社長自らパーツにこだわるSTORM。今買いたい価格別オススメPCと購入時のポイントを解説!

文●高橋佑司 編集● ASCII

2022年05月24日 13時00分

 昨今、コロナ禍の影響で“おうち時間”を充実させようと考える人が増えているが、そんな中で注目されている趣味の1つにゲームがある。

 また、昨今はプロゲーマーによるゲーム配信などが増えた影響で、彼らのようなゲーミングPCの環境を用意したいと考える人も増えている。社会人にとっては夏のボーナス、学生にとっては夏休みが近づいてきたこの時期、ゲーミングPCを購入するには絶好の機会だ。

 ゲーミングPCの購入先としては、BTO PCメーカーが注目されているが、日本市場でもBTO PCメーカーは複数あり、どういった基準で製品を選ぶべきなのかは悩ましいところだ。そこで今回は、BTO PCメーカーの1つであるSTORMに、価格別でそれぞれオススメのモデルを伺った。

 また、製品選びのポイントや同社のこだわり、昨今のトレンドなどもインタビューしてみた。ゲーミングPC選びで気を付けるべき部分として、どのような点を見ればいいのか、メーカー目線での意見をお聞きしよう。

左から、販売促進部の矢内氏、王氏、代表取締役社長の池田氏、社長秘書の長嶺氏にお話を伺った

フルHDでライトにゲームを遊ぶ人向け
14万円台でコスパを追求したエントリーモデル


――本日はよろしくお願いします。まず、エントリー向け、ミドル向け、ハイエンド向けで、今回グレード別にチョイスして頂いたモデルを教えてください。

矢内氏:今回は、エントリー向けに「PG-PJ12」、ミドル向けに「PG-DF12T」、ハイエンド向けに「PG-PD12」の3モデルをチョイスしました。

――今回選んだモデルでは、エントリーモデルが14万円台、ミドルモデルが28万円台、ハイエンドモデルが30万円台の構成になっています。このクラス分けは、STORMの中ではどういった基準で選んでいるのでしょうか。

王氏:ビデオカードのランクで分けています。うちではGeForce搭載のビデオカードを使用しており、GeForce RTX 3050などはエントリーで、GeForce RTX 3060~3070 Tiあたりまでをミドル、それ以上はハイエンドと分けて考えています。

――エントリーモデルのPG-PJ12について、こちらを選んだ理由をお聞かせください。

矢内氏:エントリーモデルを選定するにあたっては、とにかくコストパフォーマンスのいいパーツを選定することにこだわりました。その中でも、ガラスサイドパネルでゲーミングPCらしさを出しつつ、通気性も担保できるモデルという面で、このモデルを採用しています。

エントリーモデルのPG-PJ12。なお、標準構成ではMetallicGear製のPCケースを採用しているが、今回はPCケースにNZXTの「H510」を使用している

PG-PJ12の標準構成
CPU インテル「Core i5-12400」
(6コア/12スレッド、最大4.4GHz)
マザーボード B660 Micro-ATX DDR4
メモリー Crucial DDR4-3200 16GB(8GBx×2)
ストレージ 500GB NVMe SSD、PCIe 3.0
ビデオカード GeForce RTX 3050(10GB GDDR6)
電源ユニット 850W(80PLUS GOLD)
PCケース MetallicGear「NEO AIR(MG-NE520A)」
(E-ATX、ミドルタワー)
OS Microsoft「Windows 11 Home 64bit」
標準価格 14万6800円
URL https://www.stormst.com/products/detail/1704

――CPUに採用しているCore i5-12400は、コスパ重視で自作する人に人気の高いモデルですが、第12世代Core i5を採用したモデルの売り上げはやはり高いのでしょうか。

矢内氏:6コア/12スレッドでゲームプレイにも申し分ない性能があるので、Core i5は売れ筋商品です。安い値段でフルHDのゲームを遊ぶには十分なパフォーマンスになっています。

――エントリークラスですと、やはりフルHDでゲームを遊ぶ人というのがターゲットになってきますでしょうか。

矢内氏:そうですね。WQHDやそれ以上の解像度でゲームを遊ぶとなると、もう少し高価なモデルになってきます。

――PG-PJ12は、PCケースのカラーでホワイトを選べるモデルですが、昨今は白ケースの需要は増えていますか?

