ASCII.jp塾名物油風呂? LIVA Coreも油に沈めてみた
文●林 佑樹(@necamax) 編集●北村/ASCII.jp
2015年12月13日 11時00分
ECSさんに「油没させてみてもいい? LIVA Coreに搭載されているCore M-5Y10cでどれくらいの油が必要か知りたいの!」という、とてもストレートなお願いしたら「ウフフOK~!」と快諾をいただいたので、第3回は油没である。
おさらいとして、ASCII.jpでは、すでにスティックPCのひとつインテル「Compute Stick」(型番:CSTK-32W)を油没させており、1000円以内で強烈に冷却できることを確認している。
いずれはCore M搭載のスティックPCが登場すると思われるが、その前にLIVA Coreで試してみたい。少なめの油で動作するのであれば、ローコストでよく冷えた状態で無音動作する、夢のLIVA Coreも実現できるわけだ。
まずカタログスペックで、「Atom Z3735F」と「Core M-5Y10c」のSDP(Scenario Design Power:現実的なシナリオを想定した消費電力)とTDP(Thermal Design Power:設計上想定されている最大消費電力)を見てみよう。
| プロセッサーの消費電力 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| プロセッサー | SDP | TDP | ||||
| Atom Z3735F | 2.2W | 非公開 | ||||
| Core M-5Y10c | 3.5W | 4.5W | ||||
以上のようにCore M-5Y10cのほうが当然熱い。また、Core M-5Y10cのコンフィグラブルTDP-up(ハイパワーで使用する場合のTDP)は6Wなので、油1リットルでは厳しい可能性がある。
また将来的にスティックPCに搭載されそうな「Core m3-6Y30」はカタログスペックでTDP 4.5W、コンフィグラブルTDP-up 7W、コンフィグラブルTDP-down 3.8Wとあり、Atom Z3735Fよりも熱との格闘が激しそうな気配がある。
「Compute Stickを油風呂に漬けて冷却してみた」の記事を読んで、Core M版でトライしてみようと考えた人にもちょうどいい情報になるはずだ。
Compute Stickでは、約900gの油を使用した。容器はダイソーで購入した1リットルのガラス瓶。Compute Stickの小ささもあってケーブルマネージメントも問題なかった。
しかし、LIVA Coreの基板は75×110mmで、インターフェースも長辺側にあるため、ビンに押し込むのはあまり現実的ではない。
油の量も増やす必要があるため、今回は水槽を探してみた。SDPからすると、2.5倍くらいの油があればいいと直感で思い、約4リットルの水作社製「グラスガーデンR180」を購入した。サイズは180×120×220mmだ。
油はすでに実績のある日清キャノーラを採用。キロ単価の安さが決め手であり、また前回のCompute Stickは2ヵ月ほど様子を見ているが、いまだ酸化が進んでいないため、3ヵ月くらいは行けるだろうという判断もある。
予算があればフロリナートを投入したいところだが……ハイエンドのビデオカードが買えちゃう額になるので、食用油万歳だ。ちなみにトータルの費用は2700円ほど。
基板を吊す作戦
基板を中空に浮かせるには、HDMIケーブルとUSBケーブル、そして電源ケーブルだけでも十分そうだったが、ケーブルの状態によって基板が妙に動くのが気になったので、ネジ穴を利用して釣り糸で吊した。
釣り糸は水槽側面に吸盤フックを取り付けて、そこにテープ止め。写真のようにお手軽なわりに、イイ感じの吊るし具合である。
さて、LIVA CoreはUSB 3.0×4を備えているため、油没させた状態になるとそれらを活用できなくなってしまう。そこで今回は油没Compute Stick 2015 SEでも採用したUSBハブプランを採用。
編集部に転がっていたサンワサプライ製USBハブ「USB-HUB256BK」で、マウスやキーボードを接続することにした。
USB 2.0接続になってしまうのは残念だが、「USB-HUB256BK」は10ポートのハブで外部電源にも対応する。充電ターミナルにもなるからOKとした。
あっさりと下準備が完了した。天板部に隙間のある水槽であり、またスペースもあるため、作業しやすい点が大きいといえるだろう。
また水槽も180×120×220mmとコンパクトなので、油没させない状態でもけっこう見栄えが良く、これはこれでアリだ。
(→次ページヘ続く 「もりもりとキャノーラ油を注ぐ!!」)
もりもりとキャノーラ油を注ぐ!!
