3万円台で5000mAhのバッテリー「ZenFone Max Pro(M2)」は買って損なしの1台!
文●村元正剛(ゴーズ) 編集●ASCII編集部
2019年05月26日 12時00分
今回はASUSの「ZenFone Max Pro(M2)(ZB613KL)」を紹介する。3月15日に発売されたがトラブルにより回収、そしてようやく販売再開となったので、あらためてレビューしたい。
ZenFone Max Pro(M2)はSIMフリースマートフォンで、メーカーが発表している価格は3万5500円(税別)。しかし、MVNOでSIMとセットで購入する場合は、さらに安い価格で買えるようだ。
「ZenFone Max」シリーズは、大容量バッテリーを搭載していることが特徴。ZenFone Max Pro(M2)は5000mAhのバッテリーを内蔵し、最大約35日間の連続時間、最大約23時間のウェブブラウジング(Wi-Fi接続時)を実現しているという。従来のZenFone Maxシリーズは、ハードウェアのスペックは抑えられている印象だったが、このZenFone Max Pro(M2)は、プロセッサーにSnapdragon 660(1.95GHz)を採用し、4GBのメモリーを搭載するなど、ミドルハイの仕様を備えている。
ZenFone Max Pro(M2)は、本当にお値段以上の性能を備えた高コスパモデルなのか? 1週間ほど使ってみた、率直な感想をお伝えしよう。
多くの人の手になじみそうなサイズ感
ZenFone Max Pro(M2)の画面サイズは6.3型。IPS方式の液晶ディスプレーを採用し、解像度はフルHD+(2280×1080ドット)。主流となりつつある縦横比19:9の縦長画面で、上部にはノッチ(切り欠き)がある。ノッチには1300万画素カメラとLEDフラッシュが搭載されている。
フロントパネルには、落下時の堅牢性が前モデルから最大2倍になったという「Gorilla Glass 6」を採用。エッジ部は2.5Dの曲面処理が施されている。左右のベゼルは細めで、本体の横幅は約75.5mmに抑えられている。決してスリムとは言えないが、手にした時のホールド感は悪くない。重さは約175g。6.3型の大画面と大容量バッテリーを搭載しているわりには軽いと言っていい。良い意味で万人受けしそうな、ごくフツーのスマホのサイズ感だ。
背面パネルは、光沢が強いミラー調に仕上げられている。16層のレイヤーコーティングによる「16 Wave Finish」という技術が用いられており、光の当たり方によって表情が変わる趣向だ。ハイエンドモデルに見まごうようなリッチな質感だ。
ボタンや外部インターフェースは標準的な仕様。USB端子は、普及しつつあるType-Cではなく、旧来のmicroUSBを採用している。こうした細かい部分で製造コストを抑えているのだろう。しかし、2枚のnanoSIMと1枚のmicroSDを同時にセットできるトリプルスロットを搭載していることは大きなアドバンテージ。国内3キャリアのVoLTEに対応し、DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)にも対応している。
パフォーマンス、スタミナともに満足必至
OSはAndroid 8.1。ベーシックなAndroidを、ほぼそのまま使う「ピュアAndroid」を採用している。「ZenFone」シリーズは、従来「ZenUI」というメーカー独自のUIを組み込んだカスタマイズOSを採用していたが、それを廃止した形だ。個人的には、便利な独自機能がたくさんあって、自分に必要なものを選んで使える「ZenUI」は気に入っていたのだが、初めてASUSのスマホを使う人にとっては、ピュアAndroidのほうがシンプルでわかりやすいだろう。
CPUはSnapdragon 660(最大1.95GHz オクタコア)。メモリーは4GBで、内蔵ストレージは64GBという構成だ。筆者は普段、ウェブやSNSの閲覧、カメラ、「YouTube」などのアプリを使うことが多い。ゲームも、マルチタスク操作も試してみたが、動作に不満を感じることはなかった。ベンチマークを測定する「AnTuTu Benchmark」で3回測定して結果、最高スコアは「130394」だった。ミドルクラス機としては上々のスコアといえよう。
バッテリーは、期待していた通りに長持ちした。筆者が使用したのは1週間で、日によって使い方にもかなり差があったが、朝、満充電の状態で出かけて、夕方になっても70%以上の電池が残っていて、うわっと驚いたりもした。標準的な使い方であれば、2日間は余裕で持つだろうし、電話やメールが中心のライトユーザーなら、さらに長く使えるはずだ。ただ、ひと言だけ本音を添えておくと、充電時間はややかかるように感じた。
