8枚差しSeagate「Firecuda 520 SSD」のRAID 0で最速に挑んでみた

文●飯島範久 編集●ASCII編集部

2020年03月25日 11時00分

 第3世代のAMD Ryzenシリーズの登場で、PCIe 4.0対応のSSDが注目を集めた。シーケンシャルリード/ライトで5000MB/sという爆速を叩き出すその能力を活かして、さらなる高みを見たい。そんな思いから、今回挑戦シリーズとしてSeagate「FireCuda 520 SSD」を8枚差してRAID 0を組んだら果たしてどうなるのかを検証してみた。

 使用したCPUは、24コア/48スレッドのAMD Ryzen Threadripper 3960Xプロセッサー。マザーボードは、AMD TRX40プラットフォームのASRock「TRX40 Taichi」という組み合わせ。そして、FireCuda 520を8枚差すためにASRockの「HYPER QUAD M.2 CARD」を2枚用意している。

簡易水冷のクーラーで見えないが、24コア/48スレッドのAMD Ryzen Threadripper 3960Xプロセッサーを使用。実売価格は18万1000円前後だ。

ASRock「TRX40 Taichi」。実売価格は6万5000円前後。

 HYPER QUAD M.2 CARDは、PCIe 4.0 x16インターフェースに対応し、PCIe 4.0対応M.2 SSDを4枚装着できるというもの。TRX40 Taichiに1枚同梱されており、ボード側の2スロットと合わせれば、6枚のM.2 SSDを装着できることになる。

ASRockの「HYPER QUAD M.2 CARD」。TRX40 Taichiに1枚付属しており、通常は写真上のような状態でアルミケースでカバーされ、内蔵冷却用ファンによって効率的に冷やされる。写真下は、アルミケースを外した状態で、FireCuda 520 SSDには独自専用のヒートシンクが装着されたもの。今回はこの2枚のボードを使用した。

 さて、まずHYPER QUAD M.2 CARDを利用するには準備が必要だ。アルミカバーを外してSSDを装着したあと、ボードの下の方にあるディップスイッチを設定する。これは最大4枚のカードが差せるようにカードナンバーを指定するためのもので、1はWindowsのユーティリティを利用できるようにするか否か、2と3のスイッチでカードナンバーを指定する。2枚差したら、それぞれ違うナンバーを設定しよう。

写真のボード手前に4つのディップスイッチがあり、2と3のスイッチのオン/オフでカードナンバーを設定する。

 続いてHYPER QUAD M.2 CARD をPCIeスロットに差したら、マシンを起動してBIOSの設定に入る。まずNVMe SSDをRAIDが使えるよう「アドバンスド」タブの「AMD PBS」で「NVMe RAID mode」を「Enabeled」にする。その下にある「PCIe Slot~」で、HYPER QUAD M.2 CARDを差したPCIeスロットを「x16 Mode」から「x4x4x4x4 Mode」に変更。こうすることで、NVMe SSD を4枚認識できるようになる。

3つあるPCIeスロットのうち、上の2つを使用。SATA3接続のBarraCuda 120 SSD 500GBにOSをインストールしている。

 一旦設定を保存して再起動後、再度BIOSの設定に入り「アドバンスド」タブに移る。すると新たに「RAIDXpert2 Configuration Utility」が現れるので、これを選択するとRAIDの設定ができるようになる。「Array Management」で「Create Arry」を選択して作成するが、もし選択できない場合は、一度「Delete Array」で削除を実行してから作成しよう。

 今回の場合は、「RAID 0」を選択し、2枚のHYPER QUAD M.2 CARDに差した8つのFireCuda 520 SSDを選択して作成する。一瞬でできるので設定を保存して再起動しよう。

 あとは、WindowsからAMDから配布されているドライバーを組み込めば8枚のNVMe SSD RAIDの完成……かと思ったら、これがRAIDとして認識しない。「AMD_Raid_Software」や「AMD_Chipset_Drivers」をインストールしてみたものの、状況は変わらず。

