Pixel 4のカメラは綺麗だが超広角がないのが厳しい

文●中山 智 編集●ASCII

2019年10月27日 12時00分

5.7型のPixel 4は使いやすいのか!?
写真の作例やベンチマークで解説

Googleからスマートフォンの最新モデル「Pixel 4」シリーズが発売された。前シリーズと同じく画面サイズの違いで「Pixel 4」と「Pixel 4 XL」の2モデルをラインアップしており、どちらのモデルも基本スペックは共通。今回は「Pixel 4」をレビューする。

Googleの最新スマートフォン「Pixel 4」

ポップなデザインでグリップしやすいサイズ

Pixel 4は5.7型(1080×2160ドット)の有機ELパネルを搭載し、アスペクト比は19:9。ちなみにPixel 4 XLも同じく有機ELパネルだが6.3型(1620×2880ドット)とひと回り大きい。ともに90Hzの高速表示に対応しているので、画面を高速でスクロールさせるときなど、滑らかな動きを見せてくれる。

5.7型の有機ELパネルを搭載

本体背面もガラス素材でカラーによって仕上げが異なり、ホワイトとオレンジは磨りガラスのような若干ざらつく感触。ブラックは逆に光沢のある仕上げになっている。評価用としてグーグルから借りたモデルはオレンジだったが、他社のハイエンドモデルと比べるとかなりポップなデザイン。ただし本体重量は約162gで、手に持ってみると見た目のポップな印象からは若干重く感じた。

背面もガラスで、オレンジは磨りガラスのような仕上げ

本体サイズは約68.8×147.1×8.2mm。左右のベゼルは狭く、5.7型でもかなり握りやすい。片手で操作するスマートフォンとしてはかなりしっくりくるサイズだ。本体側面には電源ボタンと音量ボタンを配置。各色とも音量ボタンは側面の黒と同じだが、電源ボタンは別色でアクセントとなっている。

本体右側面。電源ボタンのカラーリングがアクセント
USBはType-Cでイヤホンジャックは非搭載

ディスプレーにノッチはないが、本体上部のベゼルは下部に比べると太くなっている。これはインカメラに加えて、顔認証赤外線カメラや周囲光センサー、近接センサー、顔認証投光イルミネーターなど各種センサーを搭載してるため。ディスプレー部分の角が丸くなっていることもあり、ベゼルがかなり広くなっているように見えてしまう。

ノッチはなく、よく見るとさまざまなセンサーが組み込まれているのがわかる
本体下部のベゼルは狭い

各種センサーを搭載したことにより、画面を触れずにスマートフォンを操作する「Motion Sense」が新たに追加されたのだが、日本では発売時には非対応で、2020年春頃にアップデートで利用できるようになる。また、前モデルのPixel 3シリーズから搭載されている「Active Edge」も引き続き利用可能。端末を握ることでGoogleアシスタントを呼び出したりできる。

グリップして機能を呼び出す「Active Edg」も搭載

SIMスロットはピンで押し出すタイプのトレー式で、シングルSIM仕様。Pixel 4シリーズでは日本版でもeSIMに対応しており、eSIMを設定することでDSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)での利用は可能。海外旅行時に日本で使っているSIMを抜かず、おトクなeSIMサービスを使うといった使い方ができそうだ。

nanoSIMサイズでSIM1枚だけをセットできる
eSIMにも対応しているので、物理SIMとeSIMのDSDSが可能
おサイフケータイに対応している

指紋認証センサーは搭載しておらず、生体認証としては顔認証のみ。顔認証のスピードはかなり速く、ほとんど意識することなくロックが解除できているのは便利だ。ただし、目をつぶっていてもロック解除できてしまうバグが現在あり、今後のアップデートで改善する予定になっている。セキュリティーを気にするユーザーは、アップデートがあるまではパスコードなどのロック解除を使ったほうが良さそうだ。

単なる望遠レンズではなく
デュアルカメラとして効果的な仕様

カメラはPixelシリーズとしては初めてアウトカメラが2眼になり、1200万画素(F1.7/視野77度)と、1600万画素(F2.4/視野52度)の組み合わせ。35mm換算だと視野77度は焦点距離約27mm、視野52度は焦点距離約44mmで、いわゆる標準と望遠のペアとなり、最近はやりの超広角は搭載していない。

また、スマートフォンのカメラで標準と望遠の組み合わせの場合、望遠は2倍以上というのが一般的だが、Pixel 4の倍率はそれに満たない。そのため望遠効果を期待するより、カメラをデュアル化してより多くのデータを取り込むことで、写真の品質をアップさせるのが狙いのようだ。