なお、ZenFone Max Pro(M2)はOTGケーブル(別売)を用いて、他のデバイスを充電できるリバースチャージ機能も備えている。つまり、ZenFone Max Pro(M2)をモバイルバッテリーとしても使えるわけだ。ただし、筆者はこの機能を試せておらず、これを必要とする人は限られるのではないと思っている。
手軽に自然なボケ味を楽しめるカメラも魅力
アウトカメラは1200万画素+500万画素のデュアルカメラで、1200万画素カメラがメインカメラとして機能し、500万画素カメラは深度測定用に使われる。「ポートレート」をオンにすると、背景をぼかして主要被写体を際立たせる写真を撮ることができる。人物撮影だけではなく、物の撮影にも応用でき、使い勝手は良いと思った。
アウトカメラは13の被写体・シーンを認識する「AIシーン分析機能」も備えており、「Auto」撮影時に有効になる。その分析結果によってもデュアルカメラによる深度測定が行なわれるようで、花に近づいて撮ると、後方に自然なボケ味が得られた。
ノッチに搭載されたインカメラの有効画素数は1300万画素。シングルレンズながら、「ポートレート」で撮ると背景がぼけて、自分が際立つセルフィーが撮れる。「美人エフェクト」という機能で、肌を明るくきれいに補正することも可能。なお、エフェクトのレベルを「高」にしても、不自然な補正にはならなかった。自撮りをすることが多い女性も満足できるのはないかと思う。
【まとめ】これから格安SIMデビューする人には最適!
ピュアAndroidを採用したためか、従来のZenFoneに比べると個性が乏しくなったようにも思えるZenFone Max Pro(M2)。しかし、見た目も、手にした印象も、操作した感触も、すべて悪くないのだ。多くの人が、ストレスや不満を感じることなく、すんなり使いこなせるのではないだろうか。
ZenFone Max Pro(M2)の魅力をあらためて整理すると……
- 5000mAhの大容量バッテリー
- ミドルハイクラスなのに3万円台というコスパ
- 見やすい大画面とシンプルな操作性
- 自然なボケ味を楽しめるカメラ
- 3万円台とは思えない高級感のあるデザイン
といったところ。正直、これだけ揃っていたら「買い」でしょう。とくに、これから格安SIMへの乗り換えを考えているSIMフリービギナーにオススメしたい。
ZenFone Max Pro(M2) | ZenFone Max(M2)※参考 | |
---|---|---|
メーカー | ASUS | |
価格(税抜) | 3万5500円 | 2万6500円 |
ディスプレー | 6.3型IPS液晶(19:9) | |
画面解像度 | 1080×2280ドット | 720×1520ドット |
サイズ | 75.5×157.9×8.5mm | 76.3×158.4×7.7mm |
重量 | 175g | 160g |
CPU | Snapdragon 660 1.95GHz (オクタコア) |
Snapdragon 632 1.8GHz (オクタコア) |
内蔵メモリー | 4GB | |
内蔵ストレージ | 64GB | 32GB |
外部メモリー | microSDXC(最大2TB) | |
OS | Android 8.1 | |
LTE対応バンド | 1/2/3/4/5/7/8/12 /17/18/19/28/38/41 |
1/2/3/4/5/7/8/12 /17/18/19/26/28/38/41 |
3G対応バンド | 1/2/4/5/6/8/19 | |
DSDS | ○(DSDV) | |
CA対応 | ○(2CC) | |
VoLTE | ○(ドコモ、au、Y!mobile) | |
無線LAN | IEEE802.11n(2.4GHz対応) | |
カメラ画素数 | アウト:12メガ +5メガ(深度測定) /イン:13メガ |
アウト:13メガ +2メガ(深度測定) /イン:8メガ |
バッテリー容量 | 5000mAh | 4000mAh |
防水/防塵 | ×/× | |
生体認証 | ○(指紋、顔) | |
SIM形状 | nanoSIM×2 | |
USB端子 | microUSB | |
カラバリ | コズミックチタニウム、ミッドナイトブルー | メテオシルバー、ミッドナイトブラック、スペースブルー |
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