王氏:やはり最近増えています。黒いPCケースは10年以上前からよく使われていて市場にも多く出回っていますが、白いケースにすると特に若者に人気がありますね。

STORMのみが採用するMSI製ケースで
見た目にもこだわった28万円台のミドルモデル


――次は、ミドル向けのモデルについてお話をお聞かせください。

矢内氏:ミドルモデルに選んだのは、「PG-DF12T」です。こちらはCPUにはCore i7-12700、GPUに RTX 3070 Tiを採用しています。エアフローを意識しつつ、ケースファンとCPUクーラーのファンでLED搭載モデルを採用し、見た目の統一感を持たせたモデルになっています。

ミドルクラスのPG-DF12T

PG-DF12Tの主な構成
CPU インテル「Core i7-12700」
(12コア/20スレッド、最大4.9GHz)
マザーボード MSI「PRO Z690-A WIFI」
(インテルZ690、ATX)
メモリー DDR5-4800、16GB
ストレージ 1TB NVMe SSD、PCIe 4.0
ビデオカード GeForce RTX 3070 Ti(8GB GDDR6X)
電源ユニット 850W(80PLUS GOLD)
PCケース MSI「MPG GUNGNIR 110R」
(ATX、ミドルタワー)
OS Microsoft「Windows 11 Home 64bit」
価格 28万1800円
URL https://www.stormst.com/products/detail/1640

――ミドルクラスの構成ですと、どのくらいの画質設定でゲームを遊ぶことを想定しているのでしょうか。

矢内氏:ゲームにもよりますが、WQHD解像度で画質設定を高めてもゲームを遊べるくらいを想定しています。

――このモデルで採用しているMSIのPCケース「MPG GUNGNIR 110R」は特徴的なデザインのケースですが、やはりこのケースの製品を選ばれる方は多いですか?

王氏:このケースは国内のBTO PCではSTORMだけが採用しているので、人気は高いです。特にMSIさんの簡易水冷クーラーと合わせて選ばれる方が多いですね。ミドルクラスのユーザーになると、見た目にもこだわる方が増えてきて、統一感を意識した構成にしています。

――ストレージの構成について気になったのですが、エントリーモデルでは500GBのストレージを標準採用しており、ミドルでは1TBになっています。500GBだと少なめかなという印象ですが、増設される方は多いですか?

王氏:エントリーで増設する方はHDDを付ける方が多いですね。最近はゲームの容量が大きくなっているので、ゲームの保存先として安価なHDDをオプションで付ける方は多いです。

矢内氏:また、エントリークラスを選ぶ方だと遊ぶゲームも1つか2つほどであまり多くない場合も多いので、まずは500GBあればと考えて標準構成にしています。対して、ミドル以上のPCではいろんなゲームをしたいという風に考える方も増えてくるので、1TBのものにしています。

――メモリーは、エントリークラスではDDR4、ミドル以上ではDDR5を採用していますね。

王氏:ゲームをプレイするという用途に関していえば、DDR4とDDR5はそれほどパフォーマンスに影響が出ないので、コスパを重視するエントリークラスではDDR4を採用しています。とはいえ、ゲーム以外の総合的なパフォーマンスや将来性を考えて、ミドル以上はDDR5メモリーを採用しました。

RTX 3080の強力なグラフィック性能と
エアフローを重視した30万円台のハイエンドモデル


――最上位のPG-PD12については、どういった点を意識した構成になっているのでしょうか。

矢内氏:Core i7-12700やRTX 3080を採用した最上位モデルなので、パフォーマンスが高いのはもちろんですが、それと同時にエアフローにも気を使っています。高性能なパーツはそれだけ冷却も大事になってくるので、より吸気と排気に優れるPCケースを採用しています。

ハイエンドクラスのPG-PD12

PG-PD12の主な構成
CPU インテル「Core i7-12700」
(12コア/20スレッド、最大4.9GHz)
マザーボード MSI「PRO Z690-A WIFI DDR5」
(インテルZ690、ATX)
メモリー DDR5-4800、16GB
ストレージ 1TB NVMe SSD、PCIe 4.0
ビデオカード GeForce RTX 3080(10GB GDDR6X)
電源ユニット 1200W(80PLUS PLATINUM)
PCケース MetallicGear「NEO AIR(MG-NE520A)」
(E-ATX、ミドルタワー)
OS Microsoft「Windows 11 Home 64bit」
価格 30万7800円
URL https://www.stormst.com/products/detail/1679

