たった48時間で「スマホVR ハコスコ向けアプリ」を制作した開発者のウラ話
文●ちゅーやん
2015年12月26日 12時00分
11月27日。「スマホVR ハコスコ向けアプリ」を48時間以内に制作するという前代未聞のニコニコ生放送があった。
笑えるゲーム実況ふう番組「スーパーピコピコクラブ(スーピコ)」とゲームアプリメーカー ポケラボのコラボレーション企画として番組視聴者とスマホゲームの共同開発を行なう「GAME JAM」を開催した。
48時間でアプリを制作する……ということだけでもかなりキャッチーだが、制作したのは「ハコスコ向けアプリ」。徐々にVR(仮想現実世界)のブームが巻き起こりつつあるが、スマホで手軽に使えるハコスコ向けアプリを生で制作するということには驚きだ。
今回は実際にアプリ制作を手がけたプロデューサー ふもと氏、エンジニア かも氏にインタビューを行なわさせていただいた。
“みんな”でアプリをつくりたかった
── 本日はお忙しいところインタビューをさせていただき、ありがとうございます。アプリ制作、本当にお疲れさまでした。
ふもと氏:ありがとうございます。でも放送が終わったあとの記憶がもうあやふやなんですよね。
── やっぱり疲れましたよね。
ふもと氏:放送が終わったのは深夜2時ごろだったと思うんですけど、やりきった達成感からかテンションが“ハイ”になっちゃって……。
── すぐに帰って寝なかったんですか?
ふもと氏:帰宅後にタイムシフトで自分たちの放送を観てました。気がついたら寝ちゃってて会社に遅刻しましたけど(笑)
── 放送が土日だったんで、てっきり月曜日はお休みにしていたのかと……。
ふもと氏:午前休は取得して、午後から出社しようと思ったら寝坊しました。そうしたら「なんで遅刻してるんだ!」と社内のほかの人から言われました(笑)
── かなり過酷だったんですね。そもそもなぜアプリの制作をニコニコ生放送で行なおうと思ったんですか?
ふもと氏:ある放送で、ユーザーさんとえんじゃが放送内でゲームをいっしょに遊んでいる姿を見て、“この一体感をもっとほかのもに生かしたい”と思ったことがきっかけです。そこでポロッと「ゲームをユーザーさんとこの番組でいっしょにつくりません?」と言ったところ、かなり反響があったので翌日には企画書をつくって協力してくれる仲間探しを始めました。
いっしょに制作した視聴者に楽しんでもらうのがイチバン
── アプリを実際に制作したワケですが、いわゆる通常のアプリとVR向けのアプリで大きく異なる点はどこでしょうか。
かも氏:通常のアプリは画面をタップしたりスワイプして操作しますよね。ただ、VR向けのアプリですと“ボタンを押す”という操作が無いのです。実際に私達が制作したアプリをご覧いただけるとわかると思いますが、アプリを遊ぶときは体を動かす必要があります。
ふもと氏:技術的な面で異なる点としては、スマホに内蔵している各種センサーを利用しているというのもありますよ。位置情報を取得するGPSセンサーや加速度センサー、ジャイロセンサーなどを活用して、体の動きとアプリ内の動きを連動するように制作するんです。
── 今回制作したアプリは“ランゲーム”(横スクロールアクション)でしたが、具体的にどのような流れで制作が進んだのですか。
ふもと氏:今回の制作の根源にあったのは、先程お話ししたように視聴者といっしょにつくるということでした。なので、アプリ自体のアイデアは視聴者からいただいたモノ。そこから「○○な要素がほしい」とか「××を入れたい」とかいろんな注文を受け付けて、実際に取り込めるモノを抽出したっていう感じですね。
── 独特な障害物だったりも登場してましたが、それも視聴者からのアイデア?
