選考理由
「Kindle Scribe」は、電子書籍端末「Kindle」シリーズの最上位機種として大画面化と手書き対応を果たしたモデル。10インチクラスと大きなE Inkディスプレーは、目に優しい反射型で300ppiと高い解像度を持ち、小説はもちろん、図版の多いビジネス書やマンガなども非常に見やすい。読書の時間をぜいたくに楽しみたいという人にとって、最上の選択肢を提供する端末の一つと言えそうだ。薄型で金属製フレームを採用した本体も上質感がある。ペン操作については、注釈の追加やメモなど限定的であるため、タブレットとはまた異なる使い勝手だ。ただし、本から得た気づきを整理し、日々の思考から得た発想などを手書きして、クラウドに集約できるのは便利。受け身でコンテンツを楽しむだけでなく、より知的にデジタルツールを活用したい人の道具として、その完成度が格段に高まった。(ASCII BESTBUY AWARD審査委員長 小林久)
選考理由
製品の数が増え、差別化が難しくなりつつある完全ワイヤレスイヤホン。一方で価格は上昇する傾向にあり、特に高級価格帯の製品ではその価値を、消費者にどうアピールするかが重要になっている。こうした難しい市場環境のなかfinalが送り込んだ「ZE8000」は、技術と研究に重点を置くブランドの信念を体現した非常に魅力的な製品に仕上がった。一番の特徴は音質だ。ここは“解像感の追究”や“低域の豊かさ”といった、周波数特性の管理によって得られる一般的な価値とは異なる、新しい評価軸を作り、その成果を盛り込んだものだという。一聴すると低域のボリューム感があることに気づくが、低域を増やすことによって生じがちな、中音域や高音域の聞こえにくさがなく、聴きたい帯域の音がしっかりと聴こえるのが面白い。同時に、包み込まれるような音場感があり、まるでロックやポップスのライブ会場にいるかのような高い没入感が得られる。音量調節機能やイコライザーなど設定アプリにも独自の試みを入れており、イヤピースのカスタム化にも対応予定。こだわりが詰まった完全ワイヤレスイヤホンが登場した。(ASCII BESTBUY AWARD審査委員長 小林久)