2019年7月アニメ振り返り

　恒例のテレビアニメの二次創作調査、今回は2019年7月開始のテレビアニメ下記37タイトルを調査しました。

今回調査対象とした2019年7月開始のテレビアニメ 37タイトル（50音順）
荒ぶる季節の乙女どもよ。	ありふれた職業で世界最強	あんさんぶるスターズ！
異世界チート魔術師	ヴィンランド・サガ	うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。
炎炎ノ消防隊	凹凸世界 シーズン2	おしりたんてい
かつて神だった獣たちへ	彼方のアストラ	からかい上手の高木さん②
可愛ければ変態でも好きになってくれますか？	ギヴン	グランベルム
胡蝶綺 ～若き信長～	コップクラフト	女子高生の無駄づかい
スタミュ	戦姫絶唱シンフォギアXV	ソウナンですか？
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII	ダンベル何キロ持てる？	通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか？
手品先輩	とある科学の一方通行	Dr.STONE
ナカノヒトゲノム【実況中】	博多明太！ぴりからこちゃん	ビジネスフィッシュ
BEM	魔王様、リトライ！	まちカドまぞく」
闇芝居	指先から本気の熱情-幼なじみは消防士-	Re:ステージ！ ドリームデイズ♪
ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-

　7月アニメではニコ動では「ダンベル何キロ持てる？」、pixivでは「あんさんぶるスターズ！」が投稿数トップ。「戦姫絶唱シンフォギアXV」も含めてこの3作品の人気がニコ動・pixivに共通して高かったです。ついで「まちカドまぞく」の伸びが大きく、今回はこの4作をご紹介します。

歌って踊れるアイドルを目指す男の子たちの革命
あんさんぶるスターズ！

　pixivでは人気アイドルゲームの初アニメ化となる「あんさんぶるスターズ！」が今期通じて投稿数トップ。ソシャゲアニメの常で、アニメ化で劇的な増加はないものの、3ヵ月を通じて高い投稿数を維持しています。

　ニコ動では昔からMMD動画が多い作品で、今回のアニメ化でも投稿が目立ちます。またコスプレ踊ってみたでも人気の高いタイトルです。

　pixivはほぼ女性投稿者。また国内人気が強く、海外からの投稿者は比較的少ないです。

　キャラクターでは放映期間と誕生日が重なったユニット「Knights」の「朔間凛月」の投稿が最多。ついでアニメの9月時点では本格的に登場していない、同じく「Knights」の「⽉永レオ」のイラストが多いです。ほか「朔間零」「瀬名泉」「影⽚みか」などが⼈気。今回男性キャラでは全体でも彼らがよく描かれてるトップ5となります。

　「あんさんぶるスターズ！」は複数の男性アイドルユニットが登場します。アニメではそのうちユニット「Trickstar」の活動を軸に描かれますが、人気はその他のユニットのメンバーが目立ちます。アニメでもこれらのユニットの過去からのしがらみが細かく描かれており、こうした過去をふまえたキャラ同士の関係性が好まれているタイトルなのかもしれません。

アニメ「あんさんぶるスターズ！」より第1話の公式配信動画。原作は同名のソーシャルゲームで、ライトノベル作家「日日日」がメインシナリオを手掛けていることでも有名。高校のアイドル科に通う男の子たちが転校生の女の子の助けを得て生徒会のアイドルグループと対決し、学校を改革しようとする学園アイドルストーリー。

「あんさんぶるスターズ！」をモチーフとしたMMD動画。作者は「Potato」。歌は歌い手luzとnqrseの歌うオリジナル曲「シュガーヘイト」。「あんさんぶるスターズ！」のMMD動画はゲーム開始の2015年頃より投稿があり、アニメ放送の今回も投稿が目立つ。踊るキャラクターは「朔間零」率いるユニット「UNDEAD」のメンバー。

お願いマッスルでブレイクの筋トレアニメ
ダンベル何キロ持てる？

　筋トレアニメ「ダンベル何キロ持てる？」はOP曲「お願いマッスル」が音MADや演奏してみた・歌ってみたなどでヒットしニコ動で急激にブレイク。

　後半はゆるやかに失速しましたが、7月アニメでは期間を通じてトップを独占しました。pixivでもニコ動人気に引かれるかたちで投稿が増えています。

　pixivのイラスト投稿は男性が中心でR-18イラストも3割ほどと多め。主人公「紗倉ひびき」のほか、「奏流院朱美」「立花里美」などがよく描かれています。「紗倉ひびき」は7月アニメで最も多く描かれたキャラです。

