【鉄板&旬パーツ】空冷でも大丈夫? Deepcool「AS500」でRyzen 7 5800Xを冷やしてみた
文●藤田 忠 編集●北村/ASCII
2021年10月16日 12時00分
価格を抑えたオールインワン水冷ユニットや、空冷最高峰の冷却性能を発揮するハイエンド空冷CPUクーラーの増加で、比較的容易になっているCPUの冷却強化。
とは言え、そんな水冷ユニットやハイエンドCPUクーラーは1万円前後からとコストは高めになっている。そんななか、目を引いたのがDeepcool製空冷CPUクーラーの「AS500」シリーズだ。
今年に入ったあたりから値下がりし、140mmファンを採用する大型モデルながら5400円前後と手ごろな価格になっている。そのうえ、デュアルファン仕様で6800円前後となる「AS500 PLUS」もラインナップしておりと、なかなか魅力的になっている。とくに「AS500 PLUS」は白色モデルを用意しているのがポイントだ。
今回は、その白色モデル「AS500 PLUS WH」(型番:R-AS500-WHNLMP-G)の冷却性能を試してみることにした。さらに片側のファンを取り外して、シングルファンモデル「AS500」(型番:R-AS500-BKNLMN-G)としての冷却性能も確認していこう。
「AS500」は、2020年10月に発売されたモデルで、幅140×奥行き49×高さ159mmのヒートシンクと回転数500~1200rpm±10%の140mmファンで構成されている。ヒートシンクトップの樹脂カバーにアドレサブルRGB LEDを搭載しており、マザーボードや付属のコントローラーで制御可能だ。
そのバリエーションモデルとして投入されたのが、デュアルファン仕様にした「AS500 PLUS」だ。「AS500 PLUS」は、「AS500」と同じ銀色のヒートシンクと、黒色のファンの組み合わせになるが、「AS500 PLUS WH」では2基の140mmファンはもちろん、ヒートシンクやヒートパイプも真っ白に。それでいて「AS500 PLUS」と同価格になっている。
AS500シリーズ スペック表 | ||||||
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AS500 PLUS ブラック/ホワイト | AS500 | |||||
型番 | R-AS500-BKNLMP-G/R-AS500-WHNLMP-G | R-AS500-BKNLMN-G | ||||
ヒートシンクサイズ | 140×49×159mm | 140×49×159mm | ||||
ヒートパイプ | 6mm×5本 | 6mm×5本 | ||||
重量 | 1198g | 1030g | ||||
ファンサイズ | 140×140×25mm | 140×140×25mm | ||||
ファン回転数 | 500~1200rpm ±10% | 500~1200rpm ±10% | ||||
風量 | 70.81CFM | 70.81CFM | ||||
騒音値 | 29.2dBA | 29.2dBA | ||||
実売価格 | 6800円前後 | 5400円前後 |
純白CPUクーラーをじっくりと眺めてみた
気になる冷却性能の前に、白一色の「AS500 PLUS WH」の外観をチェックしていこう。
冷却性能を爆熱のRyzen 7 5800Xでチェック
「AS500 PLUS WH」の外観チェックに続いては、冷却性能を見ていこう。テストにはCPUコアの構造上、爆熱になっている8コア/16スレッドCPUの「Ryzen 7 5800X」を使用している。
また、比較用に同価格帯で、120mmファンと幅130mm、高さ154.5mm、奥行き85mmの大型ヒートシンクで構成されたサイズ「無限五 リビジョンB SCMG-5100」を用意。デフォルトのシングルファンに加え、120mmファンのARCTIC「P12 PWM」を追加したデュアルファン状態でもチェックしている。
テスト環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 7 5800X」 (8コア/16スレッド/3.7~4.8GHz) |
CPUクーラー | Deepcool「AS500 PLUS WH R-AS500-WHNLMP-G」 (140mmファン×2、サイドフロー型) サイズ「無限五 リビジョンB SCMG-5100」 (120mmファン、サイドフロー型) |
ファン | ARCTIC「P12 PWM」(120mmファン) |
マザーボード | ASRock「B550 PG Riptide」 (AMD B550チップセット、ATX) |
メモリー | G.SKILL「DDR4-3600 16GB×2 F4-3600C16D-32GTZNC」 (DDR4-3600 16GB×2) |
ビデオカード | ASRock「Radeon RX 6600 XT Challenger Pro 8GB OC」 (Radeon RX 6600 XT、GDDR6 8GB) |
