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ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第30話

新潟5大ご当地ラーメンの名店が「濃厚味噌」の進化系をどこよりも早く東所沢で披露!

2022年11月09日 12時00分更新

文● 大熊美智代 編集● ラーメンWalker

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 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年10月12日~17日は、「最愛の新潟ラーメン」を味わい尽くす 第2弾! 新潟5ご当地ラーメンの1つ「濃厚味噌」を代表する名店 『東横』が初出店。2代目店主の安部恭朗さんは、古き良き新潟の伝統の味を守りつつ、新しいことにも取り組みながら、変わらないために日々進化し続ける。今回の出店で、その味が劇的に進化したという。その全容と新潟ラーメンの未来に駆ける思いを伺った!

『東横』店主・安部恭朗さん

2代目が守り進化し続ける、新潟濃厚味噌ラーメン

 『東横』は、安部恭朗さんが5歳の頃、両親が開業したラーメン店だ。父・潤二さんは、新潟で割りスープ付き濃厚味噌ラーメン発祥の店『こまどり』で修業し、1983年3月に新潟駅南口で創業した。当時、店の周辺は、あまり人通りのない場所だったが、少しずつ口コミで評判になっていった。人気店となった一方、交通の便が悪い場所だったため、来客の駐車場問題で近隣トラブルが相次いだ。テレビでも紹介されて人手が必要になり、父の弟・義行さんも店を手伝うようになっていた。そこで2001年11月、駅南店は姉妹店『ラーメン東横』として義行さんに任せ、紫竹山に本店を移す。

現在の本店『東横 紫竹山店』。駅南店が手狭だったこともあり、テーブル・座敷もある65席の大箱店を開店

 恭朗さんは、高校卒業後は当時自身の好きな電子工学を学ぶために、東京の大学に進学していた。「もともと親から店を継がないで好きなことをしていいと言われていたのが、年とともに親も店に関わってほしいと思うようになったんですね。そんな親に反抗して、絶対に店を継がないと思っていた時期もありました」と恭朗さん。しかし、父の心身の不調を目の当たりにして、大学卒業後は実家に戻り、25歳で家業を継ぐことを決意する。

 2006年、新潟ラーメン博をきっかけに、多くのイベントに参加するようになり、その頃から東京のラーメン店主との交流が広がる。それは、今回のラーメンWalkerキッチン出店にもつながっていく。さらに2007年から自家製麵を手がけ、2010年には製麺工場も開設した。

新潟県産コシヒカリの米粉やタピオカ粉を配合した極太ストレート麺

 2015年、37歳で正式に『東横』を継ぎ、2代目となった恭朗さんは、ラーメンそのものだけでなく、経営の見直しや従業員教育、新しいことに取り組みながら、新潟のご当地濃厚味噌ラーメン店を守り、発展させてきた。

愛宕店などの路面店のほか、フードコートを含めて5店舗を展開

濃厚味噌だけじゃない!新潟の食材を豊富に使った進化系ご当地ラーメン

 「最愛の新潟ラーメン」を味わい尽くす 第2弾では、2代目の恭朗さんが守り進化させてきた『東横』の味から、まずは店を代表する「元祖新潟濃厚味噌ラーメン」を紹介する。

「元祖新潟濃厚味噌ラーメン」。今回限定で、新潟県産蛇喰豚のチャーシューをトッピング

 要の味噌は、恭朗さんの代で老舗の味噌蔵・渋谷商店の高級越後味噌に変わり、さらに旨味と塩味が強くなった。製麺所での外注では再現できないこだわりをより高い次元で表現したいと、新潟県産コシヒカリの米粉やタピオカ粉を配合。独特の極太麺は自家製麺に変わることで先代の味をさらに極めた。