いよいよ油注入である。既に述べているように、油にはキャノーラ油1300g×3を用意している。
単価の安さだけで選んでいるが、予算があるのであれば、酸化に強いとパッケージに明記されている日清ヘルシーベジオイルでもいいし、化学合成油でもいい。もちろん、オリーブオイルを天高くから垂らすのもアリ。
油を注ぐ前にまず電源を投入。注ぐ過程で事故死しないかをリアルタイムでチェックするためだ。まずそういった事故は起きないのだが、可能性はゼロではないので念のためである。
そのため、初期段階で電源部に対して油をかけてみるのもチェックとしていいだろう。
下の写真でもわかるように、ケーブルコネクターまでどっぷりと油につけた状態で動作するのであれば、その後の運用にまず問題はない。このあたりはCompute Stickを2ヵ月ほど運用して確認できている部分だ。
目分量でよさそうなところまで油を注ぐことにした。基板がしっかりと油に浸かる状態まで必要になった油はちょうど2600g。
残った1300gはおうちで使用するか、また何かしらを沈めるときまで保管しておくとして、見た目からも十分冷えそうである。
今回は録画しやすい編集部での作業だったので、2600gの油を注いでいく様子を録画している。
動画で見ると、けっこうショッキングなのだが、OSが落ちることもなく、順調に油に沈んでいく様子を楽しんでほしい。
察しのいい読者ならば、この時点で電源のオンオフをどうするんだと考えたと思われるが、うっかりしていた。
UEFIを見るとCompute Stickのように電源が接続されたら電源オンといった設定はないのだが、Wi-FiアダプターであるIntel Dual Band Wireless-AC 3165は無線LAN経由でのWake-on-LANに対応している。ただし、C2ステートに設定することが条件となっている。
スイッチ部分にケーブルを挟んで延長させるのがもっとも無難だろうか。今回の場合、基板を持ち上げられる余地を残してあるので、少し指先は汚れてしまうが、電源投入は可能だ。
(→次ページヘ続く 「しっかりと冷えて長時間負荷テストもクリア」)
しっかりと冷えて長時間負荷テストもクリア
さて。無事に油没が終わったので、負荷チェックだ。手始めにOCCT 4.4.1を8時間連続でテストすることにした。これもCompute Stickの際に、8時間ほどで温度が安定することが分かっているためだ。
下記グラフを見てもわかるように、室温24度に対して44度付近で安定している。分厚いガラスではないので、暖まった油の熱は、ガラス越しで放熱できているようだ。
夏場になると外気温の影響を受けてしまうわけだが、そのときは扇風機などで対応するのがいいだろうか。
結果からすると、油のつぎ足しは不要でCore M-5Y10cの場合は、2600gの油があれば問題なく冷えるというわけだ。
次はデフォルトの状態で気になった要素があったので、そのテストをしていく。LIVA Coreの電源オプションは初期状態では「バランス」に設定されているが、「高パフォーマンス」も設定できる。
油没前に高パフォーマンスに変更して「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を回してみたところ、熱負けしていうようなカクツキが目立ったので、それが解消できるのではないだろうか。
検証してみたところスコアーは1527と、バランスから100ほどアップ。熱負けと思われるもたつきも解消された。といっても、遊べるレベルではないのだが。また、CPU温度自体はとくに変化ナシだった。
デフォルトの状態でも艦これは、デスクトップPCと変わらずサクサクと動作していたが、油没状態でももちろんサクサク。長時間プレイするのであれば、CPU温度の上昇幅が低い油没のほうがいい。
デフォルトの65~70度近い温度からすると、良好すぎる結果になった。今回も比較的ローコストで油没させることができたので、興味がある人はトライしてみるといいだろう。
もちろん、素の状態でも筐体温度はホットだが、熱負けせずに動作するため、快適だ。それでも温度が気になり、かつ静音性を確保したいのであれば、やはり油没/液没が最適解といえるだろう。
チェックしてきたように、油であれば2600gで済み、水槽もコンパクトなものでよく、ローコストで実現できるほか、トルクのあるファンを沈めて強制循環させてみるといった遊びも可能だ。冬休みのトライアルとして、油没を楽しんでみてほしい。
【機材協力】
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