7000より一回り小さいが、イネーブルドスピーカーやビームツィーターなどを搭載。サブウーファーはフロンスピーカーを囲むように2基搭載する。“S-Force PRO Front Surround”や“Vertical Surround Engine”といった信号処理技術と連携し、立体的で広い音場が得られる。
仕様ユニットや構成などはA7000に近いが、フロントスピーカーのユニット数が2つ少なく、そのぶんアンプの合計出力も小さい(500Wに対して400W)。また天面の処理も異なっている。こうした内部の仕様で差別化しているという。
サウンドバーのセンターチャンネルとブラビアXRの内蔵スピーカーの音を混ぜ合わせ(同時出力し)、セリフなどを画面と同じ高さで再生できる“アコースティックセンターシンク”にも対応。これはアコースティック・サーフェイスオーディオによって、テレビ画面自体が振動する有機ELテレビ(A90Jシリーズなど)と相性がいいため、液晶テレビとの組み合わせだけでなく、有機ELの音を向上させるアイテムとしてマッチングの良さを訴求していくそうだ。
本体はブラビアの付属リモコンで操作が可能。サウンドバー本体とブラビアをHDMIで接続すると「クイック設定」にサウンドバー関連の項目が表示されるようになる。リアスピーカーのSA-RS5/RS3Sを追加できるほか、サブウーファーのSA-SW5/SW3も追加可能。サイズは1200×67×140mm。発売は10月22日で、実売価格は12万円前後になる見込み。リアスピーカーを追加しても20万円を超えない価格帯に収まるイメージだという。
根強い人気があるX8500の上位モデルとして
HT-A3000は3.1ch構成で、いまだに人気がある「HT-X8500」(幅890mm)より一回り大きいサイズ。50型クラスの製品ともマッチングがいい外観だ。サブウーファーはセンタースピーカーを囲うように2基搭載する。ここはA5000と同様だが、イネーブルドスピーカーやビームツィーターは省略。フロントスピーカーの左右は楕円形になっている。リアスピーカーなどの追加も可能だが、ソニーとしては単体でシンプルに高音質化する使い方を基本に考えているようだ。
HT-A5000同様、S-Force PRO Front SurroundとVertical Surround Engine、ブラビア XRとの組み合わせでアコースティックセンターシンクに対応する。リアスピーカーやサブウーファーを追加できる。サイズは幅950×奥行き128×高さ64mm。9月10日の発売を予定。価格は8万8000円前後になる見込み。
HT-A7000のサブセットだが、機能や音の良さをしっかり継承
短時間ではあるが昨年モデルのブラビア(A80Jの65V型)と組み合わせたデモを体験できた。HT-A3000は単体でアコースティックセンターシンクのみを利用。録画した音楽番組をテレビ内蔵スピーカーと比較しながら聴いたが、音場の広さが増すのは当然として、縦方向にも音が広がる感じがあり、立体的な空間再現が楽しめた。左右に大きく広がった伴奏に対して、ボーカルが中央にしっかり定位して対比がしっかり描けていた。
ソニーの有機ELテレビは画面がそのまま振動板になるため、画面サイズが大きいほうが音も有利になる面がある。HT-A3000の場合、組みあわせる機会が多くなりそうなのは55V型のテレビ。デモの65型との差分はより大きくなるはずだとソニーは説明している。ソニーのテレビはドルビーアトモス再生にも対応しており、普及クラスのサウンドバーだと追加しないほうがいい場合もあるほど、音がいいのだが、ドルビーアトモスで制作された定番の映画「グレイテスト・ショーマン」を聴く限りは、低域の充実感にしても、空間再現についても、リアスピーカーやサブウーファーなどがなくても一聴して分かる程度のグレードアップが得られた。なお、最新機種との組み合わせではスタンドの間にサウンドバーを収められるという。
HT-A5000ではOfficial髭男dismのライブ音源をまず視聴。高域がはっきりと再現でき、音の輪郭がシャープに際立つ。コンテンツの特性もあり、テレビの再生音も悪くないが、低域のすわりの良さなど、音自体の存在感が増す印象だった。また、ポップス系の音源では中心に直接音が集中しがちだが、違和感がなく適度な広がりがある音場で臨場感のある音になった。ただ、アコースティックセンターシンクは利用していたが、声が定位する位置は低く、音が画面より低い位置から鳴っている感じはあった。実使用では環境の相性や置き方、設定などの確認はしておいたほうがいいだろう。
HT-A5000はリアとサブウーファー(RS5とSW3)を追加した状態でのデモもあった。360 Reality Audioのデモコンテンツでは、背後も含めて縦横無尽に音が動いていく様子が楽しい。これまでのサウンドバーはこうしたリアルな空間の再現が苦手だったが、リアスピーカーを追加できる機種が増えたことで、AVアンプとリアルスピーカーのサラウンド再生と比べてもそん色ないクオリティで楽しめる機種が増えている。
360 Spatial Sound Mappingはそれをさらに強化し、自然でリアリティのある再現が可能だ。イネーブルドスピーカーを持つHT-A5000はその恩恵をより強く受けられるので、リアスピーカーの同時購入をぜひ検討したいところだ。なお、HT-A5000/A3000は単体で利用可能だが、360 Spatial Sound Mappingの効果が得られるのはリアスピーカーを追加した場合のみとなる。また、HT-A7000の購入者がサブウーファーやリアスピーカーを導入する割合は高く、サブウーファーは半分、リアスピーカーは2~3割の購入率。これはソニーの事前予測を大きく上回る結果だったそうだ。
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