極太、多加水、ストレート。モチモチ食感で濃厚味噌ダレに負けない美味しい麺だ

 ラーメン専用割りスープも、新潟の店舗と同じように提供した。関東ではつけ麺ならお馴染みだが、ラーメンに割りスープは珍しい。「最後に割りスープを入れて、味変して味噌ダレの濃厚なスープを全部食べきるという方が結構いらっしゃいます」と、安部さんが教えてくれた。卓上のポットの中は、割りスープ専用の豚骨スープ。最後まで美味しく食べるための味変だ。

卓上には割りスープと食べ方指南書も用意

 対して「先代特製野菜味噌ラーメン」は、新潟濃厚味噌ラーメンに先代ゆずりの特大チャーシューをトッピングした。新潟県産蛇喰豚の肩ロースがドーンとのったボリューム満点な一杯。大きさは先代の頃から引き継いでいるが、味はだいぶ変わっているという。「昔は肉を茹でてタレで煮込むというオーソドックスな作り方でしたから、大きな肉の塊を中までしっかり火を通すためには、外側がパサパサになってしまうんです。今は温度管理の技術が確立しているので、低温調理で均一に熱も味もしっかり入る調理法で、柔らかくてジューシーなチャーシューになります」と、恭朗さん。

「先代特製野菜味噌ラーメン」。先代ゆずりの特大チャーシューの下には炒め野菜もたっぷり

 濃厚味噌以外にも、醤油と塩のあっさりラーメンも用意されていた。「味噌ラーメンって好みが分かれるので。味噌ラーメン屋さんで『醤油ラーメンないの?』と聞かれるのってよくある話なので、それで醤油ラーメンと塩ラーメンは用意しておこうかなと」。イベント出店で慣れていることで、豊富なメニューでも次から次へとラーメンが出来上がり、手際よく運ばれていた。

新潟5大ラーメンのひとつ「あっさり醤油ラーメン」。豚・鶏のあっさりスープに煮干しをきかせた昔ながらの味わい

「あっさりしおラーメン」。旨味あふれるスープに細麺がよく絡む

 越後味噌を使った新潟濃厚味噌はもちろん、新潟県産蛇喰豚の肩ロースチャーシュー、新潟屋台がルーツの細麺と、新潟色満載の種類豊富なラーメンが提供された。

 しかし、それだけではなかった。これまでのイベントとは違ったキッチン設備・環境で、既存の店舗でもやっていないようなオペレーションを試し、一杯一杯スープの鮮度などを管理することができたのだ。「店の味を持ってくるっていうよりも、これから先、半年か1年先の店の進化系をここで表現することができたんです。それで、ラーメンが劇的に美味しくなりましたね」。2代目の味の進化は、お客様のたくさんの笑顔が証明していた。

名店店主たちもエールを送る! 長く守り続けたい最愛の新潟ラーメン

 「最愛の新潟ラーメン」を味わい尽くす 第2弾でも、新潟のご当地ラーメン文化を発信し続ける名店『我武者羅』店主・蓮沼司さんと『豚骨味噌ラーメン じゃぐら高円寺』店主・千代田店主が応援に駆けつけた。

安部店主にエールを送る、『我武者羅』蓮沼店主(左)と『豚骨味噌ラーメン じゃぐら高円寺』千代田店主

 蓮沼店主が新潟で最も信頼のおける2軒のうちの1軒にあげた『東横』には、すごく思い入れがあるという。「うちが東京で新潟ラーメンをやるきっかけになったのが、生姜醤油でも背脂煮干しでもなく、濃厚味噌なんですよ。最初は、豚骨に鯛出汁をきかせたラーメンを出していたんですが、幼い頃に食べた新潟のラーメンを作りたいと思うようになって。今から16、7年前ですかね、毎週、新潟の『東横』創業の駅南店に通い始めたんですね。そこで食べたラーメンが衝撃的すぎて、東京に戻ってきたら、また食べたくなって毎週通うようになったんです」と、蓮沼さん。ある時、どうしてもスープに使われている味噌が知りたくて、「何の味噌ですか?」と尋ねたそう。流石に企業秘密だからと断られたが、「熱意があるんだったら当ててみて。当たってたら当たりって言ってあげる」と、駅南店の店主、恭朗さんの叔父・義行さんに言われ、今度は味噌蔵に通い始める。そうまでして越後味噌を当て、『我武者羅』土日限定の「新潟濃厚味噌 弥彦」を創り上げたのだ。「うちで行列店ができた最初だった」と、新潟濃厚味噌への思いの深さを語った。その後、2代目の恭朗さんと知り合い、イベントなどで交流を深めて、今回の出店に繋がった。