背面のカメラはデュアル仕様になった

実際搭載されているカメラアプリでは、ほかのスマートフォンのように倍率をワンタッチで切り替えるようなボタンは用意されていない。もちろんピンチイン・アウトでズームの倍率は調整できるが、新たに搭載された望遠レンズを狙って使うというよりは、シングルカメラのつもりで撮影するのが良さそうだ。

最大デジタルで8倍ズームまで可能だが、標準と望遠を切り替えるようなボタンはない
アウトカメラの設定項目
インカメラでは美顔機能も利用できる
前モデルで評価の高かった夜間モードもパワーアップしている

以下はPixel 4で撮影した作例。基本的にはオートかつ手持ちで撮影しているが、夜景に関しては夜間モードでも撮影している。デュアルカメラの効果もあり、ズームの画質劣化があまり感じられないのがポイント。全体的に仕上がりも鮮やかで「撮影に失敗しないカメラ」として十分威力を発揮しそうだ。

標準で撮影。門の飾り部分も細かく描写されている
2倍ズームで撮影。デジタルズームだが画質の劣化は感じられない
最大の8倍で撮影。多少ぼやけてはいるが、十分実用できるレベル
逆光気味での撮影だが、白とびや黒くつぶれているところはほとんどない
2倍で撮影。石像の質感がしっかりと出ている
接写でマクロ撮影。風で花が動いていたが、ブレずにめしべやおしべの生々しさがでている
室内照明でのフード撮影。ホワイトバランスも悪くなく見た目どおり
インカメラでのセルフィー。ややCG感があるのが気になる
標準のカメラモードで撮影した夜景
夜間モードで撮影。夜空やビルの壁が明るくなっている

ハイエンドプロセッサーで基本性能も抜群

プロセッサーはSnapdragon855でメモリーは6GB。内蔵ストレージは64GBと128GBの2モデルが用意されている。microSDには非対応のため、写真や動画を多く撮ったり、音楽や映像コンテンツを楽しみたいユーザーは128GBモデルをチョイスしたほうがよさそうだ。各種ベンチマークの結果は下記のとおり。ハイエンドのSnapdragon 855を搭載しているだけあり、高スコアをマークしている。

AnTuTu Benchmark
Geekbench 5
3DMark

そのほか、おサイフケータイやQiに準拠したワイヤレス充電にも対応。Type-C端子での充電は最大18Wとなっており、細かなポイントまでしっかりと「ハイエンド」らしさはおさえている。直販価格は64GBモデルが8万9980円で、128GBが10万3950円。ハイエンドモデルを狙っているなら候補に挙げたいモデルだ。

筆者紹介:中山 智

海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。


Pixel 4 Pixel 4 XL Pixel 3
(参考)
Pixel 3 XL
(参考)
ディスプレー 5.7型有機EL
(19:9)
6.3型有機EL
(19:9)
5.5型有機EL
(18:9)
6.3型有機EL
(18.5:9)
画面解像度 1080×2280 1440×3040 1080×2160 1440×2960
サイズ 68.8×147.1
×8.2mm
75.1×160.4
×8.2mm
68.2×145.6
×7.9mm
76.7×158
×7.9mm
重量 162g 193g 148g 184g
CPU Snapdragon 855
2.84+1.78GHz
(オクタコア)
Snapdragon 845
2.5+1.6GHz
(オクタコア)
内蔵メモリー 6GB 4GB
内蔵ストレージ 64/128GB 64/128GB
OS Android 10 Android 9→10
4G対応バンド 1/2/3/4/5/7/8
/12/13/17/18/19/20/21/25/26
/28/38/39/40/41/42/66
1/2/3/4/5/7/8
/12/13/17/18/19/20/21/25/26
/28/29/30/40/41/42
CA対応 ○(5CC) ○(5CC)
無線LAN 802.11ac
(2.4/5GHz)
802.11ac
(2.4/5GHz)
カメラ画素数 リア12.2メガ(標準)
+16メガ(望遠)
/イン8メガ
リア12.2メガ/イン8メガ×2
バッテリー容量 2800mAh 3700mAh 2915mAh 3430mAh
生体認証 ○(顔) ○(指紋)
防水・防塵
SIM nanoSIM+eSIM nanoSIM
USB端子 Type-C Type-C
カラバリ Just Black、Clearly White、Oh So Orange Just Black、Clearly White、Not Pink

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