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とうもろこしをレンジでチンするとなぜおいしいのか

2019年10月26日 12時00分更新

文● 四本淑三、編集● ASCII

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スイートコーン全盛のいまだからうまい「札幌八行」

 ここから先は、完全な余談だ。

 私が子供時代を過ごした1960~70年代に、こんなに甘いトウモロコシはなかった。屋台の焼きトウモロコシは、甘くなく、柔らかくもなく、噛むと前歯に皮がはさまり、袖や口の周りを醤油でベトベトにしてしまう、やっかいな食べ物だった。でもおいしかったのだ。

 その後、トウモロコシは品種改良が進んで、生でおいしく食べられるものになった。その過程で、昔ながらの品種はもう淘汰されてしまったのか。おっさんのノスタルジーに応えてくれる品種はもうないのか。

 そのようなことをSNSに書いたら「三笠あたりの道の駅で見かけた」と教えてくれた人がいた。調べてみたら、国道12号線沿いにある「道の駅三笠」で売られているようだ。早速出かけて1本買ってみた。いやあ、これですよ、これ。

 口元に持ってきたときの香ばしさ、前歯で感じる焼き目のパリッとした食感。実の粒ひとつひとつが大きく、歯ごたえがあり、薄く塗られた醤油と相まって、奥歯で噛むと独特の旨味がむにゅーっと広がってくる。直接感じる甘み、ほとんどなし!

 このトウモロコシ、明治時代にアメリカからやってきた「フリントコーン」と呼ばれる品種で、「札幌八行」という名前が付いているんだそうだ。名前のとおり実は八列しかなく、普通のトウモロコシより軸が長い。収穫から2日も経つと固くなるので、市場には生の姿でほとんど流通していないらしい。

 それでも知る人ぞ知るトウモロコシとして人気で、いまでもごく一部の農家が栽培しているらしい。実にありがたいことだ。そして、先の道の駅で、焼きトウモロコシとして夏季限定で売られている。もし北海道旅行をする機会があったら、ぜひ試してみることをおすすめしたい。

 次回は「蒸し」てみます。

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