 改めてWindows自体をインストールし直すことにした。AMDで配布されている「nvme_sata_raid_windows_driver_9_3_0_38」をダウンロードしておき、OSのインストール先を選択する際、左下にある「ドライバーの読み込み」でダウンロードしたドライバーを読み込む。ダウンロードしたファイルを展開すると「RAID_NVMe」というフォルダーができ、その下に3つのフォルダーができるので、「rcbottom」を最初に指定。ただこれではドライブが認識されないので、再びドライバーの読み込みを指定して「rcraid」を指定すると、RAID設定したドライブが認識される。

 今回は、OSを別のドライブ(BarraCuda 120 SSD)へインストールしたが、RAID設定したドライブにもインストール可能だ。

 こうしてWindowsをインストールすると、今度は「ディスクの管理」でRAIDとして認識してくれる。フォーマットが必要なので、フォーマットを実行すればRAID 0ドライブの完成だ。

「ディスクの管理」の画面。最初はフォーマットが必要だ。

 早速、どのぐらいの速度が出るのか「CrystalDiskMark 7.0.0」を使って計測してみた。ところが、思ったほどの速度が出てくれない。

FireCuda 520 SSDを1枚差したときの読み書き速度。

今回実験したFireCuda 520 SSDを8枚差したときの読み書き速度。1枚のときに比べシーケンシャルリードで約3倍程度だった。

 改めてWindows上からRAIDの設定ができるユーティリティ「RAIDXpert2」を使ってRAID構成を新たに作った。今回500GBを4枚と2TBを4枚使ってRAID 0を構築したため、2TBのほうは1.5TBぶんずつ余っている。これを使って4枚のSSDでRAID 0構成を作り計測してみた。すると、数値的には若干上回る結果に。しかし、シーケンシャルリードよりライトのほうが速いなど、安定した爆速という結果にはならなかった。

ユーティリティ「RAIDXpert2」の画面。Windows上からRAID構成の設定が可能だ。

4枚のFireCuda 520 SSDでRAID 0ドライブを作ったときの結果。シーケンシャルライトのほうが速い。

 そこで、別のベンチマークソフトである「ATTO Disk Benchmark 4.0.1.0f1」でも計測してみた。「CrystalDiskMark 7.0.0」よりは高速で安定した結果は得られたものの、やはりシーケンシャルリードよりシーケンシャルライトのほうが速く、14.4GB/sが最高だった。

4枚のSSDでRAID 0構成にしたときの「ATTO Disk Benchmark 4.0.1.0f1」での結果。

 再びSSD 8枚のRAID構成でも、「ATTO Disk Benchmark 4.0.1.0f1」による計測をしてみたが、今度はシーケンシャルリードで最大17.96GB/sまで出た。いろいろと試してみたが、「CrystalDiskMark 7.0.0」で最大の結果になったのは以下の通りだ。

8枚のSSDでRAID 0構成にしたときの「ATTO Disk Benchmark 4.0.1.0f1」での結果。約18GB/sはここまでで最高に。

「CrystalDiskMark 7.0.0」で出た最高の結果は、4枚のSSDだった。

 正確な原因はわからないが、発熱への対策が不十分だったかもしれない。連続して計測した際、「ATTO Disk Benchmark 4.0.1.0f1」の結果が約3.3GB/s台で頭打ちになったことがあったのだ。

連続で計測したところ、約3GB/sで頭打ちになった。

 今回使ったFireCuda 520 SSDは、500GBモデル4枚差しはアルミケースを装着し、2TBモデル4枚差ししたほうはアルミケースを装着せず、個々にヒートシンクを装着したものを使っている。HYPER QUAD M.2 CARDには専用の冷却ファンがついており、回転数を設定できるものの、ベンチマークテストのような負荷をかけ続ける使い方だと冷却しきれなかったのかもしれない。

 FireCuda 520 SSDを1枚という環境よりは、圧倒的に速いことは確かだが、コストパフォーマンス的には4枚以下でのRAID 0構成でも十分かもしれない。ファイルの読み書きはかなり速くなるため、写真の現像作業など、クリエイティブな作業には向いているだろう。

 今回は検証時間が限られていたため、深く追求はできなかったが、こうした挑戦シリーズは今後も続けていきたい。

(提供:日本シーゲイト)

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