高解像度でもヌルヌル動く!Ryzen 7 5700G&GeForce RTX 3060 Ti搭載するゲーミングPCの実力とは?
文●勝田有一郎 編集●ジサトラハッチ
2022年03月22日 11時00分
高性能なRyzen搭載パソコンでリッチなゲーム体験を楽しもう
近年、パソコン(PC)でゲームを遊ぶゲーミングPCがすっかり定着してきたように感じる。以前より動画配信者によるゲーム実況などは人気があり、日本国内でもeスポーツシーンが盛り上がってきていたところに、巣ごもり需要で家庭内での趣味に目が向き始めたことで一気に認知度が高まったという印象だ。
そんなゲーミングPCの魅力といえば、大型有名タイトルからコンシューマーゲーム機では出ていないインディーズタイトルに至るまでの豊富なゲームラインアップが揃っている点。そしてコンシューマーゲーム機以上に綺麗な画質、高いフレームレートで楽しむリッチなゲーム体験も挙げられるだろう。
綺麗な画質で、ヌルヌルと動作でゲームを楽しむためには、PC自体にも優れた性能が求められる。そこでオススメなのがゲームにおいても高い性能を発揮するAMD製のCPU Ryzenプロセッサーを搭載するゲーミングPCだ。これまでにもRyzenプロセッサーを搭載するゲーミングPCは各社より多数販売されており、今回紹介するサードウェーブのゲーミングPCブランド「GALLERIA」のゲーミングPCもそのひとつだ。
サードウェーブは全国にPCショップ「ドスパラ」を展開し、古くは90年代からオリジナルPCやPCパーツ、PC周辺機器を販売してきた実績がある。GALLERIAは、そんな長年蓄積されたPCパーツのノウハウが注ぎ込まれたゲーミングPCと言える。また、サードウェーブおよびGALLERIAはeスポーツをはじめとするさまざまなゲーミングシーンを支えてきていることでも有名だろう。
さて、さまざまなPCパーツで構成されるゲーミングPCは、搭載するPCパーツによって発揮する性能が大きく変わる。もちろん、高性能になるほど価格も高くなるので、ユーザー自身が求めるゲーム体験と予算の関係から必要な性能を見極めて、それに合致したゲーミングPCを選択する必要がある。
サードウェーブでは多くのユーザーのニーズに応えられるよう、さまざまなPCパーツを組み合わせた幅広いGALLERIAゲーミングPCのラインアップを揃えている。今回はその中から以下の5つのモデルをおすすめしたい。
PCはいろいろなパーツで構成されていて、難しく感じてしまう人もいるかと思うが、ゲーム用途で主要なパーツとして押さえておきたいのは、CPUとGPUだ。
今回おすすめする5つのモデルのCPUは、いずれも複数の作業をする際に非常に優秀で、近年注目を集めるAMD製の「Ryzenプロセッサー」を採用している。「Ryzen 9」「Ryzen 7」と種類があるが、基本的に数字が大きい方が、より高い性能を持っている。
CPU型番の作り
GPUを搭載するビデオカードやグラフィックボードと呼ばれるパーツに関しても同じ。AMD製のRadeon、NVIDIA製のGeForceとメーカーによって多少型番が異なるが、「Radeon」は「Radeon RX 6900 XT」(以下、RX 6900 XT)、「Radeon RX 6700 XT」(以下、RX 6700 XT)となり、6000が世代で、“9”と“7”が性能を表す。NVIDIA製の「GeForce」は「GeForce RTX 3060」(以下、RTX 3060)と、3000が世代で“6”が性能と覚えておけば良い。
GPU型番の作り
そんな幅広いGALLERIAのラインアップの中から、今回はゲーミングPCで中程度の性能を持つ「GALLERIA XA7R-R36T」(以下、XA7R-R36T)を紹介したい。プロセッサーにAMD「Ryzen 7 5700G」、ビデオカードにNVIDIA「GeForce RTX 3060 Ti」を搭載し、標準構成では16GBメインメモリと1TBのM.2 NVMe SSDを搭載するゲーミングPCとなっている。
プロセッサーとビデオカードはいずれも高性能寄りの中程度に属する性能を持つPCパーツで、XA7R-R36Tがターゲットとするゲーム体験は高解像度WQHD(2560×1440ドット)で、ヌルヌル動作可能なゲーム体験だ。
解像度とは、1インチにどれだけドット(PCはドット「点」を敷き詰めて文字や画像を表現している)が含まれているかを示している。そのため、より高解像度な程に文字や画像が高密度で描かれ、輪郭が滑らかに表示される。4K(3840×2160ドット)は非常に高精細でゲームを表示できるが、PCの性能も最上位のものが求められ、環境を揃えるにはとても高価になる。逆に導入が簡単で手に入りやすいフルHD(1920×1080ドット)では、ややキャラクターの輪郭がぼやけるなど、物足りなさを感じる。
解像度の違い
