PCブランドから次世代ITのブランドへ
短期決戦を乗り切ったVAIOの次のフェーズについて、吉田社長はこう語る。
「VAIOは今後4~5年をかけて、PCのブランドから次世代ITのブランドに変貌を遂げたい。過去のITではなく、次世代のITのブランドである点が重要だ。コアバリューは、国内および海外に通じるVAIOのブランド力と、長年蓄積された安曇野でのモノづくり。この2つがないと成り立たない。これを生かして成長を目指す」
これまでのVAIOの取り組みは、モバイルPC事業にフォーカスしながら、EMS事業を加え、そのシナジーによって成長させるという構造であった。だが、次のフェーズでは事業の幅をさらに広げることになる。それが「次世代ITブランド」で示される進化になる。
「4~5年先のVAIOは、コアバリューを維持しながらPCブランドのVAIOを次世代のITブランドにする」と繰り返す。
PC事業に関しては、モバイルPCに今後も成長余地があるとし、「モバイルPCにはこれからも追い風が吹くだろう。そして、業界の再編によって、国産ブランドのPCが限られてきたことも追い風になる。VAIOの価値が生まれる」とする。
PC事業では新たに周辺機器を投入したり、セキュリティーソフトを拡充したりといった取り組みを開始。すでに、BenQとの提携で、VAIOブランドの法人向けインタラクティブ・フラットパネル「VAIO Liberta」を投入したり、モフィリアとの協業で指静脈認証技術を活用したりといった成果があがっている。
とくにセキュリティーでは、運用構築サポート、安全リモートアクセス、紛失/盗難対策、安心ログインといったリモートワークを支えるトータルソリューションを提供。「今後は、ソフトウェアを含めてPC事業を展開していくことになる」とした。
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