すごく“マトモ”になった! Apple Watch「watchOS 2」をチェックする
文●林 佑樹(@necamax)、編集●ハイサイ比嘉
2015年10月12日 11時00分
2015年4月24日から販売されている「Apple Watch」。非常に期待値の高い製品だったものの、機能的にはiPhoneのコンパニオン止まりで、搭載OS(以下、watchOS 1)はアプリ開発者にとって制約が多く、とりあえず手元で情報を表示できます的なアプリばかりだった。また、実際に購入した人にとっても、主立った用途は、通知センターからの情報を厳選して表示させる程度だったのではないだろうか。
watchOS 1の仕様としてはそれが主であり、それが限界だった。
ただ、多くの方が初めてApple Watchを見た時、手元でiPhone同様のことが行なえると考えたハズだ。そのイメージと実物とのズレが大きすぎたため、いまだに編集部以外で装着している人を見たことがない。
筆者の場合は、航空機の搭乗時間や(iPhone側の)CPU負荷のチェック、コミケでの周り先確認などで活躍してくれているものの、それでも筆者の行動全体の1%程度にすぎない。そのため、「Apple Watch、どう?」と誰かに尋ねられた場合、「ただの通知センター。『Endmondo』とかのフィットネス系アプリのスコアをチラ見できるのは便利。心拍数は取ってくれないけどな!」と答えるばかりだった。
細かなメリットとしては、重要な通知だけをApple Watchに送る設定にしておくと、iPhone(からの通知)に読書を邪魔されずに済む点がある。それと合わせ、先に挙げた1%分の要素については購入してよかったと感じている。
「watchOS 2」でどう変わったのか?
冒頭に記した仕様の限界、いろんな意味での“期待外れ”を解消する可能性のあるアップグレードが、当初の予定からやや遅れて配信された「watchOS 2」だ。注目すべきは、Apple Watchでネイティブ動作するアプリの開発や、加速度・心拍センサーやマイク・スピーカー、Taptic Engine、Digital Crownへのアクセスほか、文字盤へのコンプリケーション作成などがディベロッパー向けの機能として用意されたことだ。
iPhone向けアプリ同様に、純正アプリよりもサードパーティー製アプリの登場が重要なので、ディベロッパーに向けた機能のアンロックによって魅力的なアプリが増えるかどうかで、今後のApple Watchの評価も変化してくるだろう(文字盤のアンロックはされておらず、この点だけが残念でしかたない)
追加された文字盤とタイムトラベル
それでは、Watch OS2で強化されたOS標準の機能を見ていこう。Watch OS2前提のサードパーティー製アプリについては、ストアの動向次第で後日またチェックしたい。
まず、文字盤における機能的な追加は、実質的に「タイムトラベル」のみとなっている。タイムトラベルは、標準のコンプリケーションとして、日付と世界時計、カレンダー、日の出/日の入り、株価、天気、月の位相が用意されており、Digital Crownを回すと、前後の時間軸での状況がわかる。Digital Crown 1回転あたりの進行時間を調整できないため、1日先を見るのは面倒でしかないが、たとえば数時間先のカレンダーに入力した予定を知るぶんには便利だ。また天候を知りたい場合にも、グランスからアプリを立ち上げる場合よりも早く済む。
制約としては、カレンダーの情報をタイムトラベルでチェックしたい場合、「モジュラー」か「ユーティリティー」を選ぶ必要があるため、ビジュアル重視の文字盤では、天気や世界時計でお世話になるくらいだろうか。サードパーティー製アプリとして、たとえば乗換案内系アプリがタイムトラベルに対応してくれるなら、使用する機会は増えるだろう。このほか、変わった使い方を提案するアプリが登場するかもしれない。
追加された文字盤は「タイムラプス」「フォトアルバム」「写真」の3つ。いずれも機能性は皆無に等しく、端的にいえば写真が表示されるだけのものだ。まず「タイムラプス」は、表示時間に合わせたタイムラプスが表示されるもので、画面が表示された際は1秒ほどタイムラプス動画が再生される。カスタマイズを見ると、マック湖、ニューヨーク、香港、ロンドン、パリ、上海のタイムラプスが用意されているので、見て楽しめる文字盤だ。ただし、タイムトラベルには対応していない。
「フォトアルバム」「写真」は、どちらもiPhone内でお気に入りに設定した写真を表示させるもの。時計としては画面右上に日付と曜日、現在時間が表示されるだけで、表示情報のカスタマイズはできない。
さらに細かく見ると、「フォトアルバム」はお気に入り設定した画像が画面表示ごとに切り替わってランダム表示され、表示中に画面をタップすると、写真が切り替わる。
「写真」は、お気に入りの写真を1枚選んで表示するというもの。また「写真」は表示する部分を拡大できる。Apple Watch 38mmは解像度272×340ドット(48mmは312×390ドット)で、メインに表示したい人物や物が小さく写っていてもなんとかなるので、専用の写真を用意する必要性は低い。
時計の魅力は、文字盤の占める割合が多い。筆者は、watchOS 2に合わせて文字盤の機能が追加されるとみていたのだが、実際にはそうではなかったため、肩すかしを食らった感がある。「モジュラー」にマルチカラーとして9色追加されているものの、それじゃない感もある。これでApple Watchに見切りを付けた人がいる可能性は大だが、筆者はあの「Windows RT」と似た匂いを覚えたため、しばらく愛でていくつもりだ。
アプリの起動までの時間が大幅短縮