L字型の厨房内を行き来しながら、野菜を煽り、麺を上げ、いくつもの調理を手際よくこなす安部店主

 東京屈指の超濃厚味噌ラーメン店『豚骨ラーメンじゃぐら』の千代田店主も、「今日、食べさせてもらったら、ほどよい塩味でこのまま飲めちゃう、それでいて中毒性が高い。常連さんが何回もリピートしてくれる味ですね。忘れた頃に食べたいなあと思うのが味噌ラーメンの強さかなと。僕らの憧れのお店です」と、『東横』への想いを語った。

 名店店主も絶賛する『東横』出店中の6日間は、加速するように客足が増えていった。「いやあ、驚いてます。食材が足りなくなって何度も追加で調達しにいきました」と、安部さん。

中華鍋で都度炒める野菜がたっぷりのった「新潟濃厚味噌野菜ラーメン」の人気が高く、野菜切れが相次いだ

 今回の出店で確かな実績を残しながらも、それは尊敬する先達のおかげという。「ラーメンに対してはあまり研究熱心な方ではないので、きっかけがないとあまり新潟から出ないんですよね(笑)なので、イベント等で県外に行くことがあっても、どこに自分のインスピレーションを与えてくれるお店があるかピンとこない。そんな僕を蓮沼さんや千代田さんが引っ張っていってくれる。同じラーメン店の経営者、もっと言うと同じジャンルのラーメンを扱っている店主さんでも全然違うところを見てるんだなと、毎度毎度、向上意欲や気付きをいただいています。これまで先代の教えだけに縛られず常に改善と改革と挑戦を重ねて、自分自身も成長してきた中には、同業の先達方が、情熱に満ちハートフルな背中をいつも見せつけてくれるおかげです」と、安部さんは感謝の気持ちを忘れない。

掲げられた『東横』の暖簾から、新潟の雰囲気も伝わってくる

 いま、老舗店のひとつとして気がかりなことがある。新潟の歴史ある店の後継者不足問題だ。

「老舗は家族経営の個人店が多く、ここ1年でも惜しまれつつ閉店する老舗が何軒もありました。ラーメンって、ただお腹を満たすためだけじゃなくて、その時その時代に通い続けた思い出の場所だと思うんですよね。『東横』に携わってると、昔、学生の頃ここによく通ったんだよっていうエピソードをよく伺います。そして今、大人になり、自分の子供を連れて来てくれて、ここで新しい思い出が子供に継がれていく。そんな思い出のトリガーとなっているお店なればこそ、自分の代で暖簾を降ろすのではなく、店主が認めた後継者に引き継がれる仕組み、店があり続ける努力、伝統を残していくことを、新潟一丸となってできたらと思っています」

 全国1位のラーメン県・新潟がひとつのチームとなって盛り上げていく。安部さんはその先頭に立つが、「あまり野心のない人間なので、本当に粛々と美味しいものを作って、良い仕事、やりがいのある仕事ができれば、この上ない幸せと思ってます」と、一ラーメン店主としての自分も大事にしている。2代目としての挑戦でさらなる進化を遂げた『東横』の味は、本場新潟でぜひ味わってほしい。

安部店主とスタッフしげさん。最愛の新潟ラーメンを出し切った6日間!

​元祖新潟濃厚味噌 東横 紫竹山本店
新潟県新潟市中央区紫竹山1丁目8-20
11時~22時(L.O. 21時30分)
不定休

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/touyoko1045)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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