そこで、近年人気なのが大きさが27型以上のWQHD解像度のディスプレーだ。解像度と共に競技性の高いFPSなどで重要になるのがフレームレート(単位:fps)だ。フレームレートは、1秒間に表示される静止画の数で、アニメーションの場合は24fps、一般的なテレビで60fpsで表示されている。テレビやディスプレーでは、1秒間に画像が書き換えられる回数であるリフレッシュレート(単位:Hz)が関係し、120fpsでゲームをプレイする場合は、120Hz以上のディスプレーが必要になる。
近頃はWQHDで120Hzに対応するゲーミングディスプレーも手ごろな価格になってきているので、FPSやレースゲームをプレイする人には人気となっている。XA7R-R36Tは、このWQHD解像度で十分なゲーミング性能を発揮できるのか、さまざまなゲームタイトルで検証していきたい。
デザインと機能性、共に優れたミドルタワーPCケース
パソコンは、中身(性能)も大事だが見た目も大事。というわけで、まずはXA7R-R36Tの外観や機能について確認していくことにしよう。今回試用するXA7R-R36Tをはじめ、サードウェーブのゲーミングPCブランドGALLERIAでは、専用デザインのPCケースが使用されている。
それがこの「ガレリア専用 SKケース」だ。GALLERIAのPCケースは2020年にデザインが一新されて登場からまだ2年も経っていない状況だが、今やサードウェーブのゲーミングPCの「顔」として確立した存在になっていると感じられる。
フラットな面で構成されつつも、角を斜めに切り落としたデザインがワンポイントとなっている洗練されたデザイン。それと新世界へのゲート(門)を意識したとされるフロントパネル周囲のRGB LEDがゲーミングPCであることをさりげなくアピールしている。またサイドパネルが一部透明になっており、外からPC内部の確認も可能だ。ガンメタリック塗装された筐体は様々な設置場所になじんでくれるだろう。
各種インターフェースやスイッチ類にアクセスする前面パネルは、斜めにカットされた筐体前面上部の角部分に設けられている。「ななめ45度コンソールパネル」と命名されている前面コンソールパネルは、PC本体を床置き机置きのどちらにしてもアクセスしやすくなっているのが特徴だ。
前面コンソールパネルには、電源ボタン、リセットボタン、ストレージアクセスLED、USB 3.2 Gen 1 Type-A×4、オーディオアウト、オーディオインが並ぶ。PCの電源を投入すると、電源ボタンの周囲がLEDで光る仕組みになっていて、専用ツールにて色の変更も行なえる
背面のインターフェース類も確認していこう。背面のI/Oパネル部はいたってシンプルで、PS/2コネクター、USB 3.1 Gen 1 Type-A×6、有線LAN(1Gbps)、オーディオジャックといった基本的な構成になっている。その他にはビデオカードからの映像出力でHDMI×1、DisplayPort×3といったところだ。
続いてPCの内部構造もチェック。PC内部はいくつかのPCパーツによって構成されているが、まず目に入るのが大型のタワー型空冷CPUクーラー。大きなCPUクーラーはファンを高速回転させなくても大きな風量を得られるので、静かでよく冷えるという特徴を持つ。また、給排気用のケースファンも140mmの大型タイプが計3基標準搭載されている。低負荷時はこれらの大型ファンがユルユルまわるだけなので、アイドル時の音は結構抑えられている。
またケーブルの裏配線がしっかりとしていて余計なケーブルが表からは見えないので、PC内部はスッキリとした印象だ。
筐体サイズは220mm(幅)×440mm(奥行き)×480mm(高さ)と、いまどきのミドルタワーPCケースらしく奥行きは浅め。机の上にも置きやすいサイズと言えるだろう。
「XA7R-R36T」の主なスペック | |
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CPU | Ryzen 7 5700G(8コア/16スレッド、最大4.6GHz) |
ビデオカード | GeForce RTX 3060 Ti(8GB GDDDR6) |
メモリー | 8GB×2、DDR4-3200 |
ストレージ | 1TB SSD、NVMe |
マザーボード | ASRock B550 TW |
インターフェース | 【前面】USB 3.2 Gen 1(Type-A)×4 【背面】USB 3.2 Gen 1(Type-A)×6 |
サイズ/重量 | 220(W)×440(D)×480(H)mm/約14kg |
OS | Windows 10 Home 64bit |
※スペックは検証時のもの。時期により構成が異なる可能性がある。ベンチマークの結果もOSのバージョンなどにより多少差異が生じるため参考値として欲しい
