アメリカ合衆国政府御用達のボールペンを大人買いしました
文●にゃかむら(@TK6506)、編集● ASCII
2019年11月17日 17時00分
1ダースのボールペンを箱買い
今回は大人買いシリーズ。SKILCRAFTというブランドのボールペンを1ダース12本まとめて買いました。1本2~300円で売られている安価なボールペンです。
高級ボールペンと違って、こういうのってポツンと1本ペン立てに立てておくより、ジャラジャラと入れておきたくなるじゃないですか。それに箱好きなワタシとしては外箱もほしいところです。むしろ箱の方が大事と思うことがあるぐらいで、このへん自分でもよくわかんないんですけど、雑貨屋さんとかに憧れがあるのかもしれません。
そんなわけで箱買いしたかったんですが、残念ながら店頭にあったのはバラ売り品。そりゃそうですよね。ボールペンって普通はバラ売りですから。念のためダース売りはないかを聞いてみたんですが、やはりバラ売りしかしてなくて箱は捨ててしまっているとのことでした。
で、そうですかーってなったんですけど、残念っぷりが顔に出てしまったのか、店員さんからうれしい提案が。何本か出したあとの箱が残っているので、バラ売りのを箱に戻して12本にしてくれるというのです。もちろん断る理由なんて微塵もないのでふたつ返事で即買いしました。
米合衆国政府御用達の品なのです
このペン、カチッと押すたびにペン先が出たり引っ込んだりする何の変哲もないボールペンなんですけど、わざわざネットで探してお店まで買いに行ったんですよね。なんでそこまでしてほしかったかというと、ポイントはペン軸の刻印にあります。U.S.GOVERNMENTって入ってるんですよ。U.S.GOVERNMENT。米合衆国政府です。
U.S.GOVERNMENTと書かれているのは伊達ではなく、このボールペンはアメリカのあちこちの政府機関で使われています。米合衆国政府御用達の品ってヤツですね。しかもその6割が軍に納品されているそうなので、ワタシが食いついちゃうのも無理はありません。
なんでそんなに多くの政府機関で使われているのかというと、このSKILCRAFTというブランドの成り立ちにあります。
視覚障害者の就労支援のためのブランドです
1938年6月、アメリカで視覚障害者の就労支援のための法律として、ワグナー・オデイ法という連邦法が作られました。これは政府に対して、視覚障害者が働いている非営利機関から製品を購入したり、サービスを受けたりすることを義務付けるもの。同年8月には非営利機関としてNational Industries for the Blind(NIB)――全米視覚障害者産業がニューヨーク州で設立されています。
NIBが最初に作った製品はトウモロコシのほうきと綿のモップでしたが、翌1939年には被雇用者が150人になり、製品も洋服ブラシや枕カバー、綿棒、ドアマットと増えていきました。
第二次世界大戦が始まると生産数は飛躍的に拡大し、終戦までに4000万枚以上の枕カバーに2100万枚の郵便バッグ、1300万本のほうきなどを納入しています。その後ペンなどの事務用品や洗濯バサミなどの家庭用品を作るようになり、1952年には民間市場でも販売するようになりました。このとき製品のブランドとして立ち上げたのがSKILCRAFTです。いまでは清掃用品や寝具、医療用品、塗料、工具、ユニフォームなど3500を超えるアイテムが作られています。
1971年にはこの障害者雇用のための法律はジャビッツ・ワグナー・オデイ法となり、対象がそのほかの重度の障害を持つ人にまで拡大されています。こういった経緯から、SKILCRAFT製品はいまでも米国政府機関で使われ続けているのです。
1マイル書き続けられます
SKILCRAFTのボールペンにはいくつか種類があるんですが、ワタシが買ったのはU.S.Government Penというそのものズバリな名称のペン。さらにペン先の太さによって中字と細字があり、売っていたのはFine Pointの方でした。細字のタイプです。
政府への納入品はさまざまな要件をクリアする必要があって、このペンの場合、気温や高度に関係なく1マイル書き続けられるとされています。約1.6kmですね。芯は真鍮製で、交換が可能。もちろん替え芯もSKILCRAFTブランドのものが販売されています。
NSNも割り振られています
NIBと提携している非営利機関は100を超え、全米に存在しています。パッケージの印刷を見ると、ワタシが買ったものはIndustries of the Blindというメーカーが製造したものでした。
Industries of the Blindは最初に設立されたNIB機関のひとつで、ノースカロライナ州グリーンボロというところにあります。創業から80年以上経ち、現在は200人を超える従業員が雇用されていて、筆記用具とモップなどの清掃用品を製造しているそうです。
パッケージの横にずいぶん長いバーコードがあるなと思ったら、毎度おなじみのNSN(National Stock Number)――物品管理番号でした。米国政府への納入品ということでNSNがつけられているんですね。細字タイプのNSNは7520-00-935-7135。中字は最後が7136になります。
チープなところがお気に入り
米政府御用達の割には、見た目もノックした感じもかなりチープではあるんですが、そこがまたお気に入りのポイントでもあります。
自分では自分のことをあんまりコレクター気質ではないと思っているんですが、それでもミリタリーテイストな物はつい大事に取っておきたくなりします。でもこれはガンガン使うのが正解ですよね。もっと買っておこうかなぁ。
■関連記事