このほかwatchOS 2では、グランスのアプリ一覧からアプリを起動した場合の速度が高速化した。例えば、watchOS 1で「Endomondo」をグランスから立ち上げた場合、ワークアウトの開始が表示されるまで20〜30秒を必要としていたが、watchOS 2では3〜5秒と許せるレベルにまで短縮されている。ほかのアプリも同様だ。
またデータ同期速度は、「SysView」の更新間隔を見るに最短で2秒のままだ。アプリの起動の遅さから、インストールするアプリを絞っていたり、そもそもインストールしていなかったりしたユーザーは多いはずなので、アップデート後にチェックしてみるといいだろう。
細かな改良をチェックしてみる
watchOS 2の変更点は、新規文字盤とディベロッパー向けの機能追加が主になるが、細かい部分での改良も多い。
新規に追加された機能を見ていこう。「ナイトスタンドモード」は、充電時にApple Watchを横にするとデジタル表示の文字盤が表示されるというもの。また、指定した時間になるとアラームが再生される。一定時間放置でスリープ状態に入ってしまうため、充電しながら作業時の時計として使うという運用はできない。アラームの時間になると画面が点灯する仕様だ。
返信機能を見てみると、メッセージだけでなく、メールでも返信が可能になった。定型文のほか、Siriさんからの入力も対応する。必然的に短文になってしまうので、ビジネス文化からすると使用シーンを選んでしまうが、親しい相手への返信用としてはお手軽でいい。また筆者の場合だと、仕事のメールも長くて3行程度で済ませているので、アップデート以降は活用している。TwitterのダイレクトメッセージやFacebookの「Message」も対応すると、さらによさそうな気配だ。
設定を見ると、地味な変更が目立つ。まず「ミュージック」のグランスは、watchOS 1ではボリュームの調整をタップで実行する必要があり、かつレスポンスが遅かったが、watchOS 2からはDigital Crownでボリューム調整が可能で、レスポンスもよくなっている。
またApple Musicでの用途に合わせてか、お気に入り追加とライブラリボタンも追加されている。ライブラリボタンは、ライブラリにある曲の場合は削除、ない曲の場合は追加できるもので、表示も変化する。移動中のボリューム調整や曲送りに活用していた人は多いだろうから、この部分は地味ながら結構うれしいハズだ。
コントロールを見てみると、Air Playのアイコンが追加されている。ただ今のところ使用するルートを発見できていない。「ミュージック」側にBeat 1やApple Musicからランダムで音楽を再生するQuick Playが追加されているため、その関連のものだろうか。
Siriさんを見ると、音声の入力レスポンスは各段によくなっている。そのため、さっさと音声でメモといったアクションには強くなった。アプリの起動や特定のワークアウト開始にも対応しているが、こちらはひどく時間がかかるため、実用的ではないだろう。体感的にはwatchOS 1時のアプリ起動待ちに近いものがある。
ヘルスケア方面で見ると、サードパーティーアプリからのワークアウトデータがアクティビティリングに統合されるようになった点も大きいだろう。
心拍センサー搭載で、防水性能を備えるApple Watch Sportsを“ロガー”として考える人は多いハズだし、筆者も実際に活用している。心拍センサーは、watchOS 2からサードパーティーアプリでも使用できるようになったため、Endomondoなどフィットネス系アプリが心拍数取得オプションを追加すると思われる。
このほか、HomeKitで対応デバイスをSiriさんで操作したり、FaceTimeオーディオ通話が可能になったり、Apple PayとWalletの強化があったりしている。キャリアの対応必須となるが、iPhoneが近くにない場合でもWi-Fi通話をサポートしているとアップデート一覧にあり、いずれは使用範囲を広げていく姿勢も見える。
iPhone上のApple Watch管理アプリ「Watch」
iPhone側にインストールされているApple Watch管理アプリ「Watch」の項目にも変化がある。
watchOS 2からアクティベーションロックを必要とするようになったこともあり、「行方不明としてマーク」を実行できるようになった。コンプリケーションに対応するサードパーティー製アプリがある場合は、その一覧も表示される。watchOS 2に合わせて、iPhone側Watchのわかりにくさも改善されるのかと思っていたが、グランスとコンプリケーション、アプリの設定が別々のままであり、使いにくい印象しかない。この点は今後に期待するほかないだろう。
文字盤については残念だが、期待値は増した
文字盤については、ビジュアル面の強化はあったものの、機能的な強化はタイムトラベルに留まった。スマートウォッチを目指すのなら、さらなるカスタマイズ性を期待したいところだが、Appleの判断としてはまだ早いということなのだろうか。もちろん、デザイン性の高い文字盤も増やしてほしいところではある。
ディベロッパー向けの機能開放によるアプリの進化が今後の注目ポイントになるだろう。アプリの起動速度も向上しているため、ちょっとしたことはApple Watchに任せるといった運用も現実的なレベルになった。ただすぐに購入すべきかというと、やはり「NO」だ。自分が必要なアプリが出揃ったかどうかを見てからでも十分だろう。iPhoneに例えると、ようやくiPhone 3Gになった印象だ。
Apple Watchをすでに使用している、もしくは眠らせているユーザーなら、watchOS 2のおかげで気になっていた部分はかなり解消されているので、迷わずアップデートするといい(ただし、完了するまでだいぶ時間が必要)。すごくマシになったと体感できるハズだ。
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