ベンチマークや実ゲームでXA7R-R36Tのパフォーマンスをチェック
ここからは、ベンチマークの結果や、ゲームを実際にプレイした際のフレームレートから、XA7R-R36Tのパフォーマンスをチェックしていこう。
ベンチマークソフトとは、ゲームメーカーが提供する対象となるゲームが、使用しているPCで快適にプレイできるかをフレームレートやスコアで計測するソフト。各ソフトによってスコア評価は異なり、本ベンチマークであれば15000以上が最高評価の「非常に快適」になる。
まずは定番のゲームベンチマーク、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」でパフォーマンスを計測する。画質設定はプリセットから「最高品質」を選択し、画面解像度は2560×1440ドットに設定した。
スコアーは16114で、最高評価の「非常に快適」との評価が得られた。フレームレートを見ると平均114.6fps出ており、高リフレッシュレート対応のゲーミングディスプレーと組み合わせて滑らかな動きでのゲームを楽しめるだろう。最小フレームレートも60fps近く出ているので、極端にカクつくようなシーンも無く遊べると思われる。
次に、実ゲームプレイでのフレームレート計測として、人気のオープンワールド型RPG「原神」での動作をチェックした。ゲーム側の設定は、画面解像度を2560×1440ドット、グラフィックスの画質設定は「高(デフォルト)」を選択。また、フレームレートは「60」で垂直同期は「ON」としている。原神は60fps以上のフレームーレートが出ないようにゲーム側で制限がかけられているので、いかに安定して60fpsを出し続けられるかがポイントだ。
今回のテストでは、適当に戦闘しながらのフィールド散策を10分ほど続け、その間のフレームレートを計測した。フレームレートの計測には「CapFrameX」というアプリを用いている。なお、CapFrameXによるフレームレート計測ではデータ全体を100分割して最小値から1%の数値を「min(1%)」としたものを、最小フレームレートの代わりに記載している。
計測の結果は、ほぼ常に60fps張り付き状態を維持できていた。ごくまれに処理落ちのようになる瞬間があったので平均フレームレートは60fpsには達していないが、ほんの一瞬の処理落ちなのでプレイに支障がでるようなものでは無かった。XA7R-R36Tの性能があれば余裕をもって快適なプレイを楽しめるはずだ。
大人気バトルロワイヤルFPS「Apex Legends」でのフレームレート計測も行なった。Apex Legendsを快適に遊ぶことがゲーミングPC購入の目的と考えている人も多いだろう。
さて、今回のゲーム側の設定は、画面解像度は2560×1440ドット、画質設定は、すべてのオプションを最高に設定した「最高画質」と、「モデルディテール」のみを最高にし、その他の設定は最低にした「フレームレート優先」の2パターンを用意した。ゲームスタート後、地面に着地してから試合終了までのフレームレートをCapFrameXによって計測している。
結果は、両設定ともに平均フレームレート100fpsを大きく超えた。min(1%)も60fpsを上回っているので、プレイ中極端にカクつくようなことも無いことがわかる。基本的に「勝つこと」が重要視されるゲームなので、画質は二の次で見やすさやフレームレートを重視した「フレームレート優先」でのプレイが中心となるだろう。とすると、リフレッシュレート165Hzや240Hzに対応した、ちょっと上位のゲーミングディスプレーと組み合わせたくなる性能をXA7R-R36Tは持っていると言える。
次は2022年1月にSteam版が発売されたばかりの人気ハンティングアクションゲーム「モンスターハンターライズ」でクエスト遂行中のフレームレートを計測した。フレームレート計測にはCapFrameXを使用。画面解像度は2560×1440ドットに設定している。オプションのグラフィック設定は「高」と「中」の2パターンで計測を実施している。
結果は、どちらのグラフィック設定でも100fpsを大きく上回る平均フレームレートを記録した。グラフィック設定「中」の方が、リフレッシュレート144Hzや165Hzのゲーミングディスプレーをより活かせる結果ではあるが、この結果であればグラフィック設定「高」でも十分滑らかに動いているので、画質重視の「高」設定で綺麗かつ滑らかなゲームプレイを楽しむのが良さそうだ。
最後に、伝統の大作FPS最新作「Halo Infinite」で、マルチプレーヤー対戦の「ビッグチームバトル」をプレイ中のフレームレートを計測した。Halo Infiniteはここまでの検証タイトルよりも重めのゲームなので、画質設定の品質のプリセットは「ウルトラ」~「低」まで1段階ずつ分けて計測してみた。解像度は2560×1440ドットだ。
