角川ゲームスが贈る完全新作シミュレーションRPG「Relayer」の魅力とは?
文●市川 ●編集 ASCII
2021年06月18日 11時00分
「GOD WARS 日本神話大戦」(以下、GOD WARS)や「Lollipop Chainsaw(ロリポップ・チェーンソー)」、「艦これ」など、多彩なタイトルを手がけてきた角川ゲームス。同社が販売・制作した作品はいずれも話題作が多く、今でもゲームファンを魅了し続けている。
5月28日、同社の「GODWARS TEAM」による完全新作シミュレーションRPG「Relayer(リレイヤー)」を発表した。ギリシア神話をモチーフにした壮大な世界観はもちろん、各勢力の思惑が交錯するストーリー、個性豊かなキャラクター、マニアの心をくすぐるロボット、そして遊び応えのあるゲームシステムなどが特徴的だ。同社初となるPlayStation 5(以下、PS5)タイトルとして、2021年にリリースするという(PlayStation 4版も発売予定)。
本作の発売に先駆け、Relayerのディレクターにして同社 代表取締役社長でもある安田 善巳氏にインタビューを行なった。安田氏のインタビューを通して、Relayerの概要や開発秘話などを掘り下げていく。
ロボット×シミュレーションRPG!
GOD WARSの開発陣が挑んだ"ハードSF"とは
――まずは、Relayerの企画および開発の経緯についてお聞かせください。
安田 善巳氏(以下、安田氏):角川ゲームスは今年で13年目を迎える会社で、7年前から内部でも開発するようになりました。GOD WARSを手がけたGODWARS TEAMの最新作として、PlayStation 5向けのシミュレーションRPGの企画が立ち上がり、"Relayer"というプロジェクトがスタートした次第です。
――本作は"ハードSF"という壮大なジャンルを採用していますが、SFに挑戦しようと思った理由はなんでしょうか?
安田氏:"10年以内に8泊10日の宇宙旅行を実現させる"というプロジェクトがいよいよ現実的になってきて、私のようなSFファンからするとまさに夢のような話です。そのような時代を迎え、改めて「ハードSF」という存在が輝き始めてきたのが理由の1つとして挙げられます。
もう1つの理由は、私自身が大のSFファンということです。GOD WARSは日本神話がモチーフになっていますが、日本神話への好奇心および知見を活かすことができたタイトルでした。Relayerでも、世界観やシナリオ、企画などゲーム全体の構成を考えるうえで、SFに対する思い入れや情熱が必要でした。
――本作で採用しているターン制のコマンドバトルについて、特徴やこだわりはありますか?
安田氏:本作では、GOD WARSで好評を得たヘイトのコントロール、ジョブチェンジによってアビリティを獲得するといった面白さを追求することを基本に置き、Relayerのメインシステムとして採用されています。
一方、宇宙のバトルでは、ハイエンドなアニメーション演出の都合上、1対1の単発バトルは若干物足りないではないかと思い、連携バトルの要素を取り入れることにしました。
現在テスト中ですが、自身の行動範囲内にいる味方と連携攻撃ができる「リンクアタック」や、味方同士で敵を挟みうちにする「バックスタブ」というシステムを実装したいと考えております。普通にあったらいいと思えるような感覚を意識しながら、通常バトルと同等の手軽さで楽しめるような工夫をしています。
――RPGの要素として、本作に登場するメカはカスタマイズできますか?
安田氏:パラメーターの管理は基本的にキャラクターサイドで行なうのですが、ロボットモノということで、メカの「武器」「装甲」「カスタムチップ」などを組み込むといった遊びができます。
――メカニックデザインへのこだわりをお聞かせください。
安田氏:世代別に思い入れのあるメカはそれぞれ特徴があると思います。私好みの重厚なデザインにしたかったのですが、今回は幅広い世代に支持してもらえるような、多様性のあるデザインを採用しました。
本作には、星の意志を宿した特殊能力者の「スターチャイルド」が搭乗する「ステラギア」、敵や地球連合政府軍が搭乗する「クエーサー」、そしてボスが搭乗する「ダークギア」が出てきますが、機体ごとに特性は異なります。機体そのもののデザインはもちろんのこと、敵・味方の陣営やロール(機体ごとの役職)、カラーリングなども影響しています。メカニックデザインにも注目してほしいですね。
まさかの足湯!?