SSD | Western Digital「WD_Black SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0」 (PCIe4.0 NVMe、2TB) |
電源ユニット | Cooler Master「V850 GOLD V2 850W」 (80PLUS GOLD、850W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Home」64bit 21H1 |
高負荷テストで冷却性能をチェック
「OCCT:CPU」(10分間、データセット 大、テストモード エクストリームなど)と、「CINEBENCH R23」を実行。CPU温度や動作クロックを「HWiNFO64 Pro」で記録している。テストは「AS500 PLUS」のファンを1基取り外せば、「AS500」と同じになるため、シングルファン状態もチェックしている。まずは「OCCT:CPU」を実行した際の結果を見ていこう。
いずれもRyzen 7 5800Xの限界温度(サーマルスロットリングしきい値)になる90度を余裕を下回っているが、「AS500」と「AS500 PLUS」は、ヒートシンクサイズがより大きな「無限五 リビジョンB」にわずかだが勝る冷却性能を発揮している。動作クロックも冷却性能と同じように、「AS500」と「AS500 PLUS」のほうが、わずかだが高クロックで推移している。
より高発熱な「CINEBENCH R23」でテスト
続いては「CINEBENCH R23」で見ていこう。10分間のテスト中に数回CGレンダリングは完了するため、一時的に負荷が下がるが、テストを通じて負荷が高く、「OCCT:CPU」よりもCPU温度が上がりやすいテストになっている。なお、それぞれのMulti Coreの結果もまとめたので、冷却性能のパフォーマンスへの影響もチェックしていこう。
シングルファン状態の「無限五 リビジョンB」は残念ながら、サーマルスロットリングのしきい値となる90度を超え、平均も89度と厳しい温度になっているが、同じシングルファンの「AS500」は80度台をしっかりと維持している。
デュアルファンの「AS500 PLUS」も大きくはないがしっかりと温度を下げ、最高86.8度、平均85.2度を記録している。計測はバラック状態なので、しっかりとエアフローのあるPCケースと組み合わせる必要はあるが、「AS500 PLUS」はRyzen 7 5800Xを運用できる冷却性能を持っていると言える。
「OCCT:CPU」実行時と同じく、動作クロックは「AS500」、「AS500 PLUS」が、わずかに高くなる傾向にあった。CPUクーラーの取り付け状態や、室温などの影響もあるが、「CINEBENCH R23」のスコアを見ると、シングルファンとデュアルファンで100前後のスコア差が出ており、Ryzen 7 5800Xの性能を引き出せているのがわかる。
静音性はいま一歩に
最後はテスト中の静音性を見ていこう。いずれもリア側から約20cm程度の位置で計測した。高負荷テスト中はいずれもファンがフル回転になるが、シングルファンの「AS500」、「無限五 リビジョンB」では40dBA以下と静かといえるレベルになっている。
当然、騒音源が増えるデュアルファンの騒音値はアップするわけで、「AS500 PLUS」は40dBA超えの43.9dBAに達している。バラック状態なのもあるが、シングルでは気にならなかった風切り音が耳に入ってくるようになっていた。ただ、同じデュアルファンでも、「無限五 リビジョンB」は組み合わせたARCTIC「P12 PWM」の優秀な静音性のおかげで、「P12 PWM」が1800rpmのフル回転状態でも40.7dBAと悪くない値になっている。
十分な冷却性能とPC内で映える真っ白ボディが魅力的
爆熱仕様でショップスタッフからも“扱いづらい”という声が出るほどのRyzen 7 5800Xを、6400円前後のコストでしっかりと冷却できる性能を示したDeepcool「AS500 PLUS」は買いといえる。
サイズ「無限五 リビジョンB」に、ARCTIC「P12 PWM」を追加した状態も、なかなかの冷却性能を発揮しており、コスト面的にも悪くないが、サイド強化ガラスのPCケースと組み合わせるなら、真っ白ヒートシンク&ファンとLEDイルミネーションの「AS500 PLUS WH」が断然おすすめだ。
なお、1万円台で空冷ならNoctua「NH-D15」(1万3000円前後)や「NH-U12A」(1万3000円前後)といったハイエンドCPUクーラーの定番に、Deepcoolの新型で最大TDP 260WのCPUに対応するデュアルタワー型CPUクーラー「AK620」(9200円前後)などが狙い目だ。
【機材協力】
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