――ハイエンドクラスの構成ですと、どのような設定でゲームを遊ぶユーザーをターゲットにしていますか。

矢内氏:FPSゲームなどで高いフレームレートを維持できる構成を求めている人や、4Kのような高解像度でゲームを遊ぶことも想定した構成です。ゲームによってはレイトレーシング設定をオンにしてより美しいゲーム内ライティングを楽しんだりといったことも可能だと思います。

――今、ゲームのお話をメインに聞いたのですが、ゲームだけでなく動画配信などを行なう用途であれば、どのクラスからを想定していらっしゃいますか。

王氏:ミドル辺りから、動画配信といった用途も意識した構成で考えています。

――エアフローにも気を配っているとおっしゃっていましたが、パーツ構成に対して十分なエアフローを確保できないPCケースを採用しないように、STORMで何か基準を設けているのでしょうか?

王氏:エアフローに関しては過去の記事でも紹介したように、スモーク装置を使って吸気や排気が十分か、テストをするようにしています。パーツの温度もどの程度まで上昇するか、どこまでであれば十分なパフォーマンスが出せるのか考えてケース選びはしています。そのうえで、見栄えがいいようにデザインも考えています。

――このモデルもエントリーモデル同様、ケースの色を白黒で選べますが、製品の価格によって選ばれるケースの色に傾向はあるのでしょうか。

矢内氏:うちでは、エントリーモデルのほうが黒より白いケースが選ばれていて、逆に上位の機能重視のモデルでは黒を選ぶ人が多くなっているイメージです。

王氏:LED付きのパーツでライティング演出をするなら黒のケースが映えるのですが、エントリーモデルではコスパを重視した結果、LED非搭載のパーツが多く、光らないぶんケースを明るい色にしてアクセントにするというのもあると思います。

安心できる製品のポイントは、電源ユニットとメモリー


――PCを購入する時に、メーカーとして特にこだわっているポイントなどはありますか。

王氏:特に電源は重要だと考えています。STORMでは、電源ユニットは80PLUSのGOLDかPLATINUMを使うようにしています。さらに、容量も余裕を持って使えるように、850W~1200Wのものを使うようにしています。

――電源ユニットの基準はほかのBTOメーカーさんと比べてもかなり高めに感じますが、STORMで電源を重視するようになった経緯はあるのでしょうか。

王氏:ビデオカードなどでは、瞬間的に高い電力が必要になるような場面がありますが、電源容量に余裕がないとそういった際に突然落ちてしまうことがあるので、電源には気を使っています。

池田氏:アイティーシーでは、基準が厳しいパチンコ台の電源を扱っていたこともあり、電源に関するノウハウを持っています。うちでは最低でも850Wの電源を使っていますが、実際にPCで使用している電力はそれだけの容量を使うことは基本的にありません。それなら無駄ではないかというとそうでもなく、容量の小さいものだと使っていくうちに内部のコンデンサーなどが故障しやすくなるので、電源だけはきちんと大容量のものを入れるように指示しています。

――そのほかにも重視しているパーツはありますか。

王氏:SSDやメモリーは、自社で半導体製造を行なっているMicronのオリジナルブランドであるCrucialブランドの製品を採用しています。出荷前に実働テストを行なって品質の良い部材を使うようにしています。

池田氏:うちは以前いろいろなサードパーティー製のメモリーを採用して試したことがあったのですが、安心・安全に使える製品というのはなかなか難しいです。メモリーにはJEDECという標準規格があるので、その規格さえクリアできていればいいと考えるところも多いのですが、同じJEDEC準拠のメモリーでも、コアになる部分は若干の違いがあります。やはり製造元のオリジナルブランドとサードパーティー製のものを比べると差はありますので、多少コストをかけてでもこれらは必ず信頼できるパーツを採用するというのがうちの理念です。

――では、メモリーや電源ユニットにこだわるという方針は、社長の池田さんご自身の指示によるものなのですね。

池田氏:前職で、電子部品商社のDRAM専門の営業を担当していたので、DRAMに関する知識を持っているからこその判断です。同じ会社のDRAMの中にも出来の良し悪しがあって、一流のDRAMは大手PCメーカーやオリジナルブランドの製品として売り出される一方で、サードパーティーに渡るのは基準は満たすものの少しランクが落ちるものが多くなります。ですのでサードパーティー製のメモリーは安くなりやすいですが、信頼性は少し落ちてしまいますね。

――メモリーや電源ユニットというと、CPUやビデオカードといったパーツと比べると比較的目立ちにくい部分という印象もあります。STORMでは、そういった部分にあえてこだわるようにしているのですね。

池田氏:PCに不具合が起きた時、動作不良の原因になりやすいのがやはりメモリーと電源ユニットです。BTO PCで不具合が起きれば、BTOメーカーの責任となりますので、そのリスク管理としてこれらのパーツに特に気を使っています。

万全のユーザーサポートを行なうため
4月から新体制に移行。Twitterもあるよ!