角川ゲームスならではのユニークな要素も魅力
――Relayerに登場するキャラクターの魅力をお聞かせください。
安田氏:シミュレーションRPGというと、日本・アジアのユーザーに支持されているジャンルと思われがちですが、過去の歴史を振り返ってみると、北米・欧米でも高く評価されているタイトルも存在します。
そこで本作では、日本を含む世界のゲーマーに愛されるキャラクターを創造するため、アメリカのユーザーやキャラクターデザイナーとお話ししながら、キャラクターデザイナーと二人三脚で取り組みました。誰からも好かれるようなキャラクターに仕上がっているのではないでしょうか。
――どのキャラクターも足が細いですね。
安田氏:確かに足が細いのも特色の1つではありますね。グローバルスタンダードなキャラクターデザインになっているかと(笑)
――ちなみに、推しのキャラクターは……?
安田氏:私は「テラ」と「よだか」のコンビが好きですね。テラは可愛らしい主人公なのですが、実際はかなりのポンコツでして(笑)。ちょっと間抜けな部分もあり、ギャップ萌えするのではないかと思っています。
ただ、そんな彼女は妹の「ルナ」と衝突していた暗い過去を持っています。最終的にどのようにして妹と和解していくのか、どう妹と接していくのかに興味を持って頂きたいですね。そういったテラの心を支えてくれる相棒が、探査ロボットのよだかです。テラとよだかの凸凹コンビにも注目してもらえれば。
――バトル以外の要素もありますか?
安田氏:本作の特色であるハードでスタイリッシュな3Dの世界はPVでも発表しましたが、それ以外の魅力として、超重力航行試験艦「アステリズム」内で繰り広げられる"ユーモアな"人間模様も描いています。
艦内には、クルーのコミュニケーションが楽しめるようなイベントやスポットがあります。その1つとして、なんと「足湯」を用意しています(笑)。これにより、クルーたちは足湯で疲れを取りながらコミュニケーションを図ることが可能になります。世界三大軍産企業の1つである「天の川造船」が開発した宇宙船特別仕様の足湯に浸かりながら、艦内の窓から宇宙を一望するといった、角川ゲームスらしい要素も魅力といえます。
ハイエンドゲームを作ることで開発の幅を広げたい
――ストーリーも見どころの1つだと思いますが、シナリオを執筆するうえで大事にされている点とは?
安田氏:私がユーザーであればこういう要素があったらうれしいと考えるものを自分の中で想像し、シナリオに反映しています。その際、大事にしているのは"テーマ設定"です。本作のテーマ性を開発チームに共有し、ユーザーの心に届くようなクオリティーに仕上げることを意識しています。
もう1つ大事にしていることは、"シングルプレイのRPGならではの達成感"です。ゲームを進めることであるキャラクターの知られざる一面を発見したり、ストーリーの謎を解いたりするなど、ユーザーが得られる達成感をどうシナリオに埋め込むのかも常に考えています。
――コロナ禍で、開発環境はどのように変化しましたか?
安田氏:コロナ禍以前は、顔を突き合わせてコミュニケーションを直接取りながら開発していました。コロナ禍で一部のスタッフにテレワークを導入し、試行錯誤しながら開発を進めてきました。非常に限られた環境の中、従来の開発リードに遅れないようにしなければならない点に苦労しましたね。
――PS5という最新ハードの魅力をお聞かせください。
安田氏:弊社にとって、現世代のハイスペック機で開発できることは誇りに思っていて、実にやりがいのある仕事でした。もちろんPS5の機能の一部を活用する予定ではありますが、メインは、我々のような中堅の開発スタジオでもハイエンドゲームをしっかりと作ること。それが本プロジェクトの目標といっても過言ではありません。
――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
安田氏:Relayerは、30名の少数チームで開発しました。前作のGOD WARSから4年が経っているので、一部のユーザーから心配の声を頂くほどでしたが、我々が長い時間をかけてプロジェクトに取り組んできた努力が、実際に多くのユーザーに本作をプレイして頂いた際に実るのではないかとワクワクしています。
加えて、本作はCGだけでなく、シミュレーションRPGの華であるカットシーンの演出にもこだわりましたし、今までのシミュレーションRPGとまったく異なる質感のバトルマップも用意しています。
前作のGOD WARSでは「ゲームシステムは良かったけど、CGも頑張ってほしい」とか「キャラクターの掘り下げをしっかりしてほしい」など、ユーザーからさまざまな課題を頂きました。本作では、ユーザーから頂いた課題を真摯に受け止め、しっかりフィードバックしたいと思います。ゲームの発売まで楽しみに待って頂けますと幸いです。
――ありがとうございました。
ゲーム情報
タイトル:Relayer(リレイヤー)
ジャンル:シミュレーションRPG
販売:角川ゲームス
開発:GODWARS TEAM
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4
発売日:2021年発売予定
価格:未定
CERO:審査予定
©2021 KADOKAWA GAMES
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