つないで音楽を「共有」
2人で同じ音楽を「共有」するという、ラブい聴き方ができる仕掛けもある。
下の画像の右が有線モデル、左がBluetoothモデル。有線モデルには左右ハウジングに1つずつ、3.5mmステレオ端子が付いている。これは、どちらか一方にプレイヤー、どちらか一方に別のヘッドフォンを接続するためで、2つの端子に入・出力の区別はない。
Bluetoothモデルも、1つの3.5mmステレオ端子が入・出力を兼ねる。Bluetoothモデルでおもしろいのは、3.5mm端子に入力があっても、Bluetoothの再生は中断されないこと。だから両方の音声がミックスして聞こえる。
スマホで音楽を聴きながら、楽器をつないで鳴らすこともできるし、有線モデルを数珠つなぎにすれば(台数に限りはあるだろうが)オケを使ったバンドの練習にも使えそうだ。
音のキャパシティー広し
音の好みは千差万別だが、個人的に気に入っているのは、比較的側圧の強いオンイヤー型の割に、フラットな特性でまとめてあること。このタイプのヘッドフォンは「低音効いてるねー」という第一印象を持たせるためなのか、わかりやすく100Hzくらいの帯域が持ち上がったものが多いのだが、おかげで中高域の解像感が損なわれるばかりか、低域も不明瞭さばかりが気になって疲れる。
その点、このモデルは小径ドライバーを近接した位置で鳴らせるという、オンイヤータイプのヘッドフォン本来の美点を生かしたチューニングになっている。まず中高域の解像感が良いし、ドロップチューニングのベースのような可聴周波数帯域の下限に近い低域もバッチリ出ている。その割に低域に飽和感がなく、ボトム全体の分離がいい。モダンな音楽を分析的に聴くのに不都合がないようにできていて、さすが楽器メーカーのブランドは違うぜ、と思う。
ハウジングに「Marshall」と書いてあるものだから、ギターサウンド中心のロック専用みたいなイメージだが、基本性能が高いので、オーケストラのようなダイナミックレンジの広いアコースティックサウンドもいい感じで再生する。見た目から「ラウドでバリバリ音、聴いてます」のような暗黙のアピールになってしまうのは避けられないが、実際に聴いている音楽はさだまささしだったりするような背徳感も味わえる。ともかくイメージに反してキャパシティーの広いヘッドフォンであることは念押ししておきたい。
四本 淑三(よつもと としみ)
北海道の建設会社で働く兼業テキストファイル製造業者。