auユーザー以外も使えるのになぜ「au PAY」なのか
文●山口健太 編集● ASCII
2020年01月30日 09時00分
1月28日、KDDIがスマホ決済「au PAY」利用で毎週10億円を還元する新たなキャンペーンを発表しました。還元額の大きさはもちろん、auユーザー以外にも同じ条件で提供することが話題を呼んでいます。
なぜKDDIはauユーザー以外にも普及させようとしているのに、au PAYのようにauブランドを強調するのでしょうか。
■Ponta統合に向けてau PAYが反撃を開始
au PAYはどれくらい使われているのでしょう。1月にMMD研究所が発表した調査結果では、「最も利用しているQRコード決済」ではPayPay、楽天ペイ、d払い、LINE Payに続き、au PAYは5位。認知度ではファミペイやメルペイを下回るなど、パッとしない現状が明らかになりました。
そこで2020年5月以降には「Ponta」ポイントとの統合を発表。それに先駆けて、2月からは「毎週10億円」のキャンペーンで反撃を始めることになりました。
これまで使ってきたau WALLETのブランドも一新し、「au WALLETアプリ」は「au PAYアプリ」に変わるなど、クレジットカードやEコマースの名称がau PAYブランドに統一されます。
たしかに「WALLET(ウォレット)」という英語は、すぐに意味をつかめない人も多く、日本で広く普及させるにはやや難しい印象がありました。ようやく地に足の付いた名前になったのではないでしょうか。
キャンペーンでは合計で最大7万ポイントを還元。これまで5万円だった1回の支払上限も25万円に引き上げられ「15万円の買い物で3万ポイントを得る」といったことが可能になります。社会現象にもなった2018年12月のPayPay祭りの再来ともいえるでしょう。
■大型還元でポイント循環を「回し始める」
こうした大型の還元キャンペーンに対して、「還元が終われば客離れが起きるだけ」との指摘もあります。しかも、ほぼゼロから始めたPayPayとは違い、au PAYにはau WALLETから受け継いだ2800万もの会員基盤がすでにあるのです。
これに対してKDDIは「ポイントの循環」が目的と説明しています。注目すべきは最大7万円の値引きではなく、最大7万ポイントを付与する点です。ポイントをもらった人には、それを使うためふたたび買い物に出かける動機が生まれます。
そこで活きてくるのがau PAYアプリの「スーパーアプリ」宣言です。他社の決済アプリと同じく、KDDIも多くの決済や金融サービスを盛り込むことで、ポイントの循環を促進しようとしています。
こうした循環サイクルは、最初の「回し始め」に大きなエネルギーが必要です。先行するPayPayは大型還元で勢いをつけ、広く浅い還元を繰り返すことで軌道に乗りました。au PAYは成功までの最短距離が見えている状態といえるでしょう。
ただ、au PAYは楽天ペイと加盟店で提携しているとはいえ、使える店はまだまだ全国チェーンが中心です。au WALLETのアプリは動作が重たく、立ち上げるのはやや面倒に感じることもあります。このあたりは今後のアップデートを期待したいところです。
■「au」ブランドは通信以外にも広がるのか
KDDIはau PAYを広く普及させようとしているものの、名称は「au」ブランドを冠しており、他にも「auじぶん銀行」などauブランドの事業は増えています。auユーザーのためのサービスに見えるのは、逆効果ではないでしょうか。
これに対して、「ソニー銀行は、ソニー製品のユーザーでなくとも使える」とauフィナンシャルホールディングスの勝木朋彦社長は例を挙げます。勝木氏自身、困難な挑戦とは認めるものの、auというブランドを携帯電話やスマホに限定せず、金融事業に拡大したいという思惑があるようです。
ソフトバンクはPayPayというキャリアフリーのブランドを新たに立ち上げたのに対し、KDDIはauブランドを通信以外にも広げていく選択をしたことになります。どちらが正解なのか、答えが出るには時間がかかりそうですが、興味深い戦略の違いといえるでしょう。
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