堅実動作することに命を燃やすCrucialメモリー&SSDのラインアップ紹介
文●飯島範久 編集●ASCII.jp編集部
2021年05月28日 11時00分
前回、世界的半導体会社Micron Technologyが、実は日本とも深い関わり合いがある話をした。市況が著しく変化していることもありメモリーに使われるDRAMの日本での生産は、もうどこの企業も行なっていないと思いきや、いまだ日本で生産され、今後も投資していくという唯一の企業だった。
そんなMicron Technologyのコンシューマー向けブランドである「Crucial(クルーシャル)」や「Crucial Ballistix(バリスティックス)」シリーズのラインアップを、自作ユーザーにとっては釈迦に説法かもしれないが、ご紹介していこう。
石橋を叩いて渡るぐらい確実動作させるメモリー製品
Micron Technologyでは、1980年代から長年DRAMの製造を手掛けてきた。1996年にCrucialブランドを立ち上げたときには、自社製DRAMを採用した「Crucialメモリー」を販売。「自分のパソコンなら、自分でメモリーをアップグレードしてパフォーマンスを向上すべき」という信念のもと、業界初となるDDRメモリーを直接ユーザーへ販売するなど、ユーザーとの信頼関係を築き成長していくこととなる。
DRAMが自社製造であるメリットはいくつかあるが、いまのコロナ禍のような供給が不安定なときでも、供給量に左右されることなく、安定した品質のチップが手に入るところだ。そのため価格も大きく変動することなく、高い品質を維持しつつメモリーを安定して提供できる。
高い品質にこだわっているのは、もともとエンタープライズ向けにDRAMを供給してきたため。エラー頻度も低く、長く使えるのが特徴だ。そのため「Crucialメモリ」シリーズは、堅実に動作することにこだわっており、市場に合った製品モデルを展開している。
一方ゲーミング向けとして、「Ballistix by Micron」のブランドで製品展開をしてきたが、2020年に「Crucial Ballistix」とCrucialブランドの製品シリーズに移管。Crucialメモリーシリーズとは違い、メモリーチップからチューニングし、ハイパフォーマンスな製品シリーズとしてオーバークロックが可能。「Crucial Ballistixゲーミングメモリ」と「Crucial Ballistix MAXゲーミングメモリ」の2つのラインアップがある。
前者には、ブラック、ホワイト、レッドという3タイプのアルミニウム製ヒートスプレッダーを装備したDDR4-2666~3600、容量は8GB、16GB、32GBの組み合わせのほか、LED搭載の「Crucial Ballistix RGB」(DDR4-3000~3600、容量は8GB、16GB、32GB)などがある。
一方、後者はDDR-4000~5100といった、さらに高いクロックで動作するモデル。押出アルミニウム製ヒートスプレッダーを装着し、LEDを搭載した「Crucial Ballistix MAX RGB」(DDR-4000~4400)もある。容量は8Gと16GBの組み合わせだ。
「Crucialメモリ」も「Crucial Ballistixゲーミングメモリ」も、永久保証というのもポイント。万が一のときの安心感とともに、Micron Technologyの自信の表われでもある。
SSDも高品質を重視して堅実な製品をラインアップ
Crucialブランドとして、最初にSSDを発売したのが2008年。当時は容量が最大64GB、シーケンシャルリードが最大100 MB/秒という性能でスタートした。SSDに使用されるNANDメモリーも自社で製造しており、Micron Technology はDRAMもNANDも両方製造する数少ないメーカーの1つである。
2010年には、SATA3接続の「Crucial C300 SSD」が登場。シーケンシャルリードが最大355MB/秒を記録し、当時初のSATA3接続SSDとして注目を集めた。その後も高速、大容量化が進むと同時に、2015年ごろには価格もかなりこなれてきて、コスパのいい製品としてユーザーからの支持を集めている。
現在のラインアップは3種類で、1つ目が2.5インチドライブタイプの「Crucial MX500 SSD」、MXシリーズより廉価版の「Crucial BX500 SSD」である。「Crucial MX500 SSD」は、シーケンシャルリードが最大560MB/秒で、シーケンシャルライトが最大510MB/秒。容量は250GBから2TBまで4モデルが用意されている。MXシリーズはすでに13代目にあたり、古いノートPCやPS4での換装用ドライブとしてド定番モデルとしてユーザーから愛されている。
一方、「Crucial BX500 SSD」はシーケンシャルリードが最大540MB/秒で、シーケンシャルライトが最大500MB/秒。容量は240GBから2TBまで4モデルが用意されている。より手軽に換装や増設をしたいユーザー向けだ。
2つ目がCrucial NVMe SSDシリーズの「Crucial P5 SSD」 と「Crucial P2 SSD」だ。前者は、PCIe 3.0に対応しシーケンシャルリードは最大3400MB/秒、シーケンシャルライトが最大3000MB/秒とハイパフォーマンスタイプで、容量は250GBから2TBまで4モデルを用意。ドライブの暗号化が可能で、DRAMがキャッシュとして載っているのが特徴だ。
後者は、シーケンシャルリードが最大2400MB/秒、シーケンシャルライトが最大1150MB/秒と、コストを重視したエントリーモデルでDRAMや暗号化機能は載っていない。こちらも容量は250GBから2TBまで4モデル用意されている。
もう1つが、外付けSSDモデルだ。USBの転送速度も高速化されたのにあわせ、「Crucial X8 SSD」はシーケンシャルリードが最大1050MB/秒。容量は、1TBと2TBの2つのモデルが用意されている。サイズは110(W)×53(D)×11.5(H)mmと持ち運びにも長けたデザインになっていて、ノートPCの外付け用途として威力を発揮する。
X8シリーズよりコンパクトタイプの「Crucial X6 SSD」は、69(W)×64(D)×11(H)mmと手のひらサイズで、重量も40g未満と非常に軽い。シーケンシャルリードは最大800MB/秒とX8シリーズよりやや劣るが、容量は500GBから4TBと5モデルを用意。
コンテンツの肥大化が加速するなかでの4TBモデルの登場は、PlayStation 5(PS5)もようやくPS5ゲームの外付けストレージへの保存が解禁されたタイミングにも重なり、これからますます大容量SSDの需要が伸びるはず。価格はまだまだ高いが、SSDで価格破壊を起こしてきたMicron Technologyに注目したい。
価格を下げても品質を維持してきたメーカーの努力がユーザーの心を掴む
Micron Technologyでは、自社製半導体を使用し、高品質で安定供給を目指した製品をエンドユーザーへ提供することを第一に考えている。長年培ってきた、知見を生かし、品質をより高めるものづくりに取り組んでおり、それは日本の技術者も関与。より良い製品を提供すべく日夜努力している。
Crucialブランドは、自作ユーザーにとっては定番ブランドだが、評判を聞いて意外と無意識に購入している人も多いのではなかろうか。メモリーやストレージでは、故障が命取りに成りかねない。Crucialブランドが、多くの人から選ばれているのも、安かろう悪かろうではなく、長年高品質で安心という堅実な製品を提供し続けているメーカーの努力の賜物なのである。
(提供 マイクロンジャパン)
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