　「お願いマッスル」人気で注目されたタイトルですが、作中の筋トレ講座もしっかりしており、見ていると筋トレを始めたくなるアニメです。

アニメ「ダンベル何キロ持てる？」より第1話の公式配信動画。サンドロビッチ・ヤバ子原作・MAAM作画の同名のマンガ作品。主人公の女子高生たちがトレーニングジムで筋トレを学ぶ日々を描く筋トレ入門アニメ。

アニメ「ダンベル何キロ持てる？」のOP「お願いマッスル」を歌っているかのように弾くギター演奏動画。演奏者は「Rio.T」。「お願いマッスル」は演奏してみたや歌ってみた動画が多数上がっている。

VTuberグループ「ホロライブ」メンバー17名による歌ってみた動画。「お願いマッスル」はVTuber界隈でもよく歌われており、この動画のように映像も凝った作品も。

歌う少女たちの戦いの総決算
戦姫絶唱シンフォギアXV

　「戦姫絶唱シンフォギアXV」は人気アニメシリーズの完結編。総決算的な熱い展開が多かったこともあり放送中を通じて人気が高く、終盤はニコ動・pixivとも投稿が盛り上がりました。

　ニコ動ではアニメ本編や楽曲の転載、MADなどが中心。MADでは歴代シリーズをふまえた作品が目立ちます。

　pixivでは比較的男性投稿者が多く、海外からの投稿者は少なめ。イラストは主人公「立花響」が多く、「雪音クリス」「暁切歌」「月読調」などもよく描かれています。

アニメ「戦姫絶唱シンフォギアXV」より第1話の公式配信動画。歌の力を拳にこめて戦う少女たちの物語。サテライト制作の人気オリジナルアニメシリーズ堂々の完結編。

宿敵同士な二人のトレーニングの日々で深まる関係
まちカドまぞく

　「まちカドまぞく」は今回初アニメ化のきらら系列誌コミック作品。放送当初はさほど注目されていなかったものの、ゆるやかに人気が拡大して8月頃からニコ動・pixivで目立ち始め、9月にpixivで投稿が急増しました。

　ニコ動ではMADが多く、特に「シャミ子が悪いんだよ」など原作でもアニメでも言っていない台詞を捏造したMADがよく見られます。

　pixivでは男性投稿者が中心ですがR-18イラストは少なめ。主人公の「シャミ子」こと「吉田優子」がよく描かれており、今回2番目にイラストが多いキャラクターです。次いで魔法少女の「千代田桃」が人気。

　主人公・優子のかわいさや桃との関係、丁寧な演出などが評価され、少しずつ支持を広げて右上がりにファンアートが増加していった作品です。

アニメ「まちカドまぞく」より第1話の公式配信動画。原作はまんがタイムきららキャラット連載中の伊藤いづもの同名のマンガ作品。「まぞく」の血に目覚めた主人公・吉田優子が宿敵の魔法少女・千代田桃にトレーニングで鍛えられながら親密になっていくファンタジーコメディ。

夏アニメ3ヵ月間の投稿人気推移

　今回も各作品の投稿数順位からこの3ヵ月の変化をみてみます。

　pixivでは元々人気の高い「あんさんぶるスターズ！」、ニコ動でも「ダンベル何キロ持てる？」が早期にブレイクしてそれぞれトップを独占。ほか「戦姫絶唱シンフォギアXV」も強く、この3作品が全体を通じてニコ動・pixivともに2位争いに参加しています。

　一方で「まちカドまぞく」が圏外からゆるやかに人気を拡大、8月以降は3位争いに加わり、最終週ではニコ動・pixivともに2位でした。

　ニコ動ではほか、前半で「からかい上手の高木さん②」や「女子高生の無駄づかい」、後半で「Re:ステージ！ ドリームデイズ♪」が比較的伸びています。pixivでは「からかい上手の高木さん②」と「炎炎ノ消防隊」が期間を通じて高順位でした。

　pixivでの投稿傾向では、男性投稿者が多かったのは「ダンベル何キロ持てる？」「戦姫絶唱シンフォギアXV」「炎炎ノ消防隊」「まちカドまぞく」「手品先輩」、女性投稿者が多かったのは「あんさんぶるスターズ！」「スタミュ」「炎炎ノ消防隊」「戦姫絶唱シンフォギアXV」「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」など。紹介した4作品以外では「手品先輩」が男性投稿者中心、「スタミュ」が女性投稿者中心です。「炎炎ノ消防隊」と「ロード・エルメロイII世の事件簿」は比較的男性が多いタイトルですが女性投稿者も多い傾向でした。