品質のプリセットを変更することで段階的にフレームレートが向上していくものの、平均フレームレート100fpsを超えたのはプリセット「低」のみという結果で、2560×1440ドットで高フレームレートを狙うのは、少々荷が勝ちすぎていると感じた。
スムーズなゲームプレイを望むのであれば、min(1%)が60fpsを超えているプリセット「中」あたりが妥当なところか。Halo Infiniteの画質設定には、最小フレームレートを指定することでレンダリング解像度を動的に変化させる機能もあるので、それらの設定をうまく活用すれば、もう少しフレームレートは改善するだろう。
なお、ストーリーを楽しむキャンペーンモードであれば、2560×1440ドットのプリセット「ウルトラ」で、平均100fpsを超えるフレームレートでプレイすることができた。ソロプレイならXA7R-R36Tで高解像度高フレームレートを堪能できる。
ゲーム実況配信時のパフォーマンスを検証
昨今、ソフトウェアやサービスの充実によって実況配信のハードルがグッと低くなってきている。特にPCゲームの実況配信であれば、特別な機材も必要とせずゲーミングPCに配信ツールをインストールするだけで誰でも簡単にゲーム実況配信を始められるのだ。
ただ、簡単にできるとは言っても、実際はゲームを実行している裏で配信ソフトを同時に動かすことになるので、パソコン的には余計なタスクが増えている状態だ。つまりは普通にゲームをプレイするときよりも処理が重くなり、最悪ゲームプレイに支障が出る可能性も否定はできない。
そういう事態を避けるためにも実況配信をするならゲーミングPCは性能に余裕のあるものを選択したい……ということがよく言われている。
しかし、実際にはどの程度の性能があればゲーム実況配信を行なっても大丈夫なのか、特にこれから配信を始めようと思っている人には皆目見当もつかないはずだ。今回試用したXA7R-R36Tが搭載するRyzen 7 5700GやGeForce RTX 3060 Tiも世間一般的には高性能な部類に入るPCパーツだが、このくらいの性能があればゲーム実況配信も余裕なのだろうか。……ということで実際にゲームの実況配信を行ない、通常のゲームプレイ時とどれくらいパフォーマンスに差が出るのか検証してみた。
検証に用いるゲームタイトルはゲーム実況配信でも人気の高いApex Legends、配信ツールは「OBS(Open Broadcaster Software)」を使用している。「YouTube Live」への配信で、動画エンコーダーはハードウェアの「NVENC」を使用、配信映像は1920×1080ドットの60fps、映像ビットレートは10Mbpsに設定した。Apex Legendsの画質設定は解像度2560×1440ドットで、フレームレート優先の設定にてゲームをプレイしている。同一ステージで、配信時と非配信時のゲームプレイ中のフレームレートをCapFrameXにて計測し、比較してみた。
まったく同条件の比較では無いので目安程度ではあるが、実況配信を行なうとフレームレートには15~20%ほどの落ち込みが発生するようだ。それでも実況配信時の平均フレームレートは150fpsを超えており、また極端にカクつくといった現象も起きずスムーズなゲームプレイが可能だった。XA7R-R36Tはゲーム実況配信も快適にできるゲーミングPCと言って良いだろう。
多くのゲームタイトルをWQHD解像度で快適にプレイ可能
さて、ここまでXA7R-R36Tのパフォーマンスを確認してきたが、多くのゲームタイトルをWQHD解像度かつ100fpsを超える高フレームレートでプレイできるという傾向は掴めたと思う。リフレッシュレート144Hz~165Hzに対応したWQHDゲーミングディスプレーとの組み合わせがピッタリではないだろうか。
もし、高リフレッシュレート対応のゲーミングディスプレーを用意しないのであれば、1ランク下のモデル「GALLERIA XA5R-R36」を狙って予算を抑えるという選択肢もアリかもしれない。
また、検証結果からわかるように、Halo Infiniteのような重めのゲームタイトルにおいてWQHD解像度での高フレームレート維持は少し難しくなっている。それでも60fpsを大きく割り込むといったこともないので、プレイの快適さという面では問題無い。
このような重量級ゲームタイトルで高フレームレートを狙うなら、上位モデルの「GALLERIA ZA9R-69XT」を狙ってみるのもいいかもしれない。ただし、ここから上は一気に予算も跳ね上がるので、ある種の「覚悟」が必要となってくるだろう。そういった予算面から見てもXA7R-R36Tはバランスに優れているので、上位寄りの中堅機というポジションで多くの人にオススメできるモデルだと考える。
(提供:サードウェーブ)
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