ふもと氏:ですね。「スーピコ」ではいろんなゲームを遊んでいるんですが、その中でも人気コンテンツなのが「Grand Theft Auto V(GTA5)」。スーピコの内輪ネタとしても盛り上がれるように、スーピコ視聴者ならわかる要素を多数盛り込みました。例えば消防車とかですね。
── そういえば、スーピコではすきあらばGTA5で遊んでますよね。
ふもと氏:私たちがアプリを制作している最中も遊んでいましたからね(笑)
── 視聴者が楽しんでもらえるような要素が数多く盛り込まれていましたが、イラストやBGMなどの制作にどれくらいの時間が割かれましたか?
ふもと氏:今回のアプリに限っては視聴者の方と共同作業をしました。特にイラストに関してはさまざまな方からお寄せいただいたので、特に時間がかかりませんでしたね。中には視聴者だけでイラストをブラッシュアップしていただいたりして本当に助かりました。どれもクオリティがすごく、圧倒されまくりでした。48時間でつくりあげられたのは視聴者の方の協力があってこそです。
次にVR向けアプリをつくるならシューティングゲーム
── 48時間以内にアプリが完成し、ニコ生で実際にプレイができたようですが、もっとも苦戦したポイントってどこでしたか。
かも氏:ニコ生のコメントとの連動ですね。せっかくニコ生でアプリを制作するから視聴者のコメントをアプリに盛り込めないかと試行錯誤しました。
ふもと氏:ただ、ニコ生でコメントと連動させるというのは“実際に流れるコメント”が必要なワケで……。そこで、アプリの制作段階でほかの生放送のコメントを連動させて試してみたりしましたよ。
── 舞台裏ではそんな試みもあったんですね! 製作期間がかなり短い環境でしたが、あと1時間あったら加えたかった要素とかってありますか。
かも氏:視聴者からもらっていたアイデアをもっと採用したかったですね。特に障害物や背景については時間内に組み込めるモノを採用したので、いただいたアイデア全部をできれば盛り込みたかったです。
── それでもかなり完成度が高いと言いますか、普通にApp Storeなどでも配信できるレベルでしたよね。実際につくられたアプリは各種ストアでの配信は考えていないのでしょうか。
ふもと氏:今回制作したアプリはストアに配信することは一切ありません。おそらく今後も配信することはないでしょう。
── もったいなくないですか?
ふもと氏:今回の企画はすべて視聴者といっしょにつくるということです。ストアに配信して大勢の方に楽しんでもらうというよりも、スーピコの視聴者と完成した瞬間を分かち合うということが目標でした。達成感もその場で十二分に味わえましたし。なので、もったいないとかの感情はありませんね。
── 情熱がひしひしと伝わってきました! 今回はハコスコ向けのアプリを制作しましたが、今後はVR関連のアプリはかなり流行するかと思います。仮にひとりで制作するとしたらどれくらいの期間が必要かと思われますか。
かも氏:アプリ自体の内容にもよりますが、アプリ制作の基礎を知っている方ならだいたい1週間。基礎を勉強しつつ進めていくのであれば1ヶ月くらいを目標に制作すればいいのではないでしょうか。
── なるほど。ちなみに今後もVR向けのアプリをつくろうとは思いますか?
ふもと氏:初めてハコスコ向けのアプリをつくったところ、かなりおもしろかったので今後も挑戦したいとは思いました。
── ということは今後もニコ生でアプリをつくる企画をやったり……。
ふもと氏:かなり疲れますけどね! 仮に次にVR向けのアプリをつくるとしたらシューティングゲームやホラーゲームをつくってみたいですね。特にシューティングゲームは今回の企画の最初の構想段階でもあったネタなので機会さえあれば挑戦したいです。
── 普段からアプリでゲームを遊んでいる自分にとっても制作現場を見れたのは貴重な体験でした。本日はお忙しいところ、インタビューをお受けいただきありがとうございました。
さて、放送が終了している本放送ではあるが、ニコニコ生放送のタイムシフト、またYouTubeでも視聴可能だ。制作する前の視聴者とのアイデア出しから完成まで見ることができるので、ぜひとも視聴してみてはいかがだろうか。
特に、完成して遊んでいるシーンはその場にいなくとも達成感が味わえるハズ。
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