　R-18イラストが多かったのは「あんさんぶるスターズ！」「ダンベル何キロ持てる？」「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか？」「手品先輩」「戦姫絶唱シンフォギアXV」。特に「通常攻撃が～」は約5割、「手品先輩」は約4割がR-18イラストと高比率でした。

　海外投稿者が多かったのは「あんさんぶるスターズ！」「炎炎ノ消防隊」「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか？」「ダンベル何キロ持てる？」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII」など。特に「炎炎ノ消防隊」「通常攻撃が～」「ダンジョンに～」は3割以上が海外投稿者です。逆に今回紹介した人気4作品はどちらかというと国内人気の強いタイトルが多かったと言えます。

　国別でみると中国・台湾・韓国では「あんさんぶるスターズ！」、アメリカでは「炎炎ノ消防隊」と「戦姫絶唱シンフォギアXV」、東南アジアでは「通常攻撃が～」と「炎炎ノ消防隊」がよく描かれていました。

　キャラでは「ダンベル何キロ持てる？」の「紗倉ひびき」、「まちカドまぞく」の「吉田優子」、「通常攻撃が～」の「大好真々子」、「からかい上手の高木さん②」の「高木さん」、「戦姫絶唱シンフォギアXV」の「立花響」と、各人気作のメインヒロインがトップ5。男性では上述の「あんさんぶるスターズ！」のキャラが上位を占め、それ以外では「ロード・エルメロイII世の事件簿」の「ロード・エルメロイⅡ世」が上位でした。

　R-18イラストでは「通常攻撃が～」の「大好真々子」がトップ。次いで「紗倉ひびき」「高木さん」、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII」の「ヘスティア」などが上位でした。「大好真々子」は半数以上がR-18イラスト、「紗倉ひびき」「ヘスティア」は3割ほどがR-18です。

　7月アニメでは歌やアイドルという近年のアニメで定番的な作品が今回も強かったものの、その代表的なタイトルだったシンフォギアが完結したこと。また筋トレというニッチなテーマの作品のブレイクが興味深い動きでした。

ソシャゲのビッグタイトルがひしめく10月アニメ

　最後に、現在放送中の10月アニメの2週目を終えた段階での傾向をみてみます。調査時点で未放送のタイトルもあり、暫定的な数字ですので今後を占う程度の意味合いでご覧いただければと思います。

　FGO・グラブル・アズレン・ドルフロ（ドルフロのみショートアニメ）と二次創作人気も高いソシャゲのビッグタイトルが並ぶのが今期の特徴。元から人気が高いこともあり、pixiv・ニコ動ともこれらが上位を占めています。またヒロアカ・SAO・アイカツと人気タイトルの続編もあり、ビッグタイトルの多い10月アニメとなりました。

　新作では「旗揚！けものみち」「慎重勇者～この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる～」がニコ動・pixivで好調。またpixivでは「スタンドマイヒーローズ　PIECE OF TRUTH」「BEASTARS」も人気です。

　今回は調査時点ではまだ放送していないタイトルもありますので、まだ様子見程度の結果です。今期はここからどのようになるのでしょうか。注目していきたいと思います。

アニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」より第1話の公式配信動画。

アニメ「アズールレーン」より第1話の公式配信動画。

アニメ「GRANBLUE FANTASY The Animation Season2」より第1話の公式配信動画。

アニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」より第1話の公式配信動画。

アニメ「僕のヒーローアカデミア」より第64話（4期1話）の公式配信動画。

アニメ「旗揚！けものみち」より第1話の公式配信動画。

アニメ「慎重勇者～この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる～」より第1話の公式配信動画。

アニメ「スタンドマイヒーローズ　PIECE OF TRUTH」より第1話の公式配信動画。

アニメ「BEASTARS」より公式PV。niconicoでの配信は無し。