1TBの高速USBフラッシュメモリーに続いてよく似た「1TBスティックSSD」を衝動買い
文●T教授、撮影●T教授、編集●ASCII
2019年11月14日 12時00分
1996年に、それまでのシリアルポートやパラレルポートに替わるテクノロジーとして登場したUSB(Universal Serial Bus)。2000年には世界最初のUSBフラッシュメモリーが登場し、20年後の現代でもまだ隆盛を極めている。今ではすべての人に認知された標準インターフェースとして数多くの周辺機器が採用している。今回ご紹介する1TBスティックSSDも、高速、コンパクトな外付けSSDにUSBフラッシュメモリーの使いやすさをプラスした付加価値の高い商品だ。左からWindowsドライバーで標準的にパソコンで読み書きできる世界初のUSBフラッシュメモリー(IBM USBメモリーキー)、東芝製3D TLC搭載 USB 3.1フラッシュメモリ 1TB、ITPROTECH 外付けスティックSSD JUST RED Ultimate 1TB
今年の9月末にたいして使い道も考えず、単に大容量に惹かれて1TBの高速USBフラッシュメモリーを衝動買いしてしまった。実際に使ってみると、これがなかなか快速で快適。スマホカメラの画像や動画のローカル保存ストレージとしてなかなか使いやすいのだ。
そもそもUSB(Universal Serial Bus)は、今から20年以上昔の1996年に登場したインターフェースの規格だ。それまでモデムやスキャナー、プリンターなどの周辺機器をパソコン本体と接続するために使われていたシリアルポートやパラレルポートの将来の高速化、多様化、小型化をにらんで登場してきたものだ。
そういえば、昔のスマートウオッチである腕時計パソコンの「Ruputer(ラピュータ)」もシリアルポートでパソコンと接続して使っていた。これは現代のスマートウオッチが、BluetoothやWi-Fiでスマホと無線接続して使うのと何ら変わっていない。
ICT世界は大昔から、高速化、多機能化、分散化、インテリジェント化、単純化、小型化の繰り返しだ。将来を見越して考えられたUSBインターフェースも、残念ながら2000年頃までの数年間に登場した新製品は、キーボードとマウス、せいぜいゲーム用のコントローラーくらいしかなかった。
そんなUSBインターフェースを使う、目新しい救世主として2000年頃に登場したのが「USBフラッシュメモリー」だった。今から思えば、信じられないほど小さな8MBくらいで登場したUSBフラッシュメモリーも、今や1TBを超える勢いだ。残念ながらスマホや薄型軽量のパソコンの普及で、コネクターサイズの大きなシリアルポートは地上から姿を消し、USBポートが周辺機器との標準インターフェースとなった。
一旦インターフェースの標準化が決まると、あとはお決まりの高速化、多機能化、小型化の反復世界に入り、より小さく高速で多様性のあるUSB規格が、毎年のようにバージョンアップして登場してくる。
USBフラッシュメモリーだけだった外部ストレージの世界にも、本来は内部ストレージであり、回転するハードディスクのサクセッサー(継承者)だったSSD(ソリッドステートドライブ)も、USBの新しい規格に乗って外付けのコンパクトなストレージとして再登場してきた。
極めてコンパクトなUSBフラッシュメモリーサイズのスティックSSD
今回、筆者が衝動買いしたのは、そんなSSDの中でも小さな「M.2 type2242」を使用し、超高速USB 3.1 Gen2対応の「USB to Serial Bridge基板」を介し、USBポートに接続できる極めてコンパクトなUSBフラッシュメモリーサイズのスティックSSDだ。加えてPCとの接続では、より高速なデータ転送を実現する「UASPモード(USB Attached SCSI Protocol)」に対応している。
外観サイズは、スライド式のUSBコネクター収納時は25x71x9㎜、コネクター突出時は25x82x9㎜と極めてコンパクト。以前ご紹介した同社の1TB USBフラッシュメモリーの27.3x78x10.6㎜と殆んど変わらず、USBコネクターの収納時には、縦横厚さのすべてでよりコンパクトだ。
本体は削り出し製法によるアルミボディー。全体に内部のアルミニウムを保護し、経年変化を防ぐアルマイト塗装を施し、カラーリングは同社のイメージカラーである赤を全面的に採用。使用時にも同社のコーポレートブランドロゴが目立つ位置にレーザー加工で記載されている。
使用前のスライド操作によるUSB Type-Aプラグの迫り出しは、アルミニウムボディーの精密な加工処理によって極めてスムースだ。親指でスライドボタンを軽く押し下げスライドすることで自然にType-Aプラグは迫り出し自動的にロックがかかる仕組みだ。
製品本体を分解することは推奨しないが、組み立て精度の高いものを見て、そこに数少ないネジを発見してしまうと、もうどうしても分解して中身を見てみたい衝動を抑えられない。今回も精度の高いネジを4本外して、内部を覗いてみた。
M.2 type2242とUSB to Serial Bridge基板の合体したミニボードに、USB Type-Aプラグが付いた基盤全体がスライドする仕組みだった。やっぱりアルミボディーやスライドボタンの工作精度が高くスライド操作は指遊びが癖になる気持ち良さだ。
さてもう殆んどUSBフラッシュメモリーのノリの1TBスティックSSDだが、筆者もWindows 10環境で使っているうちにリマインドしたことがある。同じ1TB容量のUSBフラッシュメモリーはドライブアイコンをポイントして右クリックで表示されるコンテキストメニューにある「取り出し」(J)を選択するだけで、で簡単に引き抜くことが可能だ。
しかしSSDを使用した「ローカルディスク」である1TBスティックSSDは、同様の操作をしてもコンテキストメニューに「取り出し」(J)は表示されず。タスクバーの右端にある「隠れているインジィケーターを表示します」メニューをポイントして、「ハードウエアを安全に取り外してメディアを取り出します」を選択する必要があるようだ。
さて、今回衝動買いした大容量の1TBスティックSSDだが、同サイズの高速USBフラッシュメモリーと比較してパフォーマンスはどうだろう。たった一回だが、CrystalDiskMarkで両者を測定してみたところ、1TBスティックSSDはReadで1.3倍、Writeで4.2倍ほど速かった。ちなみに一般的なUSBフラッシュメモリーとの比較では、13倍〜30倍以上速いという価格に見合う結果だった。
以前ご紹介した1TB 高速USBフラッシュメモリーと同様、OTG対応のスマホなら、Type-A→Type-C変換アダプター経由で1TBスティックSSDを接続可能だった。任意のファイルマネージャアプリを使えば、スマホ内部の動画ファイルや写真ファイルを一気に1TBスティックSSDに吐き出したり、書き戻したりが可能だ。取り外し時は、パソコンの時と同じく、”共有ストレージのマウントを解除”してから取り出すことが重要だ。
今回の衝動買い
アイテム:「ITPROTECH 外付けスティックSSD JUST RED Ultimate 1TB」
・購入:WEB通販 JustMyShop(ジャストマイショップ)
・価格:2万9799円(ジャストシステム製品ユーザー価格)
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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