本格的なカラーマネージメントディスプレーが登場
出荷時にキャリブレーション済み! 高い色精度を実現する液晶「VP2786-4K」を写真家ががっつりチェック
提供: ビューソニックジャパン
色や輝度に違和感を覚えたときは自身でキャリブレーションを
ここからは、VP2786-4Kのキャリブレーション方法を解説していこう。キャリブレーション自体はとても簡単だが、やり方を間違えてしまうと、校正どころか、逆に正しい色を表示できなくなってしまうため注意が必要だ。
まず、VP2786-4Kはそもそもキャリブレーション済みであり、そのICCプロファイルはプリセットされているため、実際にキャリブレーションを行うのは購入から数ヵ月後、あるいは、その色や輝度に違和感を覚えたときに行なうというのが正しい。そのため、購入後にいきなりキャリブレーションをする必要はない。なお、製品固有のキャリブレーションレポートについてはViewSonicのサイトからシリアルナンバーを打ち込むことで確認できる。
ディスプレーとPCの接続は、HDMIケーブル(付属)またはDisplayPort 1.4以降のケーブルと、USB Type-A/Bケーブル(付属)を使う。なお、付属のUSB Type-Cケーブルを使用する場合は、これ1本で問題ない。次に、ColorProホイールのUSB Type-AおよびMicro USBケーブルをディスプレーへ接続すれば、準備完了だ。
専用のキャリブレーションソフト「Colorbration+」を起動したら、より詳細な情報を確認して、設定可能な「詳細モード」を選択。キャリブレーションするVP2786-4KとColorProホイールが認識されていることを確認しよう。
なお、「Colorbration+」は、X-Riteの「i1 Display」やDatacolorの「SpyderX」などのキャリブレーションツールにも対応している。注意事項としては、ディスプレー側のカラーフォーマットでRGB出力範囲を「全範囲(フル)」にしておくことと、アップルのM1/M2チップ(もしかしたらM3も)搭載Macで使用する場合は、「Rosetta 2」のインストールが必要な点だ。
「キャリブレーション」タブでは、校正する目標値の設定やユニフォミティ(均一性)補正の選択が可能。キャリブレーションした結果はICCプロファイルとして保存できるほか、ディスプレー本体のOSDメモリーのCAL1~3を選択できる。
「検証」タブは、実質的に「キャリブレーション」タブと同じ内容なので無視していい。「履歴」タブでは、キャリブレーションを実行した日付と目標値などが記録される。「ソフトウェア情報」タブでは、ソフトウェアのアップデートのほか、表示言語の切り替えに対応。初回起動時は英語になっているため、必要なら最初に日本語表示に切り替えるといいだろう。
まず、「キャリブレーション設定」で目標とする色域、例えば「AdobeRGB」や「DCI-P3」などを選択。輝度設定はデフォルトのまま、必要に応じてユニフォミティの補正を選択する。「ユニフォミティ補正」は、ディスプレーを「3×3」「5×5」「7×3」のグリッドでエリアを分割するため、より細かい調整が必要なら「7×3」を選択しよう。なお、算出方法は一番新しいΔE 2000(ΔE00)を使用している。
「その他の設定」については、「色順応」は基本的に「Bradford」を選択しておけば問題ないが、知覚変換で結果に問題がある場合は別の設定を試してほしい。「ICCプロファイルバージョン」については、一般的な環境なら新しいバージョンである「4.0」でいいが、古いシステムや環境、またはWeb表示などで問題がある場合は「2.2」を試そう。
「プロファイル形式」は、「Matrix」が基本だが、異なる環境やデバイス間でデータをやり取りする場合は、より情報量の多い「Matrix+LUT」にすると良好な結果が得られるかもしれない。「検証パッチ」は「IEC_61966_4」のままでいいが、例えば、メインの用途が印刷ならソフトプルーフ対応の「ISO_12646」を選択することで、本刷り前の色校正をディスプレー上で行えるため、インクや用紙の消費を抑えられる。
キャリブレーション実行中にケーブルを抜いたり電源を落としたりすることはもちろんNGだが、意図せずキャリブレーションに失敗してしまった場合は、ディスプレーのOSDメニューや「vDisplay Manager」からリセットすることで工場出荷時の設定に戻せるので安心してほしい。ちなみに、エージングとまでは言わないが、モニターの電源オンからすぐに実行せず、少し通電状態を維持してからキャリブレーションするのがおすすめだ。