――ここまで製品のこだわりについてお聞きしてきました。そこで、製品品質のほかに、マーケティングやユーザーサポートで気を付けている部分はありますか。

矢内氏:今月からイメージづくりということでキャンペーンを多くやり始めています。また、新たにTwitterの運用を始めるなど、SNSにも力を入れ始めています。

池田氏:今までのページはちょっと暗めなイメージがあったかと思いますが、4月1日から組織の改編もあり、これまでの路線よりアグレッシブにアピールしていきたいと思っています。

王氏:ユーザーサポートに関しては、電話でもメールでも、以前よりもお問い合わせが増えています。電話もひっきりなしの状況ですが、できる限り迅速に、最後までお客様の問題解決にお付き合いできるように努めています。

――ユーザーさんからの問い合わせでは、購入相談や製品サポートなどいろいろあると思いますが、中でも特に多いものや印象に残るものはありますか?

王氏:PC構成の相談のほか、納期の相談は多いですね。最近はeスポーツの発展もあって、特に高校生から20代くらいの方はすぐにPCを買ってゲームを始めたいという意思を持っていることが多い印象です。

――そうした若いユーザーさんですと、やはりコスト的にエントリーモデルを買われる方が多いのでしょうか?

王氏:いえ、そういった方はミドルクラスを買われることが多いですね。やはり今は若い方でもゲームのフレームレートといった知識を持っている方が多いので、ある程度スペックを確保したいと考えている人が多い印象です。

矢内氏:また、今はeスポーツのプロプレイヤーたちの動画配信などで彼らの使っている環境を知り、その環境にあこがれてハイエンドクラスを検討しているという方も多くいらっしゃいますね。あと、最近多い構成相談のお問い合わせとしては、「このゲームを○○fps以上で動かしたいのでどういう構成がいいか」というように、ゲーム名を名指しで相談されるユーザーさんも増えていますね。それを受けて、社内で実際にそのゲームがどれだけ快適にプレイできるのかを検証することも増えました。

――Twitter運用について、具体的にどういった変化があったのでしょうか。

矢内氏:基本的にはTwitterの運用は自分が行なっているのですが、やはりキャンペーンを開催しても自社のホームページだけで認知を広げるのは難しいこともあり、今後はよりSNSを活用してセールスの範囲を広げていこうとしています。あと、SNSを活用して企業に親しみやすいと思ってもらうのも目的です。

――昨今は、メーカー公式のTwitterでも“中の人”の人間性が垣間見えるツイートをしているアカウントも多いですよね。

矢内氏:電話やメールのお問い合わせだとやはりどうしても堅い感じになってしまうので、Twitterを通してより気軽にユーザーさんと交流していければと考えています。

池田氏:STORMはいま、メーカーとして独り立ちできていないと考えています。パーツ商社のアイティーシーが運営しているので、BTO PCにそのパーツを使う形にしていますが、ゆくゆくは自分たちで調達・運営できるような部署にしていきたいと思っています。そのためには、まだ認知度が足りていないと思っているので、これからはイメージ戦略などに力を入れていきたいと考えています。

ゲーミングPC初心者が増えている今こそ
安心して長く使えるSTORM製品がオススメ

 PCゲーミングの人気が若年層に広がるにつれて、BTO PCの購入者にも、あまりPCに詳しくないという人も増えてきているだろう。特に、苦労して高いゲーミングPCを買ったのに、トラブルで動かなかったり、あまり使わないうちに故障してしまったりすれば大きな痛手だ。

 だからこそSTORMのように、多少コストをかけてでも重要なパーツを高品質にするというメーカーは、PC初心者にはありがたい。また、今回エントリー、ミドル、ハイエンドの3つのクラスの製品を紹介したように、用途に合わせてさまざまな価格帯の製品が用意されているので、信頼性を担保しつつ用途に合わせて安いモデルを選べるのも嬉しい。これからゲーミングPCの購入を考えている人は、STORMの製品を